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ファントムブレイヴ 〜影と光の世界渡航者〜  作者: 月永ヒロト
第五章「大罪人の逆襲」
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第五章 第7話「藍より青し」

前回のファントムブレイヴ

再び召集されるサブサイド第3支部の面々、月永ケンスケは脱獄者達の目的を説明するがそれはヒロト達がセリカに聞いた内容とは違うものだった。

ヒロトは祖父ケンスケに問い正すもケンスケは警戒しているだけだと言う。果たしてケンスケの真意は…


第1隊と俺達第4隊が集まり、その前に郷田隊長が立つ。


「アグリシオンでは2人1組で行動してもらう。一度訓練した仲だ、その時の2人でいいと思うがどうだ?」


第1隊の面々は意義無しという感じて頷く。俺は皆の顔を見た後「第4隊も問題ありません」と返し、それぞれが車へ乗り込んだ。


第1車

月永ヒロト&西園寺ケイウン、光丘ハヅキ&虎ノ門イズミ


第2車

麗未アオイ&両断アズサ、雷殿ダイチ&霧ヶ峰ユウキ


第3車

発花ショウスケ&郷田コウイチロウ、月永ケンスケ


3台の車はアグリシオンへ向かい出発した。


◇◇◇


第2車


「すいません、運転してもらって」


「いいっすよ、第1隊じゃ俺が運転係っすから〜それにアグリシオンぐらいの距離、どうって事ないっすよ」


運転は霧ヶ峰さん助手席には僕、後ろには麗未さんと両断さんが座る。両断さんは腕を組み目を閉じて、どうやら集中しているようだった。


「アズサさんはこの1年、王都で何をしてたんですか?」


麗未さんが話しかけるが両断さんは答えない。やはり、精神統一的な事をしているんだろう。


「アオイちゃん、今のアズサちゃんには話しかけない方がいいっすよ…なんせアズサちゃんはすっごい車酔いするんすよ」


霧ヶ峰さんは笑いながら言う。


「あっそうだったんですか!言ってくださいよアズサさん」


「霧ヶ峰…」


両断さんは薄目を開け霧ヶ峰さんを睨む。


「ただでさえ目付きキツくて誤解されやすいんすから言った方がいいでしょ笑。そうそう、そういえば速坂っちは名前変わったんすよね?なんて呼ぼうかなぁ雷殿っちもダイチっちも語呂悪いしなぁ」


「僕はなんでもいいですよ、前のままでもいいですし」


「そうっすか?ん〜なんて呼ぶっすかねぇ」


まるで今から戦いに行くような雰囲気ではないまま車は進む。これが霧ヶ峰さんのいいところだなと僕は感心した。


◇◇◇


第3車


「悪ぃな隊長」


「お前に運転させるぐらいなら俺がやった方がいい」


郷田隊長が運転し、助手席には俺、後部座席にはヒロトのじいちゃんが座る。


「俺、車の運転なんてほとんどしなくてよ。このレバーとか倒すとどうなるんだ?」


「おい、触るな。月永さんを乗せるなら俺の車にと思ったが発花と一緒はまずかったか」


「失礼だな、事故を起こすような事俺がやるかよ」


俺は座席にもたれかかり、ルームミラー越しにヒロトのじいちゃんを見る。

あの後ヒロトと何を話したかは知らない、ヒロトはこのじいちゃんは偽物ではないって言ってたけど…何か企んでるにしても今は泳がせておくしかないのか…


「どうした、発花。険しい顔して、車酔いか?」


「違えよ」


この人はほんとに何も分かってねぇのか??


「そうか、実はうちの両断はな…」


◇◇◇


第1車


「ええんか?運転変わらんで」


「いいですよ、この中なら俺が運転しなきゃいけないでしょ」


俺が運転し、助手席に西園寺さん、後ろにハヅキと虎ノ門さんが座る。


「そうやハヅキちゃん、なんか進展あったんか?」


「いっいまはちょっと、後でで」


後ろでコソコソと何か話している2人をルームミラーで見ながら西園寺さんに話しかける。


「そういえばなんで第1と第4の合同チームにしたんですかね、連携とか考えたら各隊ごとでもいい気がしますけど」


「そうか、第4には分からないかもしれないな…だが我らにははっきりと分かる、なぜ支部長が合同チームを組ませたか」


「え?」


「力の分散だ、パワーの偏りを無くしいかなる状況でも対応しやすくする」


「なるほど、やっぱり第1隊の人達は信頼が厚いですね」


俺がそう言うと西園寺さんは黙る。


「西園寺はプライドが高いからうちが言うけど、逆やで月永くん」


「逆?」


「第4隊が強いから第4隊を分散させてるんや、うちらよりな」


「え!?でも、俺たちも第1隊の強さは知ってます。そんな1年やそこらで…」


「確かに、自然の怒りナチュラルビースト相手なら我らの方が強い、それは自負している。だが対人は別だ…」


西園寺さんが食い気味で言う。


「そうそう、正直言うてサシであんたらとやったら勝てる気せえへんもん」


「…でも」


「月永、“青は藍より出でて藍より青し”…弟子は師を超えていくものだ…それ以上は我らへ恥をかかせる気だと思うぞ」


西園寺さんは仮面の奥で目を閉じる。

俺は、思ってもみなかった事に動揺したが、それだけみんなに俺たちが信用されている事なんだと実感しながら、アクセルを踏んだ。


◇◇◇


アグリシオン、入口ゲート前


「よぉし、全員到着したな」


郷田隊長が降りると共に車が3台止まり、第1と第4とじいちゃんが車を降りる。


「いいか、敵はこの正面から来るわけじゃない。このアグリシオンの南に広がる森から来ると予想される、そして昨日の今日で住民の避難ができていない、森の中にも数件民家がらしい。まず、そこの住民の避難が最優先だ」


「「「了解!!」」」


「これから指示を出す、霧ヶ峰&雷殿は森の中を索敵、見つけ次第インカムで知らせろ、このインカムは必要時にサブサイドからの連絡も入る聞き流すな。そして、森の中へはあと西園寺&月永、両断&麗未が入る。私と発花は森とアグリシオンの間、虎ノ門&光丘はアグリシオンの森側ゲートだ。虎ノ門と光丘の位置が最終防衛ラインだ、絶対にアグリシオンの中心地に奴らを入らせないぞ!」


「「「はい!!」」」


「時は一刻を争う、行くぞ!」


俺たちは森へ向かう、みんなの間にピリピリと緊張感が走っていた。



ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!

興味を持っていただけましたらブックマーク等してもらえると励みになります!

ではまた次回でお会いしましょう〜

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