第二章 第28話「限界の先に」
いや…焦っちゃダメよアオイ…失った気憶は相当気力を使う、なら今下手にあたしも使う必要はない。
「いくわよ!タロースちゃん!メデューサちゃん!」
岩の蛇とゴーレムがあたしたちへ突進してくる。
それにしても、“二体同時調和”って可能なの?そう簡単に波長の合うビーストが二体も現れるはずがない…
あたしとあたしのパートナーのリヴァイアは二体をギリギリまで引きつけ飛び上がる。二体の激突を狙ったのだが…
「え!?」
なんと二体共があたしたちが飛び上がった瞬間ピタッと止まりこちらを見上げる。そしてそのまま同じように飛び上がって来た。
タロースの拳とメデューサの頭突きが迫る。
あたしはタロースの攻撃を回転しながら避け、その顔面を思い切り踏んづける。が、タロースは物ともせず普通に着地する。
メデューサとリヴァイアはまた絡み合いながら落下していく、落下しながらお互いがお互いを地面に叩きつける。
「タロースちゃん!完全調和・黄金体!」
まだ強化できるほどの気力があるの!?
タロースの足元に術式陣が現れ、それがタロースの頭上まで浮上していく。浮上しきるとそこにはさっきまで茶色い岩だったタロースの体がキラキラの黄金になっていた。
「ンオオオオオオオォン」
タロースは雄叫びを上げながらその巨体を揺らしあたしへと迫る。フルスイングで放たれた大きな拳をあたしもまた拳で応える。
「はぁぁあああああ!!!」
全装甲を右腕に集める。
「水龍拳!!!」
黄金の拳と水を纏った拳がぶつかる、その衝撃で地面にクレーターができる。
あたしはそのまま止まらずタロースの腕を蹴り上げ懐へ入り込む。
「ドラゴンズインパクト!」
人間でいうみぞおちの辺りへ龍の気を纏ったエルボーを叩き込んだ。
次の瞬間、その部分が凹み巨体を後退させる。
「どう!?」
しかし、凹んだ部分がじわじわともとに戻っていく。
「金ってのはねその辺の金属より柔らかいの、その程度じゃダメージにならないわ!」
そして、ついにリヴァイアが引き剥がされ建物に叩きつけられる。
「リヴァイア!」
「さぁ、私たちに勝てるかしら?」
この子に勝つには使うしかない…でも、あたしは使えても数分、速攻で決めないと…
「メデューサちゃん!タロースちゃん!トドメよ!」
二体が同時に動きだす…
「リヴァイア!やるよ!」
リヴァイアが瓦礫の中から飛び出す。
「ガァアアア!!」
ドクン…
「失った気憶解放!!」
あたしは全気力を解放する。リヴァイアが二体を弾き飛ばしながらあたしを中心に渦を巻き始める。
「嘘!!あんたも使えるの!?」
ツノ、翼、尻尾があたしに生え、リヴァイアと一体化していくのがわかる…三叉の槍を持ち変身が完了する…
「失った気憶・青龍の鎧」
「パートナーと一体化した…」
あたしは宙を蹴り、タロースへ突っ込む。
「水龍拳!!!!」
タロースは防御虚しくボコボコになりながら吹っ飛ぶ。
「タロースちゃん!」
背後にメデューサが迫る。
あたしはくるっと振り向くと、槍を構える。
「激龍閃!!!」
水の槍がメデューサを貫く。
メデューサは空中で仰け反り瓦礫の山へ落ちる。
「そんな!二人ともあんなにあっさり!」
「あたしはそんなに保たないからね!速攻でいかせてもらうよ!」
あたしはリサへ駆け出す。
「はあああああ!」
「…まだよ!メデューサちゃん、タロースちゃん!制限解除!!」
その言葉をリサが言った瞬間、あたしの目の前に大きな岩が現れる…いや、大きな岩のカイブツが二体…
蛇からは尻尾の薙ぎ払い、ゴーレムからは右ストレートが飛んでくる。あたしはそれを咄嗟に防ぐ、あたしの足元から地面がめくれ上がるほどの衝撃。
「さっきからタフすぎよ!!」
そのままその二体からの乱撃、それを全て槍で受けていく。
先程とはスピードも威力も段違いに違う、こんな状態で維持できるなんて…
「それは半暴走状態よ、たとえ失った気憶と言えどその猛攻を耐え切れるかしら?」
「半暴走状態!?そんな危ない状態で戦わせてるの!?」
「ふっ…危なくなんてないわ!私たちはこの宝石を介して調和している、多少の波長のズレはこの宝石で修正できる!それにより二体同時調和、半暴走状態維持ができるの!」
なるほど…あたしたちみたいに直接調和してるんじゃなくて間に媒体を挟むことで波長を合わやすくかつ、強化もしやすくしてるってわけね…
「…でも、それじゃああたしたちの調和には勝てないよっ!!!」
あたしは二体の攻撃を弾き返し、反撃に転じる。
「そんな!二体とも半暴走状態なのにそれを上回るの!?」
「槍の連続攻撃だぁああああ!!!」
槍で二体を追い詰めていく。
「まだよ!!更に!身体能力強化!調和率アップ!!」
その強化によりあたしと互角に渡り合う二体。
その攻撃と攻撃がぶつかるたび周囲の建物や橋や地面が崩れていく。
「だぁああああああああ!!!!」
「はぁああああああああ!!!!」
数十秒間の撃ち合いの末、お互いの攻撃が止む…その頃には辺りの景色はまるで災害が起こったかのような有様になっていた。
あたしは槍を支えに立ち、タロースは拳を地面につき、メデューサは固まったまま動かず、リサは肩で息をしていた…しかし、全員が相手をしっかりと睨みつけていた…
「どうした…あたしは…まだやれるよ…」
ふらふらになりながも槍を二体と一人に向ける。
「こっちも…まだまだやれるに…決まってるでしょ…」
タロースとメデューサは小さいながも唸り声を上げる。
正直、あたしはほぼ限界だった…いや、リサも限界が近いだろう…これだけ失った気憶を使えば当然だ…
そして、お互いがまた構えた時にそれは来た…
「おいおいおいおい…二人ともボロボロじゃねぇか…」
あたしもリサもその男を睨む。
「帝」「コウヘイ…」
ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!
興味を持っていただけましたら、ブックマーク、他の話もよろしくお願いします!
この二人の闘いは前々から書くのが楽しみで、書いてる時も楽しかったですね〜
さて次回はどうなるのか、またお会いしましょう〜




