第三章 第14話「七本目」
ドラゴンと対峙する月永くん。その時ドラゴンが激しく吠える。
「うるせぇなぁ…そのデケェ口も二度と開かねぇようにしてやろうか?」
そう言いながら彼は影の溢れ出る一本の剣を持った。
「七天抜刀…」
「出るぞ、七天抜刀の七本目が」
「なっ七本目…?」
月永くんの持った剣に七天抜刀の夜天、緋天、氷天、曇天、風天、雨天が重なり一本の剣になっていく。
「七星剣!」
月永くんの持った剣から炎のように影が噴き出し、その中に七つの光が浮かび上がった。
月永くんがその剣を振ると影が払われ、その刀身があらわになる。
七つの星を宿した1mほどの真っ黒な刀、見ていると吸い込まれそうになるような魅力。
「来いよ…トカゲ野郎」
月永くんがそう言うとドラゴンはまたも火炎のブレスを吐いた。それを七星剣で受け止める。
「すごい!あのブレスを!」
次の瞬間、七星剣が青白く光る。すると見る見るうちに炎が凍っていく。
凍った炎を月永くんは砕き割った。
「こんなもんか?」
それを見たドラゴンは空へ飛び上がる。月永くんはそれを追うことなくただ見ていた。
ドラゴンは上空で旋回した後月永くん目掛け急降下してきた、しかし、月永くんは逃げることなく逆に受け止める気満々で七星剣を構える。
「月永くん!それは無理だよ!!」
七星剣とドラゴンがぶつかる、ぶつかった衝撃で地面が凹み、少し離れた僕らですら吹っ飛ばされそうになる。
「おおおおおおおおおおおおお!!!!」
「なんで耐えられてるの!?七星剣はまだ分かるけど月永くんの腕はどうして?」
「機械籠手だ、ヒロトの腕をよく見ろ。あれは影武装で黒くなってるんじゃない、その上に機械籠手を付けてる」
月永くんの腕をよく見ると確かに機械籠手を付けている。だけど、その機械籠手からは煙が噴き出していてもう限界が近いんじゃないかとハラハラする。
「ふんっ!!!!!」
なんとその時、ドラゴンがついに押し負け地面へ叩きつけられた…辺りの地面がめくれ上がる。
「う…嘘だ…」
僕はその光景を目にしたのに信じることが出来なかった…
「七星の機械籠手…!」
七星剣が機械籠手に造り変わっていく。
そして、ヨロヨロと起き上がろうとするドラゴンへ拳を構えた。
「七つの星の裁きを下す…その罪を悔い改めよ…」
機械籠手に七つの光が浮かび上がる。
「滅拳・星砕きっ!!!!!」
ドラゴンへ振り下ろされた拳は見事に命中…辺りのめくれ上がった地面や草木を更地にするほどの威力…僕たちも衝撃で飛ばされる。
次に僕が目を開けた時にはドラゴンも月永くんも横たわっていた。
◇◇◇
眠っている月永くんを見ながら心配になる。
「月永くん…大丈夫なの…?」
「たぶんな、ただ目を覚ましても数日はまともに動けねぇだろうな、何せ怒りで体のリミッターを外して動いてたんだ…どこも折れてなきゃいいけどな」
「…私もみんなとドラゴンの様子を見てくる」
「あぁヒロトとこの子は俺が見てるよ」
私は何故かいたたまれなくなって拠点の建物を離れた。
みんなは横たわったままのドラゴンを囲っていた。
「ねぇ…なんでこのドラゴン、消えないの…?」
リサちゃんが不安そうに速坂くんに聞く。
「そうだね…消えないとするとまだ生きているか、あるいは…」
「…本物か」
氷室くんの言葉にアオイちゃんが顔を引きつらせながら言う。
「いや、いやいやいや…本物って…そんなのおかしいでしょ?そんなおとぎ話じゃないんだから…」
「じゃあ、あの折られた爪はどう説明する?こいつが幻獣なら体から離れたあの爪は消えてるはずだ」
確かに、月永くんに折られた爪はまだ地面に転がっていた。
みんなが信じられないという顔をしている中、陽気な声が上から聞こえる…
「お〜ドラゴンちゃん倒したんだ〜すごぉい♡」
全員が顔を上げる。
「はいはーい!皆さん!セリカちゃんだよ〜☆」
明らかに場違いなテンションでそこに現れたのは預言者セリカだった。
「あれあれ〜?1…2…3…4…5……2人足りなくな〜い?死んじゃった?」
「生きてるっ!」
私は強めに言う。
「ハハハッ☆冗談冗談〜ほいっ」
と預言者セリカが指を鳴らすとドラゴンが一瞬にして消えた。
「っ!?」
「あのドラゴンだけは最後の試験としてセリカたちが用意したの〜要は魔力を使った傀儡、よく出来てたでしょ〜?」
頭に来た私はセリカを睨み言い放つ。
「あんた!試験だかなんだか知らないけどそれで人1人死にかけてるんだよ!?私達が死んでもいいって訳!?」
「…じゃあ言っておくけど、こんなのにやられてるようじゃあなた達どの道死ぬわよ?セリカはあなた達にこの世界を賭けてるの、この程度で死んでもらったら困るのよ」
預言者セリカは淡々としかしどこか真剣にその言葉を言う。
「とにかく、今日はあなた達に見せるモノがあるの、ぶっ倒れてる月永くんを起こすわ」
そう言ってふわふわと浮かびながら建物の方へ飛んでいく。
そして、月永くんへ手をかざすと光が月永くんを包む。
「さっ起きなさい月永くん」
「………ん?」
私は目を丸くする、月永くんが何事もなかったかのように起き上がったのだ。
「あれ?どこも怪我してないのか俺…」
「治癒魔法よ、お姉ちゃんに借りたの☆さぁ行くわよ…ん????」
驚いた様子の預言者セリカ、彼女はあの女の子を見ていた。
「な…なんで、あんたがここにいるの…エデン」
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ではまた次回でお会いしましょう〜




