第二章 第13話「スタートダッシュ」
「あんた達バカね!」
突如リサが俺とマサタカへ声を上げる
「ふんっ突然何を言い出すかと思えばただの悪口か?とんだ女だ」
「…どうとでも言うがいいわ、あんた達に教えてあげる…今!私達がしているのは何?」
「玉転がしであろう?それかどうしたのだ」
リサがニヤリと笑う
「そうよ!玉転がし!私達がしなければならないことはあの玉を!ゴールへ運ぶこと!」
「だからこうやってお前らに先にゴールされないように足止めしてんじゃねぇかよ」
「フフッどうやらあんた達は足止めしてるって思ってるみたいだけど…残念ながらあんた達は私に足止め“されてる”のよ!一方的にね!」
やけに自信満々な態度をとるリサ、ハッと後ろを振り返りダイチ達を見る
「あんた達は気づいてないけどまぁまぁの攻防を経て今、第1と第3が並んで玉を押してるわ、私達第2がその後、第4は…論外ね」
「あそこから逆転する策でもあると?」
「その通りよ、あら考える頭はあったのね全部筋肉でできてるのかと思ったわ」
リサがマサタカを煽る
「キサマ、ナメるのもいい加減しろよ!」
マサタカが飛び上がり拳を振り上げる
しかし、その一撃はメデューサが防ぐ
「フフッそんなことしてる暇があったら玉を押しに行けば?」
「必要ない、俺はチームメイトを信じてる」
「あっそ信じるも信じないもどっちでもいいけど勝つのは私達よ」
リサは扇子を取り出し自分を仰ぎはじめる
「さぁメデューサちゃんそろそろゴールへ向かいましょっこいつの相手することないわ」
「シュロロロロロ」
「おいっ!」
「こんな茶番に付き合ってあげたんだから感謝しなさいっ」
リサはマサタカを一瞥し、メデューサの頭に乗って玉の後を追いかける
「ヒロト、あんたも玉押しに行った方がいいわよ〜」
あれだけの自信、おそらく本当に勝つ策があるのだろう
そして、俺も玉へ走り出した
◇◇◇
正直妨害している暇もなかった、ゴールは目前、妨害しようにもこんなところでヘマは踏めない、おそらくお互いがその考えでひたすらに目の前の玉を転がす
どちらが勝つか分からないほどの僅差だ、ただ合同訓練一発目…ここはなんとか1位を取っておきたい…!
僕は第1へひっそりと針を向ける、電撃を当てられれば…そう思った時背後から声が聞こえる
「勝つのは我々だ!」
第2隊の玉!
「ゴールまで約30m、この辺りですな」
そういうと1人が玉から手を離し地面へ手をかざす
「地形変化“スロープ”」
男の目の前から地面がせり上がりゴールまでの緩やかな坂ができる
「まさか!」
「これならば玉への能力行使にはなるまい」
第2隊の玉が坂を下り加速し始める、もう1人が更に押す
そうか、今になってこれを使ったのは妨害を防ぐため、このゴール目前でそのリスクを犯すやつはいないと踏んだのか
その時ふと玉が軽くなる
「全力で押せ!!」
「月永くん!」
第2隊が迫る、それから3人になった第1と第3隊が逃げる
「無駄よ!勝つのは私達第2隊なんだから!」
「俺たち第1だぁ!!」
「スタートダッシュは俺ら第3が決める!」
……そしてゴールテープが切られた
◇◇◇
遅れて第4隊がゴールする、臼木ヒロがかなり怒られているのを横目に表示されている得点板を見る
「10ポイント…」
上から順に第2、1、3、4と並んでいる。結局第2の作戦勝ち、ゴールまで数mというところで見事に抜き去られた
「やりましたね姫!」
「よくやったわあんた達」
リサは持っている扇子でこちらを指す
「私の聡明なる頭脳の前には誰も敵わないのよ!」
「お前その性格なおんねぇのか…ショウスケに嫌われるぞ」
「ふんっあんたに言われても何も響かないわ!それにショウスケ様が私を嫌うわけないでしょう?」
その自信はどこから湧いてるんだ…
とリサがハヅキに気づく
「あら誰かと思えばハヅキじゃない」
「リサちゃん久しぶり〜」
リサがまじまじとこちらを見る
「フフッその様子だと“まだ”みたいね…」
「!?」
「まぁがんばんなさい」
にやにやしながらこちらに背を向け、ひらひらと扇子を振る
「今の何の話だ?」
「しっしらないっ!」
「ははは…」
首を傾げながら俺たちはショウスケとアオイのもとへ戻る。
「なぁに3位なんざ取ってきてんだよ!」
顔を見るやいなや煽るショウスケ
「あぁ?じゃあてめぇが出たら1位だったってか?」
「まぁまぁ」
とダイチに止められる
「見とけ!俺とアオイで1位を掻っ攫って来てやるよ!」
「おう、それで取れなかったら何言われても文句言うなよ」
「当たり前だ」
見るとアオイはもう入り口へ向かっていた
「ほら駄弁ってないでいくよ〜」
「2人とも頑張ってね〜」
「任せといてハヅキ」
そう言ってフィールドへ2人は入っていった
俺たちは用意された席に座り2人を見守る、ショウスケとアオイ、炎と水、あのタッグは見たことないが単純なバトルならきっと勝てる
と俺はあることに気づく、正面向かい側の第2隊が座っている席、そこで1人の女がとんでもない殺意をショウスケの隣に立つアオイに向けていることに…
「まずいって言ったでしょ…?」
俺はハヅキと顔を見合わせた
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