第二章 第36話「閉会式」
「世界…渡航者じゃと…?」
神島本部長は目を見開き預言者セリカを睨む。
「そう、彼は世界渡航者…神島本部長ならこの情報でご理解いただけると思うんだけど」
世界渡航者…別世界から来たとされる人間だ。でも、俺が聞いたことのある世界渡航者は迷い人、ああやって目的を持ってこの世界に来てるなんて聞いたことがない…
「つまり奴は…」
「そういうこと…あと、それ以上ここの人に喋るとお姉ちゃんに消されるから注意してね♡みんなも詳しくは聞かないようにっ!まっ神島本部長も全ては知らないんだけどね〜」
雷殿支部長が机に身を乗り出す。
「何故だ、何故俺たちには話さない。理由を言え」
預言者セリカは雷殿支部長に顔を寄せる。
「…まだその時じゃない、物事には順番があるの。それに今話しても理解できないでしょうし、混乱を招くだけよ。この世界はあなたが思ってるより複雑なのよ」
「…“その時”ってのはいつだ」
「ふふっそうねぇ…」
預言者セリカは顎に手を当て少し考えた後ニヤリと笑う。
「“この世界が終わる時”かしら?…ぁあ?あだだだだだ!痛い痛い痛い!ごめん!ごめんてお姉ちゃん!!」
突然頭を抑え苦しむ預言者セリカ。しきりにお姉ちゃんとやらに謝っている。
「どっどうした…」
「ちょっちょっと喋りすぎたみたいね…ハァ…ハァ…じゃ、じゃあセリカは帰るので…」
預言者セリカは指を鳴らすと一瞬で消えてしまった。
全員が固まり、少し会議室が静寂に包まれる…それを破ったのは俺の背後の扉だった、ゆっくりと扉が開く。
「…間が悪かったみたいだな」
「斎條支部長…」
「いや、ちょうど良い。話はだいたい終わったところじゃ、ひとまず会を閉めよう。後々また連絡する」
神島本部長は立ち上がり、ほれほれとみんなを会議室から追い出す。
「世界渡航者か…」
俺は預言者セリカの言葉を思い出す。“この世界が終わる時”…その時がくるとすれば俺たちはどうすればいいんだ?それにあの世界渡航者…もし、奴が大門クニヤスが言った“赤髪の男”なら奴は王都から来たってことじゃないのか?この世界の王は何を隠してる…
「ヒロト」
「ん?」
「あんま考えすぎんなよ」
「あぁ、そうだな…」
◇◇◇
第1支部のフィールドに各支部が並び、その視線の先には神島本部長がマイク片手に立っていた。
その頭上には順位が表示されていた。
1位:第3支部
2位:第4支部
3位:第2支部
4位:第1支部
「はてさて、皆さん。素晴らしい闘いを見させてもらいました。が、残念なことに邪魔が入ったので最終試合は無効となっておる」
なるほど、それでこの順位か。
「そして今年は景品などではなく、この順位に応じて任務を各支部に与える。これはサブサイド史上最大の任務となる…詳細は後日、また改めて連絡しよう…それではこれにて閉会とする、でわな」
各支部の面々がざわつく…サブサイド史上最大の任務…一体何が始まるんだ、赤髪の世界渡航者に預言者セリカにと色々と起こりすぎだ…少しの間皆が皆ざわざわとしていたがそれも一時でだんだんと皆散っていった。
「ショウスケ様〜♡」
突如ショウスケが背後から抱きしめられる。
「んなっなんだよ!」
「しばらく会えないかもしれないでしょぉ?パワーをチャージしとかないと♡」
「離れろよ!」
「相変わらずだな」
呆れていると黒川がリサを呼びに来る。
「姫、すでに迎えが来ております。帰りましょう。では旦那様」
「てめぇ、次旦那様つったらマジで殴るからなぁ!って、おい聞いてんのか!」
「じゃあね〜ショウスケ様〜」
黒川とリサは第2の集まる方へと行ってしまった。
「ったく!」
それを見ながら俺たちも出口へと向かう。
「さて、俺たちも帰ろうぜ〜」
◇◇◇
帰りのメグミさんが運転する車の中、女子2人がふくれていた。
その2人にメグミさんが聞く。
「さっきからそこ2人は何に拗ねてるの?」
「さぁ…?」
「「…み…たかった」」
「?見たかった?」
「「海行きたかった!!」」
ハヅキとアオイが同時に叫ぶ。
「さすがに遊ぶ暇はなかったね…」
「まっ当たり前っちゃ当たり前だよな」
とダイチとショウスケが言うと、2人が睨む。
「水着も買ったのに!」
「なかなか無いよ!?海の近くまで行くの!」
「ふふふっ2人は元気ね〜」
メグミさんが笑う。
「そんな珍しいもんでもないだろ…」
「じゃあヒロトはあたしらの水着を見たくねぇってぇのかぁ?」
「なんで見せたがってんだよ」
「水着は見せるものだよ!月永くん!」
「なんでだよ…とりあえず一旦落ち着け?そのテンションのまま帰るつもりかよ」
そのまま話は続き、案の定そのテンションのまま第3支部に到着したのだった…
◇◇◇
ーどこかの森ー
「…ガハッ!」
男は痛む体など関係なく立ち上がる。
「あの神のパシリが!絶対殺す!」
その男の背後に人影が現れる。
「誰だ」
「勝手な行動はするなと言わなかったか?」
赤髪の男はその人影を見てニヤリと笑う。
「お前か…確かに今回はお前の言う通りだったかもなぁ、だが面白いことになってたぜぇ?あの2人が一緒にいやがった」
対する人影はメガネに手を当て呆れた声を出す。
「はぁ…それぐらい私が把握してないとでも思ったか?お前がこうやって突っ込んでいかないように黙ってたんだが」
「なんだと?」
「その仮面とボイスチェンジャーをしていったのが救いか…まぁいい帰るぞ」
赤髪の男がその人影を睨む。
「お前にひとつ聞いておきたい事がある…俺に言った“その時”っていつだ、いつになれば俺は暴れられる…?」
その人影は冷徹な眼差しを赤髪の男へ向ける。
「それは…“この世界が終わる時”だ」
第二章「最前線合同訓練」 fin…
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これにて第二章は閉幕。赤髪の男の登場でまたひとつ運命の歯車が噛み合い回り始めます…
次章ではまたひとつ世界の謎に迫ります!
ではまた次回でお会いしましょう!




