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ファントムブレイヴ 〜影と光の世界渡航者〜  作者: 月永ヒロト
第二章「最前線合同訓練」
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第二章 第24話「影の王」


「はぁ〜ふぅ…」


僕は襖を開ける前に一度深呼吸をする。


「失礼します、父さん」


襖を開けると僕の父、氷室ひむろコウヘイが険しい顔で座っていた。


「話とはなんでしょうか」


「まずは座れ…」


「はっはい」


僕は父さんの前に敷かれた座布団に正座する。


「…この度、お前を氷室流3代目後継者とすることが決まった」


「ほっ本当ですか!?」


思わず立ち上がる。それもそうだ夢にまで見た後継者だ。


「落ち着け、決まったと言っても“仮”だ」


「“仮”…」


…おおよその予想はつく。


「親父が…いや、初代がなかなか首を縦に振らなくてな」


やっぱり…何故祖父は僕を認めてくれないんだ…


「ただしだ、条件を満たせばお前を後継者として正式に認めると約束した。」


「その条件とはなんですか!今すぐにでも!」


「残念ながら今すぐには無理だ」


そう言いながら父さんは一枚の紙を取り出した。よく見ると何かの願書のようだった。


「父さんこれは?」


父さんは一拍置いてその言葉を言い放った。


「サブサイドへ行ってこい」


◇◇◇


「雪は嫌いですか、そうですか…それは好都合だ」


ツバサは滑るように、いやスケートのように滑りながらこちらへ向かってくる。

俺はそれに応えるべく足に力を込めるが氷でうまく力が入らない。


「この氷のフィールドでうまく動けますかね!」


ツバサの一撃目。俺は流すように受ける、カウンターを決めようにもツバサはそのまま俺の背後へ滑って行く。そして、すぐにまたこちらへ接近してきた。


「まだまだいきますよ」


俺は振り向き剣を構えるが氷に足を取られ尻餅をつく。


「おぉっと!」


ツバサの剣を尻餅をついたことでかわす。


「無様ですねぇ」


「てめぇ」


俺はすぐに立ち上がる。

足の裏に刃を造形し氷に突き刺そうとする、がまったく刺さらない。


「無駄ですよ。この氷は僕の気力ヴァイタルでできた氷、その程度の刃では斬れません」


「なるほどお前の独壇場ってかぁ?」


「そうですね、僕の完全なる独壇場です」


自信満々に言いやがる…ただ、地面がダメなら…


外套機械籠手オーバーガントレットスカイ!」


俺は肩から腰ほどまでの大きさの籠手を背面に造形する。

そして、その場から飛び上がった。


「空からなら大丈夫、とでも思いましたか…残念、この雪何のために降ってると思いますか?」


「…雪?」


その瞬間、背面のスカイが凍る。


「何!?」


スカイはその機能を失い俺は凍った地面へ落下する。そこにはツバサが待ち構えていた。

ガギンッという音が響き剣と剣が再びぶつかり合う、俺はそのまま距離を取るがツバサはそれを許さなかった。


「くっ!」


ツバサの攻撃をくらい建物へ突っ込む。

すぐに自分の上に被さった瓦礫を跳ね除け、立ち上がる。


「…そろそろお互い準備運動終わったかな?」


「ふっよくそんな大口が叩けますね」


俺は双剣を逆手に持ちかえる。


「俺も久々に本気マジになってやるよ…」


体に力を込める、気力が影となって体から溢れる。


「やっとですか、それでも僕にh」


最後まで言わせない。一瞬で間合いを詰める、対応が遅れたツバサのみぞおちへ拳をお見舞いする。


「ぐはっ!!」


「どうした、おせぇぞ」


間髪入れず剣での連撃を撃ち込む。後ずさるツバサに俺は伊奘冉イザナミを持った手を突き出す。


「伊奘冉・女吹めぶき


気力の圧をツバサにぶつける。


「…っ…なっなぜ…このフィールドで…そんな動きが…」


「お前はこの氷は自分の気力でできてると言ったな、だとすれば気力で相殺できる」


俺はその場で足踏みしてみせる。

そのまま影を揺らめかせながらツバサとの距離を詰める。


「くっ!」


ツバサは応戦する、再び剣と剣が交じり合う。が今度はこれまでと違う、ツバサは俺の攻撃に防戦一方だった。


「そんなもんか?」


ツバサの双剣を力強く弾く。ツバサの剣が宙を舞った。


「あらら、ガラ空きになっちまったな」


「!!!」


技の構えをとる。


絶影ぜつえい・イザナイ」


二筋の真っ黒な影がツバサを斬る…その瞬間周りの氷が割れキラキラと風に流されていった…


◇◇◇


目の前を黒い影に覆われ僕は次の瞬間には倒れ空を仰いでいた。


そうだ…思い出した…月永つきながヒロト、彼が影炎えいえんの影と呼ばれるよりもっと前、周囲が噂していた異名…

僕は体に影を纏う彼を見てその名を呼ぶ。


影の王ファントム・ロード…」


「あ?なんか言ったか?」


おそらく彼は知らないだろうその名で呼ばれていたことを、彼は知らないだろう周りからは勇者とは程遠い存在として見られていたことを…だが彼は言うだろう勇者になると…


「僕はそんな君に憧れていたのかもしれない、憧れるからこそ目の敵にしていたのかもしれないな」


「何言ってやがる、立てるなら立ちな」


「ふっ無理だ、もう体に力が入らないよ…僕の負けだ」


それを言った直後僕は意識を失った。


◇◇◇


「ふぅ…」


俺はその場に座り込む。


「あれ?アナウンス流れないな…あっ」


俺は思い出す、そういえば足枷をつけた奴がいたなと…


俺は日延ひのべサオリのもとへスカイを使い戻る。


「まだ元気してたか」


「あんた、うちが元気そうに見えるんか?」


そういうサオリはかなりぐったりしていた。

足に付いた超重量機械籠手ヘビィガントレットには複数のキズが入っていた、何とか外そうとしてたみたいだ。


「あんたこれ外しんさいや、ほんでちゃんと闘わんかい…」


「もう外してるよ、闘ってもいいけどその状態で俺に勝てるかな?」


日延サオリはふらふらと立ち上がる、が目眩がしたのか再び倒れる。俺はそれを受け止めた。


「な…なにしとるんや?うち、敵やで?」


「女性が顔面から倒れるのを見る趣味は無いんで」


「…ほんま中途半端にええ男やわ…」


そう言って日延サオリは意識を失った。


「そりゃどうも」


聞こえてないお礼をして、彼女をその場に寝かせる。


〈第2試合勝者、第3支部月永ヒロト〉


それを聞いた俺は、超重量機械籠手で奪った気力を彼女へ返し、入り口へと戻った。




ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!

興味を持っていただけましたらブックマーク、評価等よろしくお願いします!

次回から第3試合、誰がどんな闘いを見せてくれるのか!?

また次回でお会いしましょう〜

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