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ファントムブレイヴ 〜影と光の世界渡航者〜  作者: 月永ヒロト
第四章「王都反逆」
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第四章 第20話「最強の盾」


薄暗い神殿の中、ひんやりと冷たい空気が漂う最深部に私と神島かみじま本部長はいた。


「メビウス殿、わしは最後の砦と言われてきたが…本当の最後の砦はあんたじゃ…もちろんわしとて簡単に空け渡すつもりは無いがその時は頼みましたぞ」


「…はい」


神島本部長は神殿の入り口の方へ歩いていく。神殿の入り口には神島本部長の能力で作った壁が何層にも渡って続いている。


サブサイド最強の男…前本部長と共に最強の名を世界に轟かせた1人、前本部長が最強の矛、そして神島本部長が最強の盾…その2人に敵うものは誰1人としていなかった。

しかし、最強の矛も病魔には勝てなかった…前本部長の死後、神島本部長が地位を引き継ぎ今に至る。

そして、今もなお最強の盾の力は健在、どれだけの嵐や業火が迫ろうとも彼の後ろでは花ひとつ散らない…現役の頃に付けられた異名が「絶対守護神ぜったいしゅごしん」。守護神という名では収まりきらないと、絶対という言葉がさらに付けられた。


しかしそれも気術ヴァイタリティだけの話、失った気憶ロスト・メモリーを持たない彼が魔法相手にどこまで戦えるのか…


「ご無事で…」


私は祈るしかなかった、そして超高密度魔力結晶…この世界のコアを守るべく私も準備を始めた。


◇◇◇


神殿の入り口に立つ男が1人。


「座標は合っていたようだな」


男は神殿の中へ入る、そこには道を塞ぐ鉄の壁ができていた。


「無駄な足掻きを…」


男は壁に手を当てた、すると手を当てたところが赤熱しドロドロに壁が溶けていく。

楽々と壁を突破し階段を降りていく、しかしそこにも壁。

男はそれも溶かす、しかしまた壁。


「…」


男は無言でまた手を当てる、が次は魔法陣を展開し灼熱のビームを放った。そのビームは階段にあった壁を全て貫通し全てを溶かした。

男は階段を降りていく、そして階段の先に人影を見つける。


「これはこれは、神島本部長殿…」


「やはり貴様が来たか、ソレイユ」


「こんな壁が僕の足止めになるとでも?」


「思っとらんよ…」


神島本部長は指をくいっと曲げる、すると階段から鉄の拳が現れソレイユの顎に撃鉄を食らわせた、はずだった…

ソレイユの顎に触れた拳はみるみる赤くなり溶けていった…


「あなたと僕とでは相性が悪すぎる…」


たわ小童こわっぱ


次の瞬間ソレイユ右の壁から先程の数倍の大きさの鉄の拳がとてつもない勢いで現れソレイユを反対側の壁に押し潰す。

しかしその拳もドロドロに溶けていく、ソレイユはケロッとした顔で服についた砂を払いメガネをくいっとあげる。


「危ないじゃないですか…もう少しでメガネが割れるところだ…」


「砕いてやろう、その野望ごと…」


神島本部長は構える。そして、地を蹴り飛び上がると同時にソレイユの四方の壁や天井から拳が現れる。


「ふっ…アマリリス」


ソレイユがそう唱えるとソレイユの周りに紅蓮の花が咲き誇る。またも拳を全て溶かし尽くした。


「芸がないですね」


「そうかな?」


「っ!」


神島本部長はソレイユの目の前にまで迫っていた、自分を厚い鉄で覆いソレイユのアマリリスを凌いだのだ。


神島武術かみじまぶじゅつ鉄拳クロガネ


その鉄を纏っていないにも関わらず鉄のように重い一撃はソレイユのみぞおちを捉えていた。


「ぐっ!!?」


ソレイユを階段の一番上まで吹っ飛ばす。


「貴様が今まで犯した罪をここで裁いてやろう」


「…くっくっく」


ソレイユは笑う。


「さすがに僕も油断してました…そうでした、あなたにはその先代本部長の動きを手本にした武術がありましたね…」


ソレイユは神島本部長を見下ろし魔法陣を展開する。


「確かにこの場所はあなたにとって有利だ、地下ですから鉄を含んだ岩石等が大量にあるでしょうしそこから無限に能力を繰り出せる…ですが…狭いのがいけなかったですね」


「むっ!」


ソレイユはその魔法陣から階段の通路を埋め尽くすほどの太さのビームを放った。


鉄壁てっぺき!!!」


神島本部長は階段を駆け下りながら何層も鉄の壁を作る。だが、ソレイユの火力はそれを紙同然のように貫いていく。

ビームはメビウスのある最下層まで到達した…


「ふふ…ははははははははは!!!!」


ソレイユは高笑いを上げながら階段を降りていく。


「取るに足らん雑魚ばかりだ…これでサブサイドには僕に敵う人間がいないことが証明された!…ん?」


ソレイユの少し前方の壁面がパラパラと剥がれ落ちる。


「…しぶといじいさんだ」


しかしそこから現れた神島本部長は右腕右足が無く、鉄で義足と義手を作っていた。


「わしはまだ戦えるぞ小童ぁ」


とてつもない気迫、並の人間なら気絶してもおかしくない。


「わしはサブサイドの本部長じゃ…その程度でここを通れると思うなよ…!」


「まだ燃えたりないみたいだな、消え失せろ」


ソレイユが神島本部長に手を伸ばす…その時


カキンッッ!!


「なんじゃと!?」


突如ソレイユが動かなくなったかと