第六章 第6話「斎條レイコvsイデアル」
前回のファントムブレイヴ
ヒロトvsヒロトの神の器同士の戦いが始まり熾烈な戦いを繰り広げるが別世界のヒロトは余裕を残しながらヒロトを圧倒する。一方残されたショウスケはイデアルと謎の人物と対峙し戦いを挑むがそこへ第3支部支部長斎條レイコが到着する。斎條レイコは謎の変身する人物をショウスケに任せ、訳アリだというイデアルと対峙する。
イデアルと斎條レイコが対峙する。2人の気迫だけで周囲の空気が重くそしてヒリつく。
「私の事、訳アリって言ったわね?一体何の訳があるのかしら」
「言う必要はない」
「まぁいいわ、私がなぜ厄災の魔女と呼ばれていたか教えてあげる」
イデアルが杖を振る。すると、第3支部の建物が光り次々と爆発を起こす。
爆風を背に受けながら斎條レイコはイデアルから目を逸らさない。
「焦らないのね」
「非戦闘員、必要機材は避難済みだ。建物がどうなろうが関係無い」
「ふーん、つまらないわね」
◆◆◆
数時間前
斎條ナナミが第3支部内を走り回る。
「皆!必要な物、大事な物は私に持ってきて!」
斎條ナナミの圧縮の気術でいろいろな物を小さくしていく。
「ナナミさんに圧縮してもらった人から随時避難をお願いします。誰か館内放送もお願いします!」
司令長の北潟カスミと副司令長の斎條ナナミの指揮で第3支部内から人と物が次々と避難していく。
「司令長、寮は?」
「寮は虎ノ門兄妹に守りの術式をお願いしてます。ナナミちゃんも圧縮終わり次第避難して」
「はい!」
こうして第3支部はたった数時間でもぬけの殻となった。
◆◆◆
「でもそれなら心置きなく、あなたも本気を出せるって訳ね…楽しみだわ」
「…本気か、いつから出してなかったろうな」
イデアルが手を掲げると斎條レイコの周囲に建物を破壊した時と同じレベルの光りがいくつも発生する。
「全操作・拒絶」
次の瞬間、斎條レイコを中心に大爆発が起こる。
「ふふっどう耐えるのかしら、それとも死んだ?」
イデアルはニヤリと笑うが、爆炎と土煙が爆発の中心地から逃げるように退いていく。
「っ!」
そこには、キズどころか汚れひとつ付いていない斎條レイコが腕を組み立っていた。
「この程度な訳はないと思うが、私の本気を見たいんじゃなかったのか?」
「当たり前じゃないっ」
イデアルが杖を払うと空中に無数の魔法陣が展開される。
「プロミネンス・レイ!」
そしてその魔法陣からビームが次々と放たれた。
「重力穴」
イデアルと斎條レイコの間の空間が歪み、そこに真っ黒な球が発生する。その重力穴はイデアルが放ったビームを全て吸い込んでいき、吸い込み終えるとまるで何もなかったかのように消える。
「ボルケーノ・ノヴァ」
イデアルが杖で地面を2回コンコンっと叩く、それと同時に斎條レイコの足元に魔法陣が二重に展開し、その地面の下で爆発が起こる。
「重力抑」
その爆発は地面ごと斎條レイコを突き上げようとするが重力で地面ごと押さえつけられ地震のような振動だけを発生させる。
「そうすると思ったわ」
「?」
「あなたは今噴火寸前の火口の上に立ってるようなもの、今押さえつけられたエネルギーはまだそこにある…そしてまだ噴火は終わってない」
「そうか…」
地面に亀裂が入り今にも爆発が起こりそうになる。
「沈黙圧」
だが、その前に逆に斎條レイコの立つ周囲の地面が音を立て大きく凹む。
「エネルギーも2回目の爆発も潰しておいた」
平然とそういいながら凹んだ地面から出る。
「…っ!何あなた…無敵なの?」
「さぁな…ちなみにだがお前はもう全操作の射程圏内に入った。だから…」
イデアルがその場に崩れ落ちる。
「ぐっ…!」
「お前の重力のベクトルと強さを操作できる」
「こんなの…相殺して…!」
「できるのか?純粋な重力の気術の力と半端な魔法の力なら前者の方が強そうだが」
イデアルはさらに体勢が崩れ、見えない何かに踏まれているような状態になる。
「この私が!こんな簡単に…!」
イデアルは抵抗しようとなんとか杖を斎條レイコへ向ける。
「分かってないみたいだな、私は今お前の重力のベクトルも操作できる。つまりこのままこの星から追放できる」
「…!!」
「その前に大気圏で燃え尽きそうだが」
「じゃあその前に私の全魔力をもってあなたを粉微塵にしてあげる」
2人が今にも行動を起こそうとした瞬間、声が響く。
「やめてっ!!!!」
2人はピタリと止まり、斎條レイコは声のした方へ振り返る。
「なぜまだここにいる…カスミ…!!」
そこに現れたのは第3支部司令長、北潟カスミだった。
ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!
興味を持っていただけましたらブックマーク等してもらえると励みになります!
ではまた次回でお会いしましょう〜