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ファントムブレイヴ 〜影と光の世界渡航者〜  作者: 月永ヒロト
第五章「大罪人の逆襲」
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第五章 第10話「2人のガサイ」

前回のファントムブレイヴ

折原一家を避難させようとしていたところへダイチから敵が来たと連絡が入る。避難から家の死守へと作戦を変更し、ヒロトはレンジの覚悟と力強い眼を見て造形した剣を託す。そして第3支部の面々が敵と邂逅する中、第1支部にも魔の手が迫っていた…


ーサブサイド第1支部ー


支部長室の扉が開き第1支部第1隊隊長我妻がさいマコトが現れる。

それを自分の椅子でふんぞり返っている支部長の雷殿リョウが迎える。


「なんだ我妻」


「今第3支部が行っている任務の事です」


「あぁ…あの脱獄者がどうのこうののやつか、それがどうした」


「いつもの緊急時の応援要請が来ています」


「人手が足りなくなった時の応援か…分かった、全隊に通達しとけ」


「もうひとつ…斎條支部長からアグリシオンへの緊急時の応援要請も来ています」


「…レイコからか?いくらレイコが不在とはいえ第3に限ってヘマするような事はねぇだろ。あいつも歳食って心配性になったか?」


我妻マコトは今のを斎條支部長が聞いたらどうなるんだと冷や汗をかく。


「そ…それはわかりませんが…なにせ相手は人を殺す事に快楽を覚えるような連中です。部下を思っての事なのでは…」


「まぁ、アグリシオンはここと第3の間の街だ。緊急時の応援要請ぐらいはするか…とりあえず要請は受けなきゃならねぇ、第1隊はいつでもアグリシオンへ向かえる準備をしておけ」


「はっ!」


我妻マコトが支部長室を出た後、雷殿リョウは窓の外を眺める。


「風が変わった…」


雷殿リョウはモバイル端末から我妻へ連絡する。


「前言撤回、第1隊は戦闘準備だ」


雷殿は我妻からの返事を聞く前に通信を切る。


「油断すんなって事か?レイコ…」


◇◇◇


ー某所ー


「ねぇねぇ主様〜」


2人の子供、ルリとルカがふわふわと浮きながら主様へ寄っていく。


「どうした?ルリ」


「なんであんなクズ連中のお願いを聞いてあげたの?裏切って逃げちゃうかもよ?」


「確かに、悪い所が出たのかもしれないが…見せしめもした力も見せた、その上で奴は言ったんだ…“必ず仲間を増やして邪魔者も消して戻ってくる”と、それに奴に忠誠を誓っている連中もいた、つまり奴には人の上に立つ素質とカリスマ性があるという事だ」


「まぁ確かに」


「それに他のサブサイドの足止めも必要だった、仮に逃げればそこで切ればいい…我々が有利になる方を選んだだけだよ」


「ルリは心配性だなぁ!俺はそうだと思ってたけど!」


「ルカだっておんなじ事言ってたでしょ!」


ポカポカと2人は空中で喧嘩をする。


「ルリ、ルカ」


「「はいっ!!」」


名前を呼ばれた途端喧嘩を止め、ピシッとなる2人


「どう転んでも我々の得になるこの戦い、楽しもうじゃないか…」


そう言って主様は不敵な笑みを浮かべた…


◇◇◇


「戦闘準備…」


我妻マコトは雷殿リョウからの連絡で一抹の不安を覚えていた。

各隊への通達を終え司令室から出ると第1隊メンバーの待機している部屋へ向かう。部屋の扉を開けると4人が椅子に座ってテレビを見ていた。


「みんなに急ぎ報告がある」


「どうした?我妻」

ガタイのいいスキンヘッドの彼、岩倉いわくらミキヒコ


「さっきの通達だけじゃないの〜?」

支部内最年少である、新矢にいやショウキ


「また支部長の無茶振りじゃないでしょうね?無茶振りされるのはマコっちゃんだけにしてよ?」

我妻をマコっちゃんと呼ぶ、蛛雲くぐもアリサ


「何かあったのか…?」

我妻不在時のまとめ役、鶴羽つるはサトシ


「全員いるな、支部長から詳しくは聞けていないが我々は戦闘準備だそうだ」


「戦闘準備…」


鶴羽サトシが眉をひそめる。


「あの支部長、理由を言いなさいっての」


蛛雲アリサが呆れる。


「俺はいいぞ、戦闘準備だな?先に行くぞ」


岩倉ミキヒコが一番に立ち上がり、部屋を出る。


「あの戦闘バカ…まぁ支部長命令だし、私も準備するわ」


蛛雲も部屋を出る。その後に鶴羽が立ち上がる。


「何せ急ぎなんだな?準備ができ次第理由を聞こう」


「あぁ頼む」


最後に新矢ショウキが残る。


「僕は準備とか必要ないからそのまま行くよ」


そう言うと立ち上がり我妻の前に来る。


「隊長、敵は何…?」


「…恐らくは…人間だ」


◇◇◇


「全く、嫌な予感がするってだけで私達を駆り出さないで欲しいわ」


「でも、僕の記憶じゃ支部長の嫌な予感が外れてるの見た事ないけどな」


「そうだな、まぁ何が来てもぶっ飛ばすだけだ」


「俺達、対人戦はあんまり経験無いけど…脱獄犯達なら遠慮はいらないよな?」


「あぁ、王都からは最悪の場合脱獄犯の生死は問われていない…だがサブサイドは人殺し集団ではない、ここに来る全員捕らえて罪を償わせる」


その時、全員の耳にある音が聞こえて来る。


「この音は…車?」


微かに聞こえるその音はエンジン音のようだった。


「いや、この音は…バイクだ」


我妻は睨むようにその音の方を見つめる。

すると平原から無数のバイクがこちらへと向かって来ているのが見える。やがてそのバイク群は第1支部の目の前までやってくる。

岩倉が拡声器を取り出し叫ぶ。


「そこで止まれ!それ以上こちらへ来るならば容赦はせん!!」


バイク群はその場で止まり、1台のバイクがそのままこちらへ走ってくる。

皆構えるが、我妻は手を横に出し「待て」と皆を制止する。そして、自分はそのバイクの方へと歩き出す。

ブオオオンとエンジン音を響かせた後、そのバイクに乗っていた男が降り、我妻と対峙する。


「ようよう…ひっさしぶりだなぁ…?我妻がさい!」


「あぁ、二度とお前と会う事は無いと思ってたがな…駕西がさい!」


第1隊の隊員達に衝撃が走る。


「何?」


「2人とも」


「がさい…?」


「というか何でそいつの事を知ってるの…マコっちゃん…」



ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!

興味を持っていただけましたらブックマーク等してもらえると励みになります!

ではまた次回でお会いしましょう〜

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