第六章 第22話「現れる強者」
前回のファントムブレイヴ
ヤマトとの戦い中、星の気力を掴むことができたダイチ。星の気力の力で天空眼を天星眼に進化させ、未来視の能力を得る。苦戦を強いられていたヤマトに未来視の能力で攻撃を読み、回復させないよう怒涛の攻撃を叩き込んで、ついにヤマトを倒したのだった…
僕は、大の字になって倒れるヤマトのそばに降り立つ。
「まだ、意識があったのか…」
倒れたヤマトは動かず、だが目は開いていた。
「俺は…負けた…主様と師匠に合わせる顔がないでござる…切腹をしたいがそれをする力も残っていないでござる…情けない…」
「切腹はさせないよ、お前は拘束する」
「意味のない…残念だがお前たちは主様どころか師匠にすら勝てないでござる」
「師匠…?」
「俺の師匠…主様の側近の1人でござる」
「側近…」
ヤマトはスッと目を閉じる。
「これ以上は喋らぬ…あとは煮るなり焼くなり好きにするでござる…」
ヤマトより強い…あと敵にはどれくらいの人数がいるんだ…
◇◇◇
ー王都・サブサイド本部ー
「バカな…全く歯が立たない…!」
本部長・神島ジュンヤは動かぬ体を奮い立たせようとするが、体は言うことを聞かず、振り返りもせずスタスタと歩いて行く奴を見ることしかできない。
「いやぁ、少し手間取ってしまいましたかな…しかし、任務完了…」
やれやれという感じで歩くのは、主様側近・青木ヨシタカ
本部は次々と崩れ落ち、あちこちから火の手が上がっていた。
「待て…!」
神島ジュンヤはヨシタカに向かって鉄の拳を地面から突き出させる。
しかし、それはまるで豆腐かのようにいとも簡単に斬り伏せ、蒼く光る刀身を鞘に収める。
「…もう、いいですかな?」
「くっぐぅ……」
神島ジュンヤは霞む視界の中、その背中を見ることしかできかなかった…
◇◇◇
ーサブサイド・第一支部ー
「来たか…」
曇り空の中、支部の一番高い屋根の上に立つ第一支部支部長・雷殿リョウ。その目線の先には空を飛んでくる人影が1つ。
「ぬははははははッ!まさか一人か!?」
現れたのは、主様側近・田淵ソーマ
ソーマは高笑いし、雷殿リョウを指差す。
「そりゃこっちのセリフだ、俺相手にお前1人か?」
2人は互いに睨み合う。
「全く、俺1人で残って正解だったぜ。なんだてめぇ、その気力の量は?人間か?少なく見ても俺の倍はあるぞ」
「当たり前だ!俺の能力は“気力の濃縮”!気力が多ければ多いほどいい!」
「自己紹介助かるぜ、さっさとくたばってくれ…!」
ソーマを押さえ込むように電流が走り始め、そのまま四方から雷が落ちる。
ソーマはそれを避けずに受ける。バリバリと体に電流が走りながらもニタリと笑う。そして両腕をバッと広げた。
「お前!最強なんだろ!?ここはサブサイド第一支部、その長であるお前は最強なんだろ!?」
「最強…?」
「俺は強いやつと戦いたい…!これを防いでみろ!最強!」
空に星のような光が無数に生まれていく。その一つ一つに通常では考えられない気力量が詰め込まれている。
「気弾流星群!」
「おいおい、街ごと更地にするつもりか?」
雷殿リョウはババッと姿勢を低くし、ポーズを決める。
「暴風壁&烈雨」
凄まじい暴風が吹き荒れる、放たれた気弾は風の壁で止め、それをレーザーのような雨が貫く。貫かれた気弾はその場で爆発していく。その衝撃はまるで地震のように大地も空気も揺らす。
「全くバケモンが…お前、俺を最強と言ったが違うな…俺は天才だ…っ!」
リョウはソーマを指差すようにポーズを決める。
「烈風!」
風が纏まり、槍のように鋭く旋回しながらソーマへ放たれる。
「気槍!」
対するソーマは濃縮した気力を槍の形にし、烈風にぶつける。
ぶつかった2つの槍は拮抗し、衝撃波を産む。
「いいねぇ!期待通り!久しぶりに本気で戦れそうだ…!」
「好き勝手言いやがって…」
ソーマの頭上で雷がゴロゴロと威嚇するように鳴る。
「星の気力よ…」
リョウは視界の端に映った星の気力の綻びを掴む。
すると、空からパラパラと雹が降り始める。2つの槍は相殺し合い消える、と同時に雲の間から巨大な影が顔を覗かせる。
「おいおい…“街ごと更地にする気か”なんてよく俺に言えたもんだな…」
「…"国落とし・ニヴルヘイム”!!!」
雲の間から現れたのは氷山と言っても差し支えないほどの巨大な氷の塊、辺りの温度が急激に下がっていく。
「本気で戦り合いたいんだろ?だったらこれぐらい…止めてみろ…!」
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ではまた次回でお会いしましょう〜