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ファントムブレイヴ 〜影と光の世界渡航者〜  作者: 月永ヒロト
第四章phase2「王都奪還」
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第四章phase2 第12話「引力と重力」


王都内へ妨害電波が出された後、城を真っ先に出る2つの人影。


「これで王都は大混乱だな」


「あぁ、だがそれは隊員達に任せて私達には戦わなければいけない相手がいる」


混乱から逃げ始めている王都民をよそに2人は立ち止まり時計台の上を見据える。


「クソ野郎、俺達を待ってたみたいだぜ?」


時計台の上、月をバックに2人を見下す人影…


「やぁお二人さん、やってくれたねぇ…」


そいつは、元サブサイド第4支部支部長の龍田たつたハヤトだった。ハヤトはニヤリと笑う。


「そんなとこにいないで降りてこい」


「その堕ちた根性」


「俺達が叩き直してやる!ハヤト!」

「私達が叩き直してやる!ハヤト!」


「それは僕のセリフだ、君達を叩き落としてやるよ…絶望へね」


龍田ハヤトの背後に広がる星空でキラキラと流れ星が流れ始める。


「もう君達の負けは決まっている、僕の能力忘れたわけじゃないだろう?そして更にパワーアップしたんだ」


「まさか…」


「もう呼んだのか」


斎條レイコと雷殿らいでんリョウはハヤトを睨め付ける。


「もうじきここが平地になるレベルの隕石群が落下する、さぁ君達はどう足掻くかな?」


斎條レイコが気術ヴァイタリティを発動させハヤトへ重力をかけていく。ハヤトの体が少し傾くがすぐに元へ戻る。


「おっと、ふっ…効かないって分かってるだろう?僕と君の能力は似ている、君の能力を完全に相殺できるのは僕しかいないし、僕の能力を完全に相殺できるのは君しかいない…だから君を誘ったんだ斎條レイコ」


その横で雷殿リョウが風を起こし始める。


「ダメだよ、大人しくするんだ」


「うお!?」


だが、その起こした風はどんどん雷殿リョウ本人に纏わりついていく。雷殿リョウは咄嗟に風を消した。


引力アトラクション…僕の気術は魔力の力で最強となった、今までできなかった気力ヴァイタルでできた物すらも対象下に置いた、雷殿リョウ…君の起こす雨、雷、風すらもね」


龍田ハヤトの気術“引力アトラクション”、物質と物質とを引き寄せ合わせる力。その範囲は広く、宇宙にまで及びそこから隕石を引き寄せてくる。


「なぜ、君達も魔力の素晴らしさに気づかない?1年前、大量の自然の怒りナチュラルビーストの大行進を見て僕は感動したんだ…魔法があればこんなことができるのかと…」


ハヤトの目が怪しく光る。


「世界のことわりの全てを僕は知った、まさに井の中の蛙だったよ…僕は世界を渡る、君達を倒して最強の気術者ヴァイタリストとしてね!」


失った気憶ロスト・メモリー解放、全操作オールコントロール


斎條レイコはハヤトに向かって更に強力な重力をかける。だが、ハヤトはびくともしない。


「やめてもらえるかなぁ、疲れるんだよ」


そう言って、2人に手をかざす。すると、2人は地面にめり込みながら跪いた。


「「ぐっ!」」


「そうそう、そうやって僕に跪いて王都諸共もろとも、土に帰るんだね」


だが、斎條レイコは立ち上がる。


「君は立ち上がれるよね、さぁどうする?」


「さっきから聞いていれば全部上から目線…」


「ん?」


「お前は支部長の中では一番歳下だろう、もっと先輩を敬うということを教えてやる…いや、もう支部長ではなかったな」


斎條レイコの目が紫色に光り、時計台が揺れる。


「私の足元で跪け…!」


その瞬間、時計台の上にいたハヤトの姿勢が崩れ時計台を真っ二つに裂きながら地面に落下する。


「おごっ!?」


そして、地面にめり込みながら斎條レイコの足元まで移動…いや落下する。


「なんて…重さ…だ…相殺できない…ぐ…!」


「私がなぜ“冷酷”と呼ばれているか、なぜ早期に現役を退いたか忘れたのか?」


「レイコは裏じゃあサブサイド最強の女、なんて言われてんだぞ。お前がちょっと力つけたくらいじゃあ敵わねぇよ」


雷殿リョウが土を払いながら言う。


「隕石を止めろ」


斎條レイコはハヤトを踏みつけながら命令口調で言った。


「残念だけど、あれはもう止められないよ…すでに僕の引力は解除されている、この星の引力に引き寄せられてるんだ。そしてこの近さだ、今から進路を変えても衝突は免れないよ」


ハヤトは地面に腕をつき、ゆっくりとだが起き上がり始める。


「それと君は少し勘違いしている…お互い、能力の及ぶ対象は自分とそれ以外の物質1つだ。今僕は自分にだけ引力を使っている」


斎條レイコの背後で剣が浮遊する。


「僕は今からあの剣を君に勢いよく突撃させるための分の力を最初だけ加える、そして引力を解き雷殿リョウを引力で動けなくする、さぁ君の選択肢は2つだ…僕をこのまま重力で押し潰すか、僕の重力を解きあの剣を止めるか」


剣を止めればハヤトにやられ、ハヤトを止めたままだと剣にやられるという状況を斎條レイコは突き付けられる。だが、その顔は冷静であった。


「やはり、お前は知らないようだな…私が冷酷と呼ばれるようになった“これ”を」


「おい、マジか!」


雷殿リョウはその気配を察知し、離れていく。


「あれをまた見れるとはなぁ、使用回数が少な過ぎてもはや都市伝説の域に達しているレイコの大技」


斎條レイコを中心に薄暗い円が広がり半径50mで止まる、それは全操作オールコントロールの真骨頂…大地への重力付与に加え、半径50m内の物質、大気に至るまで全てに重力をかける、冷酷所以ゆえんの技。


「グラヴィティ・レンジ」



ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!

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ではまた次回でお会いしましょう〜

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