第二章 第30話「誰の味方か」
コッコッコッコッ…
暗い廊下にヒールの歩く音が響く。
「見ていかないのか」
男が話しかける。
「見るまでもない…それにお前はどうなんだ今年はやけに大人しいじゃないか」
「ハッ…見るまでないか…余程自信があるんだなレイコ」
男は続ける。
「今年はただの力比べじゃねぇ…確かに負けるのは癪に触るが勝ち負けがどうこう言ってられねぇ…」
「…そうだな、今年は世界が大きく動く。正直こんなところでこんなお遊びをしてる場合ではない」
「お遊びじゃないよー☆」
その二人の間に空気をぶち破る声が割って入る。
「これは彼らの成長の場だよ?お遊びだなんて言っちゃダメだよぉ〜?レイコちゃ〜ん♡」
金髪でまんまるのツインテール、ピンク色でかわいいふりふりのいっぱいついたワンピースを来た少女が目の前に現れる。
第3支部支部長の斎條レイコは少し怒気のこもった声でその少女へ言う。
「何をしに来たセリカ」
「預言者セリカか…セリカ=ウル=ウルファルス」
「あらぁ本名を呼んでくれるなんて照れるじゃな〜い、雷殿くん☆」
明らかに10代の見た目をした女が天災と冷酷の異名を持つ二人に余裕の表情だ。
「私の質問に答えろ」
「はいはぁい、何って彼らの成長を見に来たんだよ☆どれだけ失った気憶を使えてるかね〜」
セリカがレイコの耳元で囁く。
「レイコちゃんもあの力の怖さ、よぉく知ってるでしょ?」
「はぁ…居てもいいが余計な接触はするな、お前が来るとややこしくなる」
「はいはい、“余計な”接触はしないよ〜」
余計なと言う部分を少し強調して言う。
そして、ぴょんぴょんと跳ねながら廊下を歩いていく。
「じゃっセリカはこれで♡お話の続きどうぞっ☆」
レイコに何か言われる前に「バイバーイ」と手を振りながら闇の中へ消えていった。
「奴が来てるってことは何か起こるのか…」
「知らん、あいつの考えていることは今も昔も全く分からん。それに何かあってもお前がいるだろう?」
レイコはそう言うとまた歩きはじめる。
「なんだ?俺をおだてても何もでねぇぜ?」
「…その腕に自信がないと?」
「ふっ可愛くねぇなぁ」
雷殿リョウもマントを翻しレイコとは逆方向に歩き出した。
そして、廊下を歩く二人の他にもう一つ影が現れる…
「たまたま立ち会ってしまいましたが仲の良いことですね…しかし、預言者がここに…監視させておきましょうか…」
その男もまた歩きはじめる。
「もしもし、こちrっ!」
「そんなにセリカを監視して何がしたいのかな〜龍田ハヤトくん♡」
龍田ハヤトの前にセリカが突然現れ耳につけていた通信機を取り上げる。
「!?全くの気配を感じさせずに…!」
「いくら支部長で“流星”の異名を持ってるとはいえセリカのほうが上ってことだねっ」
通信機を切り「はいどーぞ♡」と返す。
第4支部支部長の龍田ハヤトは動揺を隠せずいた。
すると、セリカの顔が少しマジメになる。
「ひとつ、忠告しておくね」
「…忠告」
「セリカよりももっと監視しておくべき人がいるんじゃな〜い?その人を見つけるべきだね」
「なぜハッキリ教えてくれないのですか、あなたはどちらの味方なのですか」
セリカは顎に指を当て「うーん」と考える、いや、考えるふりをする。そして、声色を変える。
「セリカは預言者、誰の味方でもないの。この世界さえ守れればね…」
「…世界を守る…どういう意味ですか」
「これ以上は今は言えませーん☆セリカがお姉ちゃんに怒られちゃうからねっ」
セリカはまたスキップしながら闇へ消える。
「あとは自分で考えた方がいいよっハヤトくん♡」
ハヤトはその場に立ち尽くす。
「なんなんだ…いったい…」
◇◇◇
第1支部 55ポイント
第2支部 65ポイント
第3支部 65ポイント
第4支部 60ポイント
昨日の試合でかなりポイントは僅差になっていた。
「僕も勝って光丘さんに繋がないと!」
ゲートの前に立ち気合いを入れる。
準備運動をしていると背後に気配を感じ振り返る、そこには意外な人がいた。
「あっあなたは…」
「お前が速坂ダイチだな」
そこにいたのは第1支部の雷殿リョウ支部長だった。
「なっなんでこんなところに」
「ふっお前をひと目見ておこうと思ってな…」
雷殿リョウ支部長は僕の肩をポンッと叩くとマントを翻し、行ってしまった。
僕は意味が分からず目をパチパチさせる。
「どういうこと???」
僕何かしたっけ?もしかして一目置かれてるとか?考えれば考えるほど分からなかった。
そんな事を考えていると、雷殿支部長と入れ替わりでみんなが来てくれた。
「頑張ってこいよダイチ」
「あっうん!いい状態で光丘さんに繋ぐよ!」
「じゃっ楽しみにしてる」
僕はみんなに背を向けフィールドへ出る。
カウントダウンを聞きながら深呼吸をする。
「ふぅー…よし!」
〈1…0…スタート〉
合図とともに避雷針を発動させ駆け出した。
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最前線合同訓練3日目、預言者セリカも現れ少し不穏な空気が漂いはじめます。
ではまた次回でお会いしましょう〜




