第四章phase2 第17話「激突する炎」
前回のファントムブレイヴ
以前続くアオイとイデアルの戦いは激化する、一方でショウスケもまた兄、イツキと出会っていた。
イツキが語る過去、ショウスケは自分が旧王族の末裔であり、兄がそれを隠してくれていた事を知る。だがショウスケはそれでも、兄を止め決着をつけるべく炎を纏った。
目の前で爆発が起こり、視界が真っ赤に染まる。
だがそれを自分の炎で裂く。
「イツキィィィイ!!!」
俺は拳を叩き込む。イツキはそれを片手で受け止め、即座に突き蹴りを放った。
「ぐっ!!」
俺は少し飛ばされるが間髪入れず間合いを詰める。
「おおおおおぉぉぉぉ!!」
全力のインファイト、だがイツキはそれを全ていなし合間合間で確実に攻撃を当ててくる。
「確かに成長はしている、だが僕に到底及ばないな」
「がっ!!」
頭に拳を喰らう、そしてまるでボールを蹴るように腹へトーキックを喰らわされる。
「あがっ!?」
「炎花の蕾」
宙を舞う俺を包むように真っ赤な炎が出現する。
「うおっ!!」
「開花」
そして、炎の蕾が大輪の花を咲かせる。
俺はなす術なく炎に包まれ、地面に落ちる。
「さぁ立て、まだ準備運動だぞ」
俺は、飛び起きる。
「あぁ、ちょうどあったまってきたとこだ」
俺は炎を纏い直し、駆ける。
「カサブランカ」
「爆蓮花!」
進行方向に爆発する炎の花が次々と咲く、だが俺も爆発の連撃でそれに応戦する。
イツキの数m手前でジャンプした。
「崩れ牡丹!!」
「紅薔薇の花束」
炎の花を纏ったかかと落としを放つが、その先に炎の薔薇の花束が現れる。
あえなく俺は炎の薔薇の中へ突っ込む。
「あっつ!」
紅蓮の花弁が俺の身を焦がす。花束を抜けるとイツキがこちらに手を向けていた。そして、放たれる熱線。
俺は腕をクロスさせその熱線を受け、上へ受け流した。だが、腕が上がり胴体が空く…それに気づいた時にはイツキの蹴りが既に迫っていた。
「くそっ!!」
俺も蹴りを放つが空中かつ不安定な体勢からの蹴りでは向こうに軍配が上がるのは目に見えていた。
蹴り飛ばされるが回転しながら衝撃を和らげ、着地する。
俺はひとつ確証を得る。イツキは昔と変わらず“蹴り”を得意としてる、俺はあの蹴りにボコボコにされて来た。
「あの蹴りは研究済みだぜ…!」
俺は再び駆ける。
「最初にイツキに教わったこの技を!受けてみろ!!」
地面に拳を叩きつけ、土を巻き上げイツキへの目眩しに使いながらイツキの頭上へ飛ぶ。
「性懲りもなく…」
イツキは土を全て燃やす。
「「向火葵!!」」
金色と真っ赤な炎の向日葵が向き合う。
それらがぶつかり合う最中、俺はイツキの背後へ降りる。そして、炎を纏った拳を振りかぶった。
「お前はいつもそうだ」
イツキは右後ろ回し蹴りを放った。
「あぁ、だから絶対その蹴りを打ってくると思ったぜ」
俺はニヤリと笑う。
「噴火」
さっき拳を地面に叩きつけたのは土を巻き上げるためじゃなく噴火を仕込むためだった。そして、その仕込んだ炎が今イツキの足下から噴き上がった。
「なに!?」
足一本で立っていたイツキは不意を突いた攻撃に完全に足をすくわれる。そして、倒れようとするイツキの顔面へ振りかぶっていた拳を問答無用で叩き込んだ。
「オラァ!!」
「ぐっ!!?」
イツキは吹っ飛び顔面から地面へ激突した。
「まずは一発…!でけぇのをくれてやったぞ」
俺はグッと拳を握りしめた。
イツキはすぐに立ち上がった、そして割れたメガネを外し投げ捨て、こちらを睨む。
「やるじゃないか、ショウスケ」
その瞬間、イツキのオーラが変わる。
「王族の血の力、見せてやろう」
「!?」
気づいた時には既にイツキの蹴りが俺に直撃していた。俺は派手に吹っ飛ぶ。
「がっ!!」
「今のが見えたか?見えなかったのなら、僕の勝ちだ」
「ぐっ…馬鹿野郎、見えたに決まってんだろ…!」
立ち上がろうとしたその時、脇腹に鈍い痛みが走る。
「ぐあっ!!?」
俺はまた蹴り飛ばされる。
「じゃあなんで今のもまともに喰らってるんだ?あ?」
これが、王族の血が流れる者だけが使える自己強化術…本当に見えない訳じゃない、だけど今の状態の俺じゃ反応できるか否かギリギリだ…
「立て、ショウスケ…既に転がってるやつを蹴るのは好きじゃない。立ち上がったやつを蹴り落とすのが好きなんだ」
「あぁ、立ってやるよ…立って見せてやるよこの一年で会得したこの力を」
イツキの蹴りが迫る。今度はギリギリ防御が間に合った。
「ぐっ!」
「なるほど、ギリギリだが確かに見えてはいるようだな。では連続で蹴ればどうかな?…ん?」
俺は力を解放する、修行で手に入れた力を
「これは…」
イツキは俺と距離を取る。
「失った気憶、モード・白炎」
金色の炎が、輝きはそのままにだんだんと白い炎になる。
「なるほど、淘汰した者のみが辿り着く境地か…」
イツキは炎を纏う。
「ちょうどいい、試してみたかったんだその力とこの力どちらが上か」
俺は一瞬で間合いを詰め、拳を放つ。だがイツキには防御される。
「少しはマシになったんじゃないか?…っ!」
俺は余裕をかますイツキへ防御関係なく無理やり白炎の拳を振り抜いた。だがイツキは難なく衝撃を受け流す。
「なるほど…」
イツキは自分の防御した腕に残る白い炎を払った。
「イツキ、この勝負…俺が勝つ!!」
「勝負だと?何甘っちょろい事いってるんだ…これは殺し合いだ!」
俺とイツキは同時に地面を蹴った。
ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!
興味を持っていただけましたらブックマーク等してもらえると励みになります!
ではまた次回でお会いしましょう〜