第六章 第14話「圧倒的」
前回のファントムブレイヴ
チップともにダズ村へ向かうハヅキ、そこには以前と同じようにチハルがいた。チハルはこの状況からハヅキが特異点だと言い、ハヅキを主様の下へ連れていくと宣言する。チハルがその能力を表しハヅキは驚愕する、それは自信をドラゴンに変える気術だった。その巨躯とパワーに圧倒されるがハヅキはバレッズを展開し立ち向かった
「スター・クロスバレッズ!」
私は光で2対のトゲ付きの球を作り出し、自分を中心に周回させる。
「気力の塊が2つ、君を中心に回っているね」
敵ながらすごい…視界を奪ってこの察知能力、これがドラゴン…
「それ知ってるよ、君のメイン戦闘スタイルだ。そんなちっぽけなので僕を落とせるかな?」
そう言ってチハルは大きな翼を広げ、羽ばたく。まるで嵐のような風が起こり草木を揺らす。
私はその翼に向かってバレッズを飛ばした、しかしその羽ばたきにいとも簡単に弾かれてしまう。
「ハハッ!まるで虫だね」
チハルは飛び立つ、上空を旋回しながら狙いを定めこちらに急降下してきた。
「光の豪雨!」
光の弾丸を無数に生み出しチハルへ向け発射する。
それらはほぼ全て命中するが、まるで効いてないかのようにそのまま突っ込んでくる。
「光球!」
チハルの鋭く大きな鉤爪が目の前に迫る、「まずい」本能的にそう思い体を逸らした。
その瞬間光球は一瞬も耐える事なく斬り裂かれる、風圧と衝撃に私は吹き飛ばされた。
「きゃあっ!!」
チハルはそのまま空へ舞い戻る。
力が圧倒的すぎる、防御が意味を成さない…攻撃して弱点を見つけるしかないか…
「点展開!」
空中に光をばら撒いた。
「ポイントワープ!」
そのばら撒いた光へ飛ぶ。
「へぇ、僕の上を取るなんて生意気だね」
「いつまでもただ飛んでるのを見てるだけだと思わないでね」
「でも、ドラゴン相手に空中戦する気かい?それはもう無謀だよ」
「それは私を倒してから言ってくれる?」
私は3点をパッと移動する。
「術式展開!」
「術式?設置型の術式かい?そんなのに僕が引っ掛かるとでも?」
よし…目で見ればどんな術式がある程度分かるけどチハルはそれが見えない、それでも2回目以降は通用しないだろうけどこれは確実に当てる…!
落下しながらポイントワープを繰り返しチハルの真上を取る。
「ちょこまかと!」
「こんな巨体動かしたことないけど、私ごといけば…」
私はチハルに触れる。
「ポイントワープ!」
設置しておいたある点にワープ。
「僕を移動させたのか!?」
そして、有無を言わさず即攻撃に移る。
「3連・太陽の怒り!!」
さっきの術式から放たれるビーム、それらはチハルの両翼と首へ命中する。
「ぐっ!?」
それらは見事命中し、チハルは落ちていった。
「よしっ!」
だが、途中で翼を広げまるでノーダメージかのようにまた上昇してくる。
さすがにか…でも効いてはいるはず、追い討ちを…バレッズに光を集めて、今の出せる最高速度で叩き込む!!
「行けっ!」
上昇してくるチハルに向けてバレッズを向かわせ、チハルの体の至る所へバレッズを突撃させた。かなりの回数当ててるはずなのにものともせず私の上を取る。
「鬱陶しいねこれ」
ってことは邪魔にはなってる。でもその程度…防御に関しても圧倒的…
チハルは息を吸い込んだ。
「まさか!」
そのまさか、チハルは次の瞬間炎を吐いた。
「光球!」
熱い…!一瞬間に合わず炎を浴びてしまった。落下していく私を撃ち落とすように真上から炎のブレスを浴びせてくる。こんなことなら発花くんに炎との戦い方聞いとくんだった…!
「バレッズ!」
バレッズを2対ともチハルの顎へ突撃させた。
「んぐっ!?」
口が閉まり、炎が止む。
「ポイントワープ!」
上空へ戻る、状況は良くない…消耗戦になれば確実に負ける、バレッズに光を集め続ければ威力は上がっていく、でもその分私の使える光が減る…
未完成だけどやるしかない…今完成させればいい…アレを…!
◆◆◆
「ハヅキはほぼ中遠距離じゃない?ずっとそれでいくの?」
訓練中アオイちゃんがそんなことを聞いてきた。
「まぁバレッズもあるし、特に不満はないかな」
「でもそれが通用しない相手が出てきたら?バレッズだって最高威力まで時間かかるでしょ」
「そうだけど…」
「近距離戦用になんか考えたら?あたし手伝うよ!」
「そうだなぁじゃあ今度頼もうかな」
「よし、決まり!じゃあ組み手でもしますか!」
◆◆◆
ほんとアオイちゃんの言う通りになっちゃったよ…ちゃんと完成させとけば良かったな…チハルを見下ろす。
「集中…!!」
頬をパンッと叩く、イメージはできてる、実践級に練習できる機会がほぼ無かっただけ…やってみよう、じゃなきゃ勝てない…!
私はバレッズを消す。
「ん?」
チハルが不思議そうにこちらを見る。
落下しながら手を伸ばし手のひらを開く、そしてそこに略奪で奪ってきた光を集める。今もなお集まってきている光は自分の気力として吸収していたわけじゃなく、背中の光輪やバレッズに纏わせるような形で集めていた、それを…
「私の中に…!」
光を掴むようにグッと手を閉じる。
「略奪の光姫・モード・ルミナス」
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ではまた次回でお会いしましょう〜