第二章 第19話「王都と第5支部」
合同訓練1日目の夜、俺たちは町の居酒屋で夕食を取っていた。
「ったくよぉ3位なんか取ってきやがって」
「お前ら3人も3位だったろうがよ!」
「ほんとに…ここから挽回するには個人戦で全員がいい成績とらないと1位にはなれないからね?」
「速坂くん、どうなれば私たちが1位になれるの?」
えぇっととダイチがメモ帳を取り出す。
「現在一位が第2支部、40ポイント。二位第1支部、30ポイント。三位第3支部、20ポイント。四位第4支部、10ポイント。僕たちと第2は20ポイント差がある、それでも明日のソロバトルで逆転は全然ある」
第2支部…タッグバトル決勝で、ショウスケとアオイに勝った第1支部をあっさりと倒してしまった。幻術がばれていようがいまいが第1は負けただろう、それほどの実力差だった。
「ソロバトルは1~5ブロックに分かれて行うバトルロワイヤル、得点は今までと同じ、一位には20ポイント与えられる」
「つまり?」
「つまり…」
ダイチが言いかけたところでショウスケが立ち上がる。
「計算なんてめんどくせぇ!簡単だ全員がトップを取ってくればいいんだろ?」
ダイチがふっっと笑ってメモ帳を閉じる。
「そうだね、全員が一位を取れば僕らの優勝だよ」
みんな顔を見合わせ、アオイがグラスを頭上へかざす。
「じゃあ!明日のみんなの健闘を祈って!」
「「「「「かんぱーーい!!」」」」」
店にグラス同士がぶつかる音が響く…俺はのどを通る爽快感を感じながら闘志を燃やしていた。
◇◇◇
重たい扉が開く。
「来てくれたか…」
「はい」
薄暗い部屋に黒いテーブルがひとつ。そこにはすでに3人の男が座っていた、そこに女、斎條レイコと共にこの部屋に入ってきた雷殿リョウが追加で座る。
雷殿リョウの隣に腕を組んで座るガタイのいい男、「魔神」の異名を持つ来栖カズサ。その向かいには紫の髪にところどころ星のアクセサリーをした「流星」の異名を持つ龍田ハヤト、周りからイケメンと称されるだけあって顔はかなり整っている。
そして一番奥に凄まじいオーラを放つ老人、サブサイド本部部長、神島ムネオが座している。
斎條レイコも空いていた龍田ハヤトの隣へ座る。
「さて、よく全員集まってくれた。こうやって最前線支部の支部長が一堂に会することなどめったにあるまい…」
「本部長殿、して要件とは?」
来栖カズサが腕を組んだまま質問する。
「みな分かっておろう?第5支部についてじゃ」
第5支部、今現在最も最前線に近い前線支部だ。
「……先日正式に第5支部を最前線支部にすることとなった」
全員が顔をしかめ本部長を見る。
「本気かじぃさん」
雷殿リョウがマジメな顔をする。
「世界狂騒の発生件数、研究報告、人員の実力、もうワシらが拒む以外に最前線になれない理由がないんじゃよ…」
なぜこうも拒むのか、それは第5支部が王都によって作られた支部だからであった。いくら別組織であったとしても市民の安全のため、だとか協力体制をとるだとかを市民に謳われればこちらも手を取るしかなかった。
そんな中で、最前線の支部には前線以降の支部には開示しない極秘資料がある、主に王都に関しての資料だ、それが何かの形で奴らに知られれば大騒ぎになる。
王都とサブサイドは別組織、さらには王都への不信感が募っている今第5支部が最前線になるのはよろしくなかった。
龍田ハヤトが口を開く。
「決まってしまった以上、うだうだ話しててもらちが明きません。とりあえず資料は本部長に一度預けましょう。僕らが持っていると見つけ出されかねませんからね」
「本部長殿、第5支部の支部長は誰に?」
「…王都の人間じゃ、本当の名は知らんがコードネームで「メビウス」と言われておった」
「チッすかしてやがる」
「そのメビウスとか言う人にも会ってみないとですね」
みなが黙り少しの沈黙が訪れる
「そうじゃ、大事なことを言い忘れておった。レイコ君、これにより君のとこの第3隊の任を解く、あちらにも届を出しているから直に戻るじゃろう」
「承知しました」
第3支部第3隊、第5支部の支援とともに調査を行っていた。それが今回の件で解任となったのだ。
「帰ったらごちそうでも振舞ってあげなさい」
「はい」
そのあとは各支部の近況報告をし解散となった。
〈本当ですか!?ではこちらで準備をしておきますので!〉
「あぁ」
斎條レイコは賑やかな声のする電話を切り、今日の話を振り返り思う。
また面倒くさくなりそうだと…
ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!
興味を持っていただけましたら感想、ブックマーク等よろしくお願いします!




