第三章 第11話「謎の少女」
俺とハヅキは消えていくユニコーンを一瞥すると失った気憶を解いた。
「本当に気力消費が少ない…」
「あぁ、俺たちの気力量が上がってるってのもあると思うけどそれよりもここの魔力のおかげなんだろうな」
ふと空を見上げる…そこに太陽はなく、黄色を基調とした幻想的な空が広がっていた。
「そういえばここに昼夜の概念はあるのか?さっきから空が変わってないような気がするんだが…」
「確かに…そろそろ夕方のはずだけど…」
「何があるかわからない、ハヅキはみんなを連れてきてくれ、俺はここに残る」
「1人で大丈夫なの?」
俺は拳を突き出しぐっと親指を立てる。
「ふふっじゃあすぐ戻るから!」
そういってハヅキは光の点に触れると光に包まれ高速で来た道を、点を辿り戻っていった。
ハヅキを見送った後、俺は拠点となる予定の風化した建物の中を調べる。
2階部分には特に何もなく、広い部屋が1つあるだけだった。俺は沈んでいる1階部分へ降りていく。
「この建物が沈むほどの何かがあったのか、単に地盤沈下なのか、はたまた幻獣の仕業か…」
俺は1階に降りて気付く。
「ミスった…暗くて見えねぇ…」
1階は部屋分けがされていて階段から差し込む少ない光では全く見えなかった。
「そうだ」と外から木の棒を取ってくると緋天で火をつけようとする。
「あれ?」
火力を上げて木に緋天を押し当てるが燻りもしない。
「…もしかして…緋天【極】!」
俺は失った気憶を発動させてみる、するとさっきとは打って変わってすぐに火がついた。
「ここにあるものは全て魔力を持ってるってことか…」
松明をもって3つある部屋を見ていく。
1部屋目。木製の机や椅子、無骨な見た目の食器が散らばっていた。どうやらキッチンとダイニングのようだった。
2部屋目。腰下ほどまでの穴が1つ、お風呂のようだ。その部屋には苔が他の部分より多く生えていた。
3部屋目。ベッドが3つ、2つは倒れ、1つは綺麗に整えられていた。よく見るとその整えられているベッドの布団が膨らんでいた。
恐る恐る掛け布団に手をかけ、勢いよくめくる、そこには…
「なっなあああああああああああ!?!?」
◇◇◇
私がみんなと別れた大きな木の元に戻ると全員が集まった後だった。
「あっハヅキ!」
「みんな無事?」
「大変だったわよ、モグラの幻獣の群れに襲われちゃって」
「僕たちはサメの幻獣だった」
どうやらみんな幻獣に襲われていたようだった。
「ハヅキ、ヒロトは?」
「そうそう、拠点にいいところを見つけてね?月永くんはそこに残ってる。今からみんなを連れていくから私に掴まって」
と私は手を差し出す。
「俺たち全員か?大丈夫なのか?」
「スピードは遅くなっちゃうけど全然平気!」
そして、全員が私の手に触れる。みんなが光に包まれる。
「じゃっ行くよ」
そうしてまた点を辿り月永くんの元へと戻った。
ー数分後
「よっと、はい着いたよ」
私はみんなを降ろし、そこへ案内する。その時ちょうど月永くんが建物から出てきた。
「あっ月永く…ん???」
私は目を丸くする、建物から出てきたのは月永くんだけではなかった…その横には銀髪の幼い女の子が眠そうな目をして立っていた。
「だっ誰!?」
「いや…誰かは俺も分かんないんだけどさ…この建物の1階で寝てたんだ…」
ー数分前
思わず声を上げてしまう。
なんとそこには女の子が1人寝息をたてて眠っていた。
「なんで…こんなところに…」
その子がゆっくりと目を開ける。俺をじっと見つめるとのそりと起き上がった。
「あっ…君…名前は?なんでここに?」
恐らく引きつっているであろう笑顔とともにその子に問いかける。が、その子は返事をせずただまばたきをしているだけだった。
「ま…迷っちゃったのかな〜?」
何を言っているんだと内心思う。こんなところまでこんな幼い子が迷い込むはずがない。すると、その子が上を指差す。
「外…出ようか」
その子はコクリと頷いてベッドから降り一緒に建物の外に出た、そして今に至る。
「何を聞いても答えてくれないんだ」
「…喋れないんじゃないの?」
アオイがそう言うとその子がコクリと頷いた。
「そうだったのか!?」
リサがその子の顔を覗き込む。
「しっかし、こんなちっさい子がどうやってこんなとこまで」
「とにかく後1日僕たちと一緒に行動するしかあるまい」
その子は依然として変化を見せずただみんなの顔をまじまじと見ているだけだった。
そして、俺たちとその不思議な女の子、合わせて8人で残り1日を過ごすこととなった…
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ではまた次回でお会いしましょう〜




