第六章 第3話「絶望の始まり」
前回のファントムブレイヴ
休みを取りバーバラの罪を探るハヅキ。調査の末、過去に抗争の末に壊滅したダズ村という村に辿り着く。そこには冒険家を名乗るチハルという女の子が調査に来ていて、チハルに村の地下にある特異点の遺跡を見せてもらう。バーバラが捕まった経緯は分かったが原因である特異点という存在は分からぬままハヅキは村を後にする。
私はダズ村から帰ってきた後、“特異点”について調べたけどどこを見ても特異点という言葉の意味しか分からず、ずっとモヤモヤしていた。
「バーバラに聞くしかないのかなぁ」
自室のベッドに転がりながらため息混じりに言葉が盛れる。
バーバラに聞けば分かるのかもしれない、でもそれはバーバラが教えてくれた場合、それにどちらにしても地雷を踏み抜く覚悟じゃないと無理だ…
「私にはそんな勇気無いよぉ、バーバラ怒ると怖いし嫌われたくないし…」
もう少し調べてみようと決めてその日は眠りについた…
◇◇◇
「おはよう…お姉ちゃん…」
「「!?」」
そこに立つ少女の姿にセレナとセリカは驚く。
「「ステラ!!」」
そして2人は駆け寄りステラに抱きつく。
「目が覚めたの!?」
「うん…」
「もう目が覚めないのかと…」
神の使いであるこの3姉妹の末っ子ステラは眠ることで神からの予言を受け取ることができる予言者、予言を受け取る際には数日眠るのだが、今回は1ヶ月以上も目を覚ましていなかった
「予言は!?」
預言者であるセリカが食い入るように聞くが、ステラは首を横に振る。
「たぶん、妨害されてた…夢の中で神様をずっと探してたんだけど同じところをぐるぐる回ってて…」
「妨害…」
「これで確定した!あの主様とかいう奴は神力を持ってる!しかもかなり強い!」
セリカの鼻息が荒くなる。
「セリカ、落ち着け。予言がないんじゃ確実に先手を打たれる…こちらも手を打たないと」
「手を打つってどうするの、あいつの目的はほぼ確定してる…月永ヒロトを守るの?隠すの?残念だけど彼はそんな事に応じる人じゃないわよ?」
◇◇◇
ーサブサイド第3支部ー
「どうだ小僧、神力には慣れてきたか」
「ハァ…ハァ…まだ慣れねぇよ、気力を使う量が失った気憶の比じゃねぇ」
俺は毎日のようにチョコ…犬神と神力を使う訓練をしていた。
自分の気力とチョコの魂とで神力を練り出すのだがそこにかなりの力を使う。
「今日は一日訓練だ、午前中に神力を溜めておけ」
「あぁ」
訓練し始めて分かった事がある、神力は例えるならばプールに貯まった水だ。空のプールに水を貯めるように神力も使用前には溜めるという行為が必要になり、無くなれば空になる。
「小僧、お前には“月詠”を急ぎ習得してもらう…過去の器の誰も習得し得なかった技だ」
「つくよみ?俺にできんのかよ、センスのあった前任者でも出来なかったんだろ?」
「あれは単に時間が無かった、それに急ぎ習得せねばならん状況でもなかったからな」
「今は急いでるってか…よしっ休憩はもういい、神力錬成するぞチョコ」
「…お前に我を犬神と呼ばせる事は諦めてないからな」
◇◇◇
夜、とあるサブサイド前線支部…
「うわぁぁああ!!」
「ふむ…ここも規模が小さい上に手応えが無い…」
刀を鞘にしまいながら男は今斬ったサブサイドの隊員を一瞥する。
「サブサイドは排除対象だと聞いていたが、これでは先に潰しておく必要を感じぬが…いや、手堅く確実に…主様のため…」
男はのらりくらりとその支部を後にする。
「次はどこへ辿り着きますやら、ソーマ殿と鉢合わせなければ良いが…いや、苦手意識は取り払わなくては…それも主様のため…」
◇◇◇
また別のサブサイド前線支部…
「ぬははははは!!!」
男は上空で笑う。
「圧倒的!絶望的!」
破壊し尽くされたサブサイドの建物を眺めながら勝利のポーズを決める。
「こりゃあヨシミネのおっさんがのろのろしてる間にこの田淵ソーマ様が全部ぶっ壊しちまうかもなぁ!」
男は少し考えた後、ニタリと笑う。
「いやぁ…主様にはサブサイドの排除としか言われてねぇ…最前線行くかぁ?」
男は高笑いを夜の空に響かせた後、どこかへ飛び去った。
◇◇◇
ーサブサイド本部ー
「夜中に叩き起こされてみればこれは…」
本部長である神島ジュンヤが本部に駆けつけた時にはサブサイドの支部が10支部近く襲撃されていた。
「状況を簡潔に」
「はい!昨夜日が変わった頃から突如襲撃が始まっています。各支部の夜番だった隊員達の状況は確認中ですが、既に死傷者の報告も出ています…!建物等に関しても被害は甚大、寮が隣接している支部は寮も破壊されているようです!」
「確実に我々サブサイドを狙った者が仕掛けているようですね、これだけ被害が大きければ犯人は複数?」
「それが、各支部からの報告からするにたった2人が各支部を1人で襲っているようで…」
「前線支部をたった1人で…?」
本部長の脳裏に主様の名前がよぎる。
「至急サブサイド全支部へ通達して下さい、直ちに臨戦体制に入る事と命を最優先にするようにと」
「はい!」
「今まで隠れていた者が出てきたのなら好都合、確実に我々サブサイドがこの世界から追放します…!!」
ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!
興味を持っていただけましたらブックマーク等してもらえると励みになります!
ではまた次回でお会いしましょう〜