第二章 第22話「風の中の影」
〈10…9…〉
カウントダウンが始まる、俺は試合前に見た対戦相手の名前を思い出す。
第1支部は堺ヒビキ、あのリサイクルのちびだな。第2支部は氷室ツバサ、タッグバトルで2第1の2人を破ったうちの一人だ、氷の剣を使ってたのを覚えてる。第4支部は日延サオリ、玉転がしにいた女のはず…
〈スタート〉
「さてと、方向音痴だからあんまり動きたくないんだが…」
俺はまっすぐ走る。おそらくどのスタート位置からでもまっすぐ行けば噴水の広場に着くはず…と遠くで建物が壊れる音がする。
「もう始まったのか?」
俺はあたりを見渡す。
「この辺にはいないか…」
空で飛んで場所を確認してもいいが下手に場所を知られたくない。
俺は走り出す…見渡した時に体の方向を変えたせいで噴水の広場とは別の方向に向かってるとも知らずに…
少しして俺は気づく。
「あれ?広場につかねぇ?まさか間違えたのか??」
まったくその通りなのだが、不幸か幸いか建物の陰から声がする。
「おや、声がすると思えば見たことのあるツンツン頭だねぇ」
俺は声のする方へ向く、そこにはセクシー目の着物を着た女がいた。
「日延サオリか」
「そっちは月永ヒロトだね、会っちまったもんはしょうがない…やるかねぇ」
日延サオリはセンスを広げる。
「風雅纏着」
サオリの周りに風が起き始める。その風の力でサオリの体が浮く。
風の纏着か、風雅ってそういう意味じゃなかったと思うが…
「七天抜刀・夜天【迦具土】&機械籠手・牙狼」
俺も戦闘態勢へ入る。風相手なら緋天、氷天は封印だな…変に利用される可能性がある。
左腕に付けた牙狼は、小さめの籠手だが3本の刃が獣のツメのように配置されていて攻撃性が高い、かつ軽くて動きやすい籠手だ。
「あんたらうちのヒロをずいぶんと可愛がってくれたみたいやなぁ」
ヒロ?あぁあの鉄球野郎か…
「あっちから絡んできたんだろうが」
「あれはあれでかわいいとこもあるんだよ」
サオリが扇子を翻す、すると辺りの風が鋭く舞いはじめる。
「鎌鼬・扇」
風が斬撃のようになりあたりを飛び回る。どれがこちらに飛んでくるか全く分からない…
「風は気まぐれ、吹きたい時に吹く…」
刹那、風が吹いたかと思うとその風に乗り風の斬撃が目の前を通る、斬られる寸前で迦具土で斬り返す。
「ダメだ、読めねー」
服を見るとにいつのまにか切れ目ができていた。
徐々に風に囲まれてきてるな…
「なんだ、大したことないじゃないか」
「はっこの程度で有利だと思ってんのか?ちょっとばかし考えが甘いんじゃねぇの?」
俺はふといい作戦を思いつき迦具土を仕舞う。
そして空いた右腕に機械籠手を造形する。
「増幅機械籠手」
複雑な機構をしていて見た目こそゴツいもののエアーの力を使って火力を上げるこの籠手は、消費気力が小さく鬼神の半分以下で済む
ちなみに空もこの機構を使っている
「おやおやなんだかゴツいのがでてきたねぇ」
「風が読めないのなら…読む必要無し!正面からぶん殴ってやるぜ!」
俺は駆け出しながら機構を動かす、ガコンッという音と同時に空気を限界まで圧縮させ溜めていく。
それを許すまいと風の斬撃が俺を襲う、牙狼と増幅機械籠手で防ぐが全ては防ぎきれず頰や足を斬撃がかすめる、が俺はお構い無しにサオリへ拳を突き出す。
「まぁ…強引」
「吹っ飛びなぁ」
プシューという音ともに圧縮された空気が拳部分へ放出される、それは凄まじいエネルギーとなってサオリへ放たれる。
「んっ…」
サオリは風の防壁を張っていたようだったがそれはほとんど意味を成さなかった、防壁を破った衝撃は周りの建物のガラスを割り小さな小屋を崩した。
「あはあ"ぁ!」
サオリは壁へ叩きつけられる。
「うぅ…なんてパワー…でもこの程度で倒れるほどヤワじゃないんよ…」
俺はサオリの足を指差す。
「気付いてないようだから言ってやるけどな…俺がこいつを使ったのは“それ”を確実にあんたに付けるためだ」
「なっなんやこれ!?おっ重いぃ」
サオリの足には術式が書かれた黒い影の装甲が装着されていた。
「超重量機械籠手、そいつは着けているものの気力を吸ってどんどん重くなる、あんたにこれ以上気力をかけてられねぇし女をいたぶるのも趣味じゃねぇ」
俺はサオリに背を向ける。
「ちょっと!ちゃんと闘いんさいや!」
「あっそうそう、それ俺かあんたが気絶したら外れるからな、そこで俺が他のやつ倒すまで耐えときゃめでたく2位だ。じゃっ」
「んな…」
そう、俺が考えついた作戦は2位枠を確保して他の2人を3位と4位に落とす、最初に会ったのが4支部のやつで良かった。
「さてと…あっちもあっちでおっぱじまってるはずだけど…」
なんでこの街こんな複雑なんだ…まぁ見つけた時に決着が着いてればそれはそれでいいんだけど。
と俺は少し期待しながら堺ヒビキと氷室ツバサを探し始めた。
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ではまた次回でお会いしましょう〜




