第三章 第8話「潜む幻獣」
ショウスケを食おうとするサメ型幻獣。しかしその口はショウスケに届く前に閉じられた。
「危ないな!」
見ると尻尾が水から出る前に凍らされてその寸前で止まったみたい。
「ナイス!氷室!」
しかし、その氷はいとも容易く割られてしまう。あたしはすかさず失った気憶を発動させる。
「青龍の鎧!激龍槍ぉ!!」
三叉の槍を思いっきり投げる、それは水中へと落ちる前に幻獣へ到達した。よほど硬いのか刺さることはなかったが体がくの字に折れそのまま陸へ放り出される。
「ショウスケ!」
「ああ!」
水の中から金色の炎が飛び出す。その炎は回転しながら幻獣へ降下していく。
「爆蓮華!!」
爆撃の連続攻撃、決まったと3人ともが思っただろう…しかし、幻獣は凄い勢いで湖めがけ飛び跳ねた。
ショウスケの爆蓮華は地面をえぐっただけで終わった。
「くっそ!陸でもあんな動きすんのかよ!」
「が、水へは戻さない!」
幻獣の目の前から何重もの氷の壁が一瞬にして出来上がる、しかし、それを割りながら幻獣は突き進んでくる。
「僕の力じゃ足止めにしかならない!頼んだ!」
「オッケー!」
あたしは最後の氷の壁の前に立つ。その瞬間、失速したものの勢いを保ったままこちらへ向かってくるやつが顔を見せる。
「はああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
あたしはぐっと拳を握りしめ力を込める。
「龍砕拳!!!!」
鼻先めがけ拳を振るう、背後の湖にも衝撃が伝わりあたしの側から波が荒立つ。
メキメキとあたしの拳、からではなく幻獣から音が聞こえる。
「だぁぁあああああ!!」
衝撃音と共に再び陸へ飛ばされる幻獣、地面に跡をつけながら転がっていく。
そして、ついにその巨大サメ型幻獣は粒子となって消えた。
◇◇◇
「はぁ〜自然の怒り相手にこんなに力使うなんてなぁ」
「相手は魔力も糧にした幻獣だ、現に僕の気術は足止めにしかならなかった」
「何言ってんの!氷室のおかげでショウスケは助かったし、最後のチャンスもできたんでしょ?それに、素の気術で闘ったらあたしより強いんだから」
「麗未はやさしいな」
「アオイが優しい?んなわけねぇだろってあだ!!」
リヴァイアがショウスケに噛み付く。
「おい!アオイ、リヴァイアに辞めさせろよ!ちょっやめ!いだぁ!!」
「あたしは何も言ってないから知らな〜い」
あたしはあえてそちらを見ないようにしてその場に寝転んだ。
◇◇◇
「しっかし何もないわね〜」
「建物の残骸とかあれば一番いいんだけど」
僕とリサさんでウルファリオンを練り歩く。
「それ、消えたりしないの?」
「大丈夫だよ、それに何かあればすぐ伝わってきて分かるからね」
「ふ〜ん、便利なのね」
他愛のない話をしながら進んでいく、そして、僕たちは歩みを止めなければいけない事になる。
「これは…」
「かなり大きいわね」
目の前を流れる広大な川。向こう岸が見えない訳ではないがこれを渡るのはあまり得策ではない。
「引き返すしかないかな…」
「そうね、けどこれだけの川…水源はどこかしら…?」
「山…みたいなのは見当たらないけどね」
「まっ今考えることじゃないわね、ごめんなさい。さぁ帰りましょ」
そう言ってリサさんは今来た道を引き返していく。
「収穫なしで帰るのか〜なんだか申し訳ないね」
「そんな気にすることじゃないでしょ?」
「リサさんはもう少し気にした方がいいような…」
「今は無事に帰ることが最優先でしょ?ここは幻獣が巣食ってるところなんだから…って」
リサさんとメデューサが立ち止まる。
「どうしたの?って何これ」
突如目の前に現れたのは直径3mほどの穴、周りを見渡すとそれがいくつも点在していた。
「これ、来る時なかったわよね?」
「うん、気づかないわけないよ」
僕たちは辺りを警戒する。
「あんたのそれ何かあったら伝わって来るんじゃなかったの?」
「針に直接動きがないとさすがに分からないよ」
「とにかく、この幻獣が集団か一体かも敵なのか否かも分からないこの状況はまずいわ」
「そうだね、この穴まみれのエリアを抜けよう」
まだ地中にいるかもしれない幻獣に警戒しながら僕たちは進んでいく。
しかし、気になって仕方がなかった僕は今まで刺してきた針から地中へ電流を流し、まだ見ぬ幻獣がいないか確かめようとした。けど、それがダメだった…
「っ!!反応が消えた!」
「なに!?」
「念のため川の方の針も抜かずに置いて来たんだ、その針の反応が消えた…っ!また!」
「ちょっと待って、それこっちに来てるってことじゃないの!?」
どんどんと針の反応が消えていく、そして…
ボゴォッ!という音と共に地中から巨大な影が姿を現した。
「こいつは…!!モグラ!?」
5mはあろうかという巨大なモグラ型の幻獣が僕たちの前に現れた。爪は異常に鋭く、鼻はツノのようになっていた。そいつは雄叫びを上げる。
「リサさん!」
「分かってるわよ!」
「「失った気憶解放!!」」
ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!
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今日で小説を書き始めて1年になりました、特に特別な話ではないですが、読んでいただいている方に感謝です。
ではまた次回でお会いしましょう〜




