第三章 第2話「兄妹」
「それで、隊員や支部長に特に怪しい点はなかったと」
斎條レイコは資料をひと通り見たあと3人に問う。
「はい、お姉様。当たり前と言えば当たり前、私たちが居る上で何かしようとは思わなかったんでしょう」
斎條ナナミが言ったあと虎ノ門タイガが付け足す。
「ただ引っかかるのは支部長のメビウス。気術を見せてくれと頼んだんやけど全く見せてくれんかった、見てくれは髭をたくわえたただの老人やったが…奴からは何か別の気配を感じた」
安堂リョウスケがそれに続く。
「メビウスは能力の名は“無限の術”だと言ってた、メビウスというコードネーム…恐らく能力から取ってるんだろうぜ」
斎條レイコは少し考えたあと、口を開く。
「メビウスとは恐らく会う機会があるだろう、その時に私も探りを入れよう…とりあえずはこんなものでいい、食堂へ行ってやってくれカスミが待ってる」
珍しく斎條レイコが微笑む。
「「「はい」」」
「そこに第4隊もいるだろう?」
「はい!」
扉の向こうから返事が返ってくる。
「報告はある程度受けている、お前たちもそのまま食堂に向かえ」
「了解しました!」
扉を挟んでの会話を斎條レイコが終えると第3隊も支部長室を出て、食堂へ向かった。
◇◇◇
俺たちが食堂に着くとすでに第1隊と第2隊、メグミさんの姿もあった。
「これだけ揃ってるの初めて見るな…」
「だいたいみんな任務だなんだってなかなか揃わないもんね…」
ハヅキもキョロキョロとみんなの顔を見渡す。
そして、俺たちの少し後に第3隊の3人が入ってきた。
北潟司令長が待ってましたとクラッカーを鳴らす。
「改めておかえりなさい!」
「北潟さん大袈裟ですよ」
ナナミさんは恥ずかしそうにしながら席へ座る。そして、皆思い思いに話す。
「おかえりなさい、リョウスケくん」
「おう!ユキ!みんな少しは変わったかと思ったが、ほんの数ヶ月だしな!そんな変わんなぇな」
リョウスケさんが弟のリク先輩を見る。
「おう、リク。お兄ちゃんが帰って来たのに仏頂面してんじゃねぇよぉ」
「うるせぇ!てかタバコやめたんじゃなかったのか兄貴」
「いや〜向こうにいるとストレスも溜まっちまうってもんよ〜」
俺は視線の先を変える。
「もう!頭撫でんといて!」
「ええやろイズミ〜久々に帰ってきたんやから〜」
「キモッ!ええ歳こいたおっさんが何言うとんねん!こんのシスコンがぁ!」
イズミさんの拳がタイガさんの顔面にヒットする。なおも頭を撫でようとするタイガさんの手と格闘が始まった…
俺はナナミさんへ視線を向ける。
「アヤカちゃん元気にしてましたか?」
「うん!ナナミは?」
「私はこの通り元気ですよ」
なんと微笑ましい絵だろうか…俺はその2人をずっと見ていたくなった。
「賑やかだねっ」
「だね!あたしも混ざりたくなってきた!」
ハヅキやアオイたちが話してるなかうかない顔がひとつ。
「…兄妹か」
すると、司令長がパンッと手を叩く。
「さて、これで全員揃ったので!どうぞ!私が作った料理を召し上がってください!」
ショウスケが少し気になったが俺がどうこうできる問題でもなく…目の前に並べられる料理に目を落とす。
司令長が作ったのかと料理を口に運ぶ…その瞬間顔が歪むのが分かった。
(こ…これはお世辞にも美味いとは…)そう思っていると足を蹴られる、前に座る郷田隊長が引きつった笑顔でこちらを見ていた。なるほど…と思いながら俺は横に座る他の4人を見る、が俺は目を疑った。1人だけ明らかに反応が違うやつがいた。
「司令長!これ美味しいです!料理がお上手なんですね!」
「そうですか!それは良かったです!」
横に座るショウスケが思わず声を漏らす。
「ダイチ…お前…」
「ん?どうしたの?発花くん?」
「い…いや、なんでもない…」
ダイチが皆の視線を集める中、俺はもう1人澄ました顔で料理を食べている人を見つけた。
「嘘だろ…」
それは、ナナミさんだった。
あれは、どっちなんだ…我慢してあれなのか、ダイチと同じ部類なのか…俺の頭の中はそのことで悶々とすることとなった。
そんなこんなで今日は任務も無く、本当にただの楽しい宴会をしてその日が終わったのだった…
◇◇◇
突然、何もなかった空間に少女が1人現れる。
「こんにちは、レイコちゃん」
「何しに来たセリカ」
第3隊が去った支部長室で斎條レイコと預言者セリカが対峙する。
「やだなぁそんな構えないでよ〜今日は正式に依頼をしに来たの♡」
「依頼だと?」
ヒラリと王都の紋章が刻印された手紙を取り出し、レイコに見せるセリカ
「そうだよ〜それも、失った気憶保持者のあの5人をご・指・名で♡」
ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!
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なんだか久々にこんな平和な回を書いた気がします笑
ではまた次回でお会いしましょう〜




