第五章 第16話「急襲」
前回のファントムブレイヴ
制限解除フェイズ2“羅刹”を発動させ、アイ、フゥ、ミミを圧倒するヒロト。3人を見たヒロトは、3人の持っていた武器を破壊、戦いを止めるようそして3人が自由になれるようにサブサイドへ誘い、手を伸ばす。
そして、アイ、フゥ、ミミはサブサイドへ行く道を選びヒロトの手を取る。
俺は泣きじゃくっているアイ、フゥ、ミミの前にしゃがむ。
「大丈夫か?」
3人は泣きながらもコクリと頷く。
「すまないが状況が状況だ、俺もずっとここにいてやれない。このインカムを持っててくれ、だいたいの位置が仲間に分かる、事情も話しておいた」
俺は自分のインカムを渡す。
「そうだ、敵の数って分からないか?」
「えっと…確かアイ達を入れて12人だったと思う…他の18人は別の場所に行ってるはず」
「12…そいつらの名前とか分からねぇよな?」
「うん…」
今こっちが把握してる人数引いて後5人…その中に…いるのか父さん…
◇◇◇
俺は相も変わらず森の入り口で仁王立ちしていた。
「森ん中はどうなってんだ、連絡がねぇって事は戦ってんのか?」
郷田隊長が森に入って数分、何の音沙汰もない。
だがその数分後インカムに連絡が入る。
〈郷田だ。折原邸付近で気配を感知、西園寺と対応する。ん?…何!?〉
そこでブツッと連絡が途絶える。
「なんだ!?」
敵か?だとしても何か様子が…その時、森の中でドンッという音がし、鳥の群れが飛び立つ。
すぐさまインカムを繋げる。
「発花だ。どうした!何があった?敵か!?」
郷田隊長、西園寺さん共に返事がない。
何か嫌な気配がする…まさかヒロトの父親…?
「俺はここにいていいのか、森に入るべきじゃ…っ!」
その時上空で気配を感じる、だが見上げてもそこには何もいない…でも確かに何かいるそう確信できる気配の強さ…
「砲仙火!」
俺は両手に巨大な火球を作り出しそれを放った。すると、2つの火球のうち1つは消え、1つは何かに命中する。
「ほんとにいた!」
すると、空中で突然人影が複数現れ落下してくる。その数にすぐさまハヅキとイズミさんに連絡する。
「敵が5人現れた、2人とも来てくれ」
5人、いや1人は大きな鳥の姿をしている。5人とも無事に着地する。
「見えないのに気配のみで的確に当ててくるとは…シュウジさんがいなければ両弾命中していた」
鳥の男は煙の上がる自分の羽を庇いながら立つ。そしてだんだんと人の姿になっていく。
そしてある男の腕に赤子が抱かれているのが見えた。
「おい、お前…その赤子どこから連れてきた?」
その男がこちらを見る、2mはある身長に鍛え上げられた肉体、そしてその目を見た時に俺はハッキリと感じた…こいつが…ヒロトの父親だ…!
「お前には関係無い、小僧」
「お前、月永シュウジだな。ヒロトの父親の」
「俺に子供はいない」
そばにいた男が月永シュウジに触れる、すると2人と赤子の姿が消える。
「何!?あいつがそういう気術か!だが気配は分かるぜ!」
俺は炎を纏うがその瞬間、辺りが暗くなる。
「ん?」
と上を向くとそれは巨大な足。
「何!?」
俺はそのまま踏み潰される。
…
「今の俺の反応…」
俺は巨大な足を持ち上げながらある事に気付く。
「てめぇらだな、郷田隊長が言ってた気配ってのは…!」
すると、足がパッとなくなり男がスタッと着地する。
「郷田隊長と西園寺さんはどうした」
「さぁな、死んだんじゃないか?シュウジさんの分解で無気力状態になったからな」
「んだと…!?」
「発花くん!」
「ハヅキ!イズミさん!」
2人が合流する。
「郷田隊長と西園寺さんがやばい、それに魔導士の赤子も連れ去られた!」
「「え!?」」
「一瞬で片付けるぞ」
「僕達を?舐めない方がいいよ」
「我らはシュウジさん護衛部隊」
「羽に一撃浴びた程度、痛くも痒くもない」
「「「殺す」」」
「かかってこいよクズども、灰にしてやる」
俺は一気に白炎モードに入る。
「俺はあのデカくなるやつを相手する、そっちは任せたぞ」
「うん!」
「任せとき!」
◇◇◇
「よし、戻ってこれた」
俺は折原家の家がある付近まで戻ってきていた。
「目印付けておいて正解だった」
俺はさっきした音と西園寺さんにインカムが繋がらなかった事が気がかりだった。
「なんで旧型のインカムなんだ、全員に連絡が取れなかった」
新型インカムはサブサイドが王都の支配下にあった時に王都の兵に配られた上、先の戦いでほとんどが壊れてしまった、のは知っているが1人でつい愚痴が出る。
「さて、この辺のはず」
だが、周りを見渡しても家が見えないし、人の気配もない…
「目印間違ったのk…」
その時、視界の端で何かが映る、森に馴染みきれていないそれは瓦礫…?
すぐにそれに近づき確認する。
「なんだ…これ…なんで…」
その瓦礫はどう見ても家だったものだった。そして、足元に表札を見つける。
「っ!!!!」
その表札には、“折原”…そう書かれていた。
◇◇◇
俺は地面を蹴り一気に距離を詰め、拳を放つ。
「ぐっ!!」
ガードはされたもののやつは吹っ飛ぶ。即座に追い討ちをかけにいく。
「ってことでよぉ、俺が相手だ」
ふっ飛ぶところへ蹴りを放とうとするがこいつの足が巨大化する。
「おっ!?」
突然大きくなった足に押され、空中でバランスを崩してしまう。俺は一度着地する。
「なるほど、そういう風にも使えるんだな」
「お前はどうやって潰してやろう、俺はこの足で何かを潰すのが大好きなんだ…」
「あ?一回試したろうが、てめぇじゃあ俺は潰せねぇよ」
「まだまだあんなもんじゃないよ。今日は調子が良いんだ、もうすでにひとつ潰せたしね」
「何?」
「だけど、家ひとつじゃあまだ足りないんだ…いままで檻の中で疼いていた分潰させてくれよ…!」
「てめぇ今何を潰したって…?」
奴はニヤッと笑うとどんどんと巨大化していく。
「“巨人”!」
俺は顔を見上げ睨む。
「全身巨大化も可能なのさ。そうそう、デカくなるだけだと思わないように…」
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