第五章 第23話「白夜vs月永シュウジ」
前回のファントムブレイヴ
ヒロト&ショウスケvs月永シュウジの戦いはヒートアップしていく。2人は失った気憶を解放した状態でのリンクを発動し、その状態を“白夜”と呼んだ。2人は月永シュウジへと攻撃を繰り出していくがそれでも分解の気術の前には攻撃は届かず、さらに月永シュウジは失った気憶も解放し攻撃は過激さを増していく…
俺達へ向けて父さんは分解気弾の雨を降らせる。
「あっちが弾幕張るならこっちも弾幕だ!」
ショウスケを中心に炎が地を這う、そしてその地面から無数の火の玉が放たれる。
「無限鬼花火!」
鬼火達は分解気弾とぶつかり小爆発を起こしながら互いに消滅する。
「ヒロト!気弾は俺がどうにかする!行ってこい!」
「あぁ!」
俺は地を蹴り飛び上がる、そして炎を噴出させ父さんの下へ向かう。
父さんの体勢を崩すには衝撃波しかない…!
「影籠手!」
俺の右腕に影が纏わりつき大きな腕の形を成していく。
「白炎!」
そして影籠手に白炎を纏わせる。
それを見た父さんは俺に気弾集中的に放ってくる、だが俺はお構いなしに突っ込んでいく。気弾とぶつかる寸前、背後から火の玉達が俺を追い越し気弾と衝突し目の前が爆炎で覆われた、俺はその爆炎をも纏い父さんの目の前までたどり着く。
「おおおおぉぉ!!!」
俺は白炎を纏った影籠手を振るう、散々分解される射程距離は見てきた、父さんに分解されないぎりぎりのところで振り切る。
大気が震える、放たれた衝撃波と熱波は父さんに直撃した。
「ぐっ…」
父さんは体勢を崩し浮遊術式の範囲外へ飛ばされ落下していく。
それを横目にショウスケが俺へ向かって飛んでくる。
「ヒロト!追撃だ!!」
そういいながら俺も通り越した後、こちらに足を向けて勢いよく降下してくる。
「気術が効かねぇんなら、シンプルに物理だ!」
「ったく!捕まったらすぐ来いよ!?」
俺もショウスケに足を向ける。そして、お互いの足の裏をバンッと合わせグッと踏ん張る。
「いっけぇ!!」
ショウスケの掛け声と同時にお互いに蹴る。白炎のブーストも合わせて凄まじいスピードで急降下する。
父さんはこちらを見ると腕を交差させ防御体勢を取る。
「ぶっ壊れんなよ!俺の腕!!」
父さんの分解の射程距離ギリギリまで加速していく、そして腕を振り上げた。
「うおおおぉぉ!!!」
拳を突き出し父さんに迫る、分解の射程距離に入り纏っていた白炎と影が消されるがここまで加速した勢いはそのまま父さんが張った気力の壁に拳がぶち当たる。
「砕く!!」
しかし、生身の拳ではその壁は硬くもう一押しパワーが足りない。
「オラァ!!」
その時、ショウスケが降下してきて気力の壁に蹴りを放つ。その蹴りを放った部分に厚かった気力が少し分散しその瞬間壁が砕ける。ショウスケは勢いが足らず砕けた衝撃で弾かれた。
「届いた」
だが俺の拳は父さんへ届いた、俺は渾身の力を込め拳を振り切る。
拳を受けた父さんはそのまま地面へと急降下し叩きつけられ、爆発のような衝撃と土煙を高々と上げる。
俺とショウスケは無事着地し土煙の中を睨む。その時、立ち込めていた土煙が一瞬にして晴れる。その中心で父さんは立っていた。
「ここまで気力を消費したのは初めてだ…捕らえられた時より遥かに気力量は増えているのにだ、2対1とはいえさすがに舐めていた」
父さんはそう言い纏っていた気力を解いたかと思うと、今度は全身に薄いオーラの様な気力を纏う。
「命を狩る…!」
その瞬間父さんが動く、俺とショウスケも影と白炎を纏い直す。
