第二章 第32話「策士は策に溺れない」
土煙の中立ち上がるカズキ・マクダミア。
「さっやるわよ」
4人が対峙する。
「あぁ、僕は4人揃うのを待ってたんだ」
僕は最初にばら撒いた針すべてに集中する。
「…エレクトルーム」
四方からドーム状に電気の膜が張られていく。
「何!?」
「僕の新技、エレクトルームだよ。このドームの中に入ったが最後、僕には勝てない」
「へぇ…言いますね…」
「はっ!バカじゃないの?こんなもんこの気力結晶の金棒でぶっ壊してあげる!」
ミチカは金棒を振り上げ電気の壁へ向かっていく。が、その目の前に雷が落ちる。
「おっと!!」
「確かに、それで殴られれば壊れてしまうかもしれない。でも、それは触れさせなければいいだけの話」
「なかなか生意気ね…」
僕は電磁浮遊で3人の頭上へ浮き上がる。
「もうここは僕の独壇場だよ」
エレクトルーム内は常に針からの電磁波が張りめぐらされている、誰がどこにいるか、どんな動きをしているか、失った気憶ほどではないけど分かる。
背後から隆起させた地面を渡ってカズキが攻撃を仕掛けてくる。
「丸見え…」
僕はその地面に針を刺し雷を落とす。間もなく崩れ、カズキの拳が僕に届くことはなかった。その時辺りが少し白くなっているのに気づく。
「へっへっへ…あなたの独壇場?私の独壇場の間違いではないですか?」
毒島が不気味に笑いながら霧を放出している。あっという間にエレクトルームは濃い霧で真っ白になった。
どこからともなく聞こえる毒島の声。
「さぁこれで霧が行き渡りました…いつでも麻痺でも毒でもすぐに蔓延できます…策士策に溺れるとはこのことですな…」
「…っ」
「ではまず、麻痺霧から…」
毒島が麻痺霧を放出していく。言った通りすぐにエレクトルーム全体を麻痺霧が包んだ。
「さてさて…誰から倒しますかね……???」
首をかしげる毒島。
「…探してるのは僕かな?」
バッとこちらへ振り返る毒島。
「この霧の中いつの間に後ろに!しかも麻痺は!?」
「この中で僕にそんなもの関係ないよ」
そう、残念ながら電磁波で体にバリアを張った、これで霧は僕に届かない。他2人も回避しているようだ。
毒島へ雷を落とす。咄嗟に霧で体を覆い、雷を受ける。どうなってるんだその霧…
「どうやってこの中で動けてるんですか…」
「秘密、僕はその霧のほうが気になるけどね」
「では…私も秘密です」
その時エレクトルームの端の方へ走る一つの人影…またあの人だ、懲りないなぁ。一瞬で移動し、目の前に現れてみせる。
「んなっバレた!」
「見えてるからね」
僕はある気配を察知しその場を離れる。次の瞬間、地面がドリルのようになり僕のいた場所に現れる。
カズキ・マクダミアか、地中に潜って霧を回避してたのは知ってたけど下からの攻撃はぎりぎりにならないとさすがに察知しきれないな…
「さっきから見ていれば…全員私の霧を回避ですか…」
毒島がそういうと霧がだんだん晴れていく…いや、霧が毒島のほうへと集まっていく
「ならば…霧の効能を直接叩き込んであげましょう…」
霧が毒島の体全てを包み人の形をした真っ白な塊のようになった。が、刹那、毒島が空中へ投げ出される。みると、そこにはカズキがいた。
「ぐっ…!」
「やっとまともに地上へ出れましたね」
そろそろ…妙なことをされる前に片をつけないと…
「繋がる針の雷・足枷」
エレクトルームを作っている針から全員の足元へ電流を流す。
「なに!?足が!」
「動けませんネ」
「そろそろ終わりにさせてもらう!」
しかし、毒島だけが、いや霧の塊がこちらへ向かっていた。
「…私には効きませんよぉ!!」
僕の頭上へ飛び上がる。
「毒霧・直接付与!」
「…鳥籠」
エレクトルームから発せられた電気で毒島を囲いカズキの方へと投げる。
「残念ながら能力は使えますヨ」
カズキは地面を隆起させさらに毒島をミチカのほうへと弾く。
けど、僕はそれが狙いだった。
「いないっ」
「…これだけ近づけば地形を変える前に…」
僕はカズキの懐へ電撃を纏った拳を放つ。
「繋がる針の雷・撃鉄」
「ぐぅぅう!!!」
カズキはエレクトルームの壁に叩きつけられその場に倒れる。
一方ミチカと毒島は、
「なに?私にやれって?」
鳥籠に入ったまま飛んでくる毒島目掛け金棒をフルスイングする。
「よいしょぉお!!」
打たれた毒島はそのままエレクトルームを突き破り建物と一緒に瓦礫に埋もれた。
「…壊されたか」
「当たり前でしょ、いつまでもあんたの思い通りにはならないわ」
さぁ、とミチカが金棒を構えた時ポツリと空から雨が降り始める。
「…雨」
「そう、雨。というよりこれだけ雲が集まった」
「へぇ…なるほどね」
辺りが一瞬静かになる。
「神業」
刹那、轟音と閃光と共に落ちる雷。…それはミチカを囲むように落ちた。
〈第4試合勝者、第3支部〉
僕の勝利を知らせるアナウンスが流れる。
ミチカに直撃はさせなかったものの、その場で気絶していた。
これでポイントは、
第1支部、65ポイント
第2支部、70ポイント
第3支部、85ポイント
第4支部、75ポイント
完璧だ。第1の勝ちは無いし、第2ともどうやっても同立以上、第4に1位さえ取らせなければ僕たちの勝ちだ。
僕はゲートへ戻り、光丘さんへバトンを渡す。
「あとはお願いします、光丘さん」
「任せといて、私がしっかり決めてくるからっ」
僕はしっかりとその背中を見送ってみんなのもとへと戻った。僕たちの勝利を確信して…
ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!
少し時間が空いてしまいました。単純にこの話に時間がかかったのとちょうど私事が絡んでしまい2週間近く更新できてませんでした。申し訳ないです。
次からいよいよハヅキの出番です、お楽しみに!
ではまた次回でお会いしましょう〜




