第五章 第22話「白夜」
前回のファントムブレイヴ
月永シュウジと対峙するヒロトとショウスケ。そして、シュウジから明かされる20年前の事件…シュウジは過去と共にヒロトを消し自由になると気力を纏う。
ヒロトとショウスケもシュウジをぶっ飛ばすべく“リンク”でモード影炎を発動させるがそれも分解されてしまう…そして2人はまだやったことのない失った気憶同士でのリンクを発動させた…
失った気憶と失った気憶のリンク…それも1年前とは比べ物にならない段階まで進化した状態で…
「モード炎帝!」
ショウスケの炎が金色に変化する。
「影武装!」
腕と脚を影が侵食していく。
「おい、ヒロト…俺達にはまだ上があんだろ」
「あぁ、どうせこのままいっても分解されるんだ」
「「だったら」」
ショウスケの炎が一瞬青くなったかと思うと途端に温度が上がり色が白く変わる。
「白炎!!」
俺は緋炎を影に戻す。
「制限解除フェイズ2“羅刹”!」
腕や脚の影が更に硬質化し顔の右半分を影が侵食する、そして額からは黒い影の角が一本。
炎は影を影は炎を互いに呑み込まんとする勢いで2人を覆う。
「すげぇ…影が侵食してくる。だけど嫌な感じじゃねぇ、まるで鎧を着てるみたいだ」
「お前のもだ、一瞬燃やされるのかと錯覚するレベルだけど体には燃え移らない…これなら…」
「まて」
ショウスケがこちらを見る。
「まだ上があるだろ、さっきの」
「フェイズ3の毘沙門か?あれは無理だ、俺の体が保たねぇ、フェイズ3は最後のフェイズだ恐らく父さんを倒す前に俺がぶっ倒れる」
「それをカバーすんのがリンクだろうが」
「…悪いが、毘沙門の全力にお前がついてこれないよ」
「んなっ!?」
「細かいことは後だ、とにかく今2人で出せるベストが羅刹と白炎なんだ」
「ったく、しゃあねぇ…まぁこのモード・白夜にはまだ伸びしろがあるってことだな」
「白夜?」
「あぁ、俺達に相応しいだろ?」
「ショウスケにしてはいいセンスじゃねぇか」
俺とショウスケは火力を上げる。白と黒の炎が揺めき、ショウスケの拳と夜天に宿る。
夜天でも上手く纏えてる…緋炎じゃあ諸々クオリティが低かったがこれなら…
「「いくぞ!!」」
同時に駆け出す。
「俺達2人のパワーを」
「叩き込む!」
ショウスケが両手で巨大な火球を作り出す。
「白夜・夜照!」
その白と黒の火球を父さんへ投げつける。
俺はその後を追い、夜天にさらに白い炎を纏わせる。
俺が辿り着く前に火球が直撃し大爆発を巻き起こす、俺はその爆炎を突っ切り父さんを捉えた。
「白鬼夜行…!」
白炎の斬撃を無数に放ったあと踏み込む、そして父さんを真っ二つにするつもりで夜天を振るった…
だが、父さんは倒れない。あの爆炎の中立っていたのを見て予想はできたが…これを受けて本当に無傷なのか?
「終わりか…?俺に分解できないものは無い」
父さんの構えが変わる。その時一瞬悪寒が走りその場を飛び退いた。
その瞬間父さんが腕を薙ぐ。そこからギリギリ見えるか見えないかレベルの半透明な気弾がいくつも放たれる。
俺達はすぐさま飛び上がりそれらを躱す。
「なんだ?」
その気弾が地面に当たるとそこの地面が抉れ砂が舞う。
「分解能力付き気弾…」
「自分の周りだけじゃねぇのかよ!」
すると、父さんはぐっと屈み飛び上がる、俺達を飛び越し上空でこちらを見下ろす。
「まさか」
「まずい、あの気弾を背景が空の状態で撃たれたら見えないぞっ!」
「下に降りるぞヒロト!」
炎を放出し急いで着地する、それと同時にまた気弾が放たれた。
「防御は不可能、視認性も悪い、なんでもありかよ」
「いや視認性はどうにかできるかもしれねぇ」
とショウスケが手に炎を纏わせる。
「火粉」
そういいながら手を大きく振ったかと思うと上空一面に火の粉が舞う。
そして気弾の軌道がその火の粉によって見えた。
「ナイスだ!」
それを目で追い気弾の一陣を躱す。すると、その気弾の中で妙な動きをする気弾がひとつ…
それは別の気弾にぶつかると跳弾し次々方向を変え、火の粉の無い方へ飛ぶ。
「ショウスケ!」
「あぁ、だが跳弾されちゃあ軌道が読めね…っ!!」
ショウスケが体を捻らせる、だが手にその跳弾してきた気弾が命中する。
「ぐっ!!」
ショウスケはバランスを崩し転倒する。
「おぉ、当たったか。であれば感覚は覚えた、次で終わりだ」
父さんはまた構える。
「大丈夫か!」
「…」
ショウスケは立ち上がると気弾の当たった手を凝視していた。
「まさか…」
「あぁ、そのまさかだ…纏ってた炎だけじゃねぇ、当たった場所の体内の気力も分解された…触れられなきゃいいんじゃなかったのかよ」
「…もしかしたら、これが父さんの失った気憶」
「たしかに、魔力も分解範囲に入れるだけじゃあねぇとは思ってたが…やっかいだ」
俺とショウスケは父さんを見上げる。
「だが今ショウスケが食らったのでまたあの気術のわかった事もあるな」
「あぁ、気弾を放った後のコントロールはできないのと貫通力は無いって事だ」
父さんが気弾を放つ、今度は先程の倍かそれ以上…に加えいくつもの気弾が跳弾している。
「めちゃくちゃしやがる」
「まだ気力残ってるだろ?ショウスケ」
「当たり前だ、まだまだいける」
俺達は白と黒の炎を纏った。
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ではまた次回でお会いしましょう〜