父さんが大きく踏み込んだかと思うと次の瞬間には俺とショウスケの目の前に現れグッと閉じた両腕をバッと開く、即座に俺達は防御の姿勢を取る…が
「「ぐっ!?」」
その衝撃は凄まじく俺達は左右に吹っ飛ばされる。
分解の気術に加えて、高レベルの身体強化の術式をかけている…生身で何発も耐えられる威力じゃない…
父さんはショウスケを追う。
「消耗してる方からやる気か!」
俺とショウスケの気術じゃあどうしてもショウスケの方が消耗が激しい、それを父さんも分かっている。
「俺を殺すんじゃねぇのか!」
吹き飛ぶ体の体勢を変え、夜天を造り父さんを追う。
「まずは俺を殺ろうってか?返り討ちだ!!」
ショウスケは炎を噴出させ逆に父さんへ向かう。
「白夜・白鬼螺旋槍!!!」
回転する白炎、それを影がコーティングするように纏い大きな槍の形を成していく。そしてそれを父さんへと突き出す。
だが、父さんはそれを手の平で受け止め、槍の先から分解していく。
「やっぱりそのオーラが分解の範囲!ならこの距離で…!」
ショウスケは槍が半分ほど分解されたところで槍を捨て、一気に距離を詰める。
「螺旋・爆蓮華!!」
ほぼゼロ距離の爆蓮華、いくら分解したとしてもいくつもの爆発の衝撃をあの距離で受ければひとたまりもない。証拠に父さんの体がくの字に歪む、だがそれでも足を踏ん張り耐えている。そして、父さんが拳を振り上げた。
「ショウスケ!!」
振り下ろされた裏拳はショウスケの後頭部に命中し、ショウスケを勢いよく地面に叩きつけた。
「がはっ!!?」
「阿修羅!」
俺は大きな影籠手を3対造り出し、白炎を纏う夜天を巨大化させる。その柄を4対の腕で掴み振り下ろす。
「白夜・巨影斬!!」
父さんは頭の上で両腕をクロスさせ巨影斬を受け止めた。だがその衝撃で父さんの周りの地面が凹む。
そして、受け止められたところで夜天が折れ、剣先が宙を舞う。
「ぐぅ…重い…!」
「追撃の手は」
「「緩めねえ!」」
ショウスケが少し上体を起こし地面に拳を放つ。俺は折れた夜天の剣先を父さんへと向かわせながら、3対の影籠手に白炎を纏わせ、夜天を構える。
「噴火!!」
父さんの足下の地面から白炎が吹き出し、少し体勢が崩れる。そこへ剣先と影籠手が同時に父さんへ攻撃し、その直後に俺が技を繰り出す。
「白鬼夜行…!!」
気力による攻撃はやはり分解されて届いていない、だがあの薄いオーラでは緩められない衝撃が父さんを襲っている。
さらに、追撃しようとした時父さんが腕を薙ぐ。
「なっ!?」
「ぐっ!?」
俺と立ち上がろうとしてショウスケは見事にそれを喰らい地面を転がる。
「まだ…なのか…?」
「バケモンじゃねぇか…」
と2人で父さんを見るとそこには顔を下に向け膝をついている姿があった。
「「っ!!」」
「ハァ…ハァ…っ!!」
服もボロボロになり肩で息をしている。
「もう…すぐだ…!」
「あぁ…勝てる!」
お互いかなり消耗し戦いに終わりが見えようとしていた。
俺達は立ち上がり、父さんを睨む。
また、父さんも立ち上がりこちらを睨む。
その時、その間に割って入るように現れる人影…
「は?」
「何してんだ…じいちゃん…!」
そこに現れたのは俺のじいちゃん、月永ケンスケだった。
「親父か…」
じいちゃんは父さんの方へ向かっていく。
「おい!じいちゃん!それ以上近づくな!」
「何のマネだ親父…」
じいちゃんは父さんの前まで行きこちらを振り向く。
「ヒロト、そして発花ショウスケ」
そして何かを取り出す。
「お前たちの負けじゃ」
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