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ファントムブレイヴ 〜影と光の世界渡航者〜  作者: 月永ヒロト
第四章phase2「王都奪還」
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第四章phase2 第2話「タナトス脱出」


12個の砲台から放たれた魔導砲、俺はハヅキを抱えたまま失った気憶ロスト・メモリーを解放する。


影武装シャドウ・プロテクト!からの、外套影籠手オーバーガントレット・“ばい”阿修羅!!」


自分たちの周りに影の腕を12本造り出し、こちらへ向かってくる魔導砲へ手を広げた。


「ふんっ!!」


手と魔導砲がぶつかる。魔導砲に押され影の腕がミシミシと悲鳴を上げ始める。


「勝った!!!」


ジャックが歓喜の声を上げる…がその瞬間に俺は魔導砲を握り潰した。


「なにぃ!!?」


12の腕が煙を巻き上げながら周囲を回り舞い、俺の背面に戻り並ぶ。俺はニヤリと笑った。


「再充填にどれくらいかかる?速く充填しないとお前がやられるぜぇ?」


「こしゃくなぁ!!この“ジャック”装甲ヘリでボコボコにしてくれるわ!!」


「ヘリにも自分の名前付けてるのかよ…」


すると、ヘリからいくつもの銃火器が顔を見せる。


「おいおい、魔導砲止めた相手にそんなもんで勝てると思ってんのかよ」


「黙れぇい!!」


ジャックは俺たちに向けて弾をありったけ撃ち込んできた。俺は12の腕で弾を防ぐ。

数十秒後乱射が止まる。立ち込める硝煙を払う俺を見て、ジャックは「ぐぅっ」と声を漏らす。


「もういいか?」


俺は2本の影の腕にハヅキを預ける。


「そこで待っててくれ」


「うん…」


俺は頭上に巨大な刀を造り出す、そしてその柄を10本の影の腕で持つ。


「で…でっかぁ…」


ハヅキが驚きの声を上げる。それもそのはず、この刀は20mを優に超える。


「ジャック!俺は大砲ごとぶち壊してやるって言ったよなぁ?」


「黙れぇ!対抗手段はまだある!」


そういうと、ヘリが少し変形し刃を纏う。


「付き合ってらんねぇんだよ!巨大旋刃きょだいせんじん!!」


刀が俺の周りを凄まじい勢いでぐるりと一周する、そしてそれにより発生する斬撃の衝撃波。


「お粗末!」


その瞬間、切り倒される大砲と木々、そして吹き飛ばされるジャックのヘリ。

俺は、くるりと背を向け失った気憶ロスト・メモリーを解いた。


◇◇◇


「ここまでくればとりあえずいいだろう」


俺たちはひとまずタナトスから離れ、森の中に身を置いた。


「も、もう降ろしてくれていいよ…」


「おっおう、すまねぇ」


俺は抱えていたハヅキを降ろす。


「ごめんね、月永くん私も何か手伝いたかったんだけど“これ”のせいで…」


とハヅキは手首についた機械のリングを見せる。


「なんだこれ?」


「これは気力ヴァイタル制御手錠、これが作動してると気力ヴァイタルを抑え込まれちゃうの、一応月永くんと会う前に解除はしたんだけど、抜け出した時にまた制御かけられちゃって」


「ふーん、ちょっとそこに手置いてみな」


俺はハヅキに石の上に手を置くように言う。


「動くなよ」


俺は短刀を造るとそれでコンコンと硬さを調べる。


「なるほど、相当硬いな」


「そうなの、ちょっとやそっとじゃびくとも…きゃっ!」


ハヅキが喋ってる途中で俺は短刀を振り下ろす。バキッと音を立て手錠は砕けた、そして手錠を蹴り飛ばす。


「ちょっと、危ないよ!」


「見てみな」


俺は手錠を指差す。その僅か5秒後手錠がボンッと爆発した。


「え…」


「たぶん、一定以上タナトスから離れるとか何かの条件で爆発するようになってるんだ、無防備な状態であの爆発ならすぐに手当てしないと死んじまうだろうぜ」


「気づいたの…?」


「あぁ、僅かに膨張する気力を感じたんだ危なかったな」


「ありがとう…!」


「いいっていいって、とりあえずもう少し場所を変えよう、手錠で位置がバレてるはず」


俺たちはさらにその場から離れ、見つけた洞穴に入った。


「日も暮れてきた、今日はここで野宿だな」


「そうだね…」


2人の間に沈黙が流れる。


「ハヅキ…」


「ん!?な、なに?」


「王都ってどっちだ?」


「え!?あっ王都?王都はタナトスから南だよ」


「おい、俺が方向音痴なの忘れたのか?東西南北じゃ分かんねえよ」


「そっか、まぁ明日私が案内するよ」


「じゃあ頼む」


俺は持ってきていた小さめのリュックからパンを出した。


「悪いけど食べれるのはこれぐらいしかないんだ」


「大丈夫だよ」


2人でパンを分け、その日は眠りについた…


◇◇◇


ーその夜


私はカッと目を開く。


「寝れるわけなくない?」


私は小声で言う。

それもそうだ、久しぶりに会えた、その…好きな人が隣で寝てるのに寝れるわけなくない?

ずっとドキドキしてる、1年前も私こんなだっけ…

私はチラリと月永くんを見る。寝ている。私は疲れているはずなのに眠れない夜を過ごそうとしていた。ため息をつく。


「ハヅキ…」


「ひゃいっ!!?」


私は驚き過ぎて変な声を出してしまう。


「…大丈夫か?」


「あ…うん」


「まだ、メビウスの封印が解けるまで時間があるにしても、いつ魔導士と戦うか分からん、寝れる時に寝とかないと」


「うん」


「ていう俺も寝れないんだけどな」


月永くんがこちらを向く。


「ハヅキ…」


「つつつつつ月永くん??」


顔が近い…体が熱い…


「どうした?」


月永くんが私を抱き寄せる。


「ひや!あの!違くて?え!ちょっひゃぁ〜」


……朝日の眩しさで目が覚める。


「はっ!夢…?」


月永くんはおらず、1人ドキドキしながら起きる。


「夢?現実?どどどどっち??」


1人であわあわしていると月永くんが洞穴の入り口に現れる。


「おう、起きたか。少し下った所に川があったからそこで体を…ってなんて顔してんだ」


「いや〜その昨日の夜がその〜何というかその」


「夜?お前爆睡してたろ」


「だっだよね!いや!なんでもないの!川ね!いってくる!」


私は急いで洞穴から出て川へ向かう。


「ったく、ほんと速攻で寝やがったな」



今日から始まる壮絶な戦いを前になんとも緊張感の無い朝を迎えた2人、果たして月永ヒロト達は魔導士へのリベンジを果たし、世界を守ることができるのだろうか…



ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!

もし興味を持っていただけましたらブックマーク、評価等してもらえると励みになります!

ではまた次回でお会いしましょう〜

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