第三章 第1話「帰還」
「おい!ヒロトじゃ!ヒロトが帰って来たぞ!!」
じじい?これはいつの記憶だ?
これは夢だと気付き自分の手を見る、そこにはとても小さくぷにぷにした手が2つ並んでいた。
こりゃ随分と前の…
とそこでじじいが自分を抱き上げる。どうやら俺は外にいたらしく家の中に入っていく。
そういえば帰ってきたってどういうことだ?こんな体でどこかを這いずりまわってたのか?
家の中に入ると10年ほど前に死んだ婆ちゃんと氷室の爺さんがいた。
その2人がしきりに俺の名を呼ぶ。
「ヒロト…ヒロト…ヒロト!ヒロト!」
…ッハ!!
俺はそこで目が覚めた。見ると目の前でショウスケが俺を呼んでいた。
「おっ起きたな、仕事行くぞー」
「あっあぁ」
どうやら昼飯を食べたあと食堂でうたた寝をしてしまっていたようだ。俺は少し夢のことが気になったが所詮は夢だと気にせずショウスケの後を追った。
◇◇◇
「七天抜刀・風天【極】!!」
目にも留まらぬ速さで中型自然の怒り達を処理する。
そして背後ではショウスケが大型を処理する。
「爆蓮華!!」
金色の炎が巨体を焼く。
失った気憶の扱いにも俺たちは慣れて来ていた。
「月永くん!発花くん!村の人の避難終わったよー!って…いらなかったかな?」
ダイチがこちらに戻ってくる。
「いや、これだけの数湧いたんだあと1日は様子を見たほうがいい」
今日は少し離れた村周辺に大量に湧いた自然の怒りの討伐任務だった。
第一陣は全て倒しきったとは思うがまたいつ現れるか分からないので今日はこの村に泊まることにした。
ーその夜
「なんか、最近こういうの多いね〜」
ハヅキが辺りを見渡しながら呟く。
確かに合同訓練が終わってから数日、自然の怒りの出現数が多くなっている気がする。
「もしかしたら、俺たちが知ったかぶりをしてるだけなのかもな」
「え?」
「気力が溜まった植物がそれを発散する際に現れる自然の怒り、もしかしたら全く別の理由で奴らは産まれてるのかもしれない…」
「でも、そうとしか説明できない…でしょ?」
俺は少しため息をつくと腕時計を覗く。
「そろそろ見張り交代だな、起こしてくるよ」
そして、その夜も次の日も特に何も起こらず俺たちは撤収した。
◇◇◇
「あっ!おかえりなさい!」
支部の中に入ると北潟司令長がせわしなく何かをしていた。
「司令長、何してるんですか?」
「今日はあの人たちが帰ってくるのでその準備です」
「あの人たち?」
俺たちは顔を見合わせる。
「第3隊です!」
第3隊…そういえば見たことないような…
「その第3隊の人たちはどこに行ってたんですか?」
「第3隊は最前線になる資格があるかサブサイド第5支部に視察と支援に行ってたんです。まぁそれは表向きの話ですけど…」
「他に目的が?」
「はい。第5支部は王都の人間で構成されています。なので本当の目的は何か企んでないかとか色々な調査ですね、あっこれは他言無用ですよ!」
「なるほど」
今、余程王都に疑いがかかってるみたいだな。こちらからすれば当然といえば当然だが、俺たちがやってることは反逆行為に近い…
すると、外で車の止まる音が聞こえる。
「あっ帰ってきたんじゃないですか?」
3つの人影が支部内に入ってくる。
「おかえりなさい!タイガさん、リョウスケくん、ナナミちゃん!」
「ただいまです、北潟さん」
その人たちはなぜかみんなどこか見覚えのある顔だった。
「ひとまずお姉様のところに行って来ます」
「では終わったら食堂に来て下さいね〜」
お姉様??
「司令長、あの人たちって俺たち初めて会いますよね?なんかどこかで見たような…」
「それもそうでしょう。第3隊は信用の高いここの人の兄妹で構成されていますから」
「…兄妹」
「はい、隊長は虎ノ門タイガ。第1隊の虎ノ門イズミの兄です。隊員の安堂リョウスケ、第2隊の安堂リクの兄ですね。そして、彼女。斎條ナナミ、聞いての通り支部長の妹です」
「しっ支部長の…」
「いや〜美人姉妹ですよね〜ナナミちゃんいい子ですし」
確かに美人ではあったなと先ほどの顔を思い出す。
「第4隊の皆さんも報告が終わり次第食堂に来て下さいね〜」
「何かするんですか?」
「今日は隊員が全員いるので皆んなで食事でもと思いまして、それでは」
そう言って司令長は食堂の方へ行ってしまった。隊員全員が集まるということで俺たちも任務の報告をするために支部長室へ足早に向かった。
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やっと出てきました第3隊、これで第3支部全員集合です。
ではまた次回でお会いしましょう〜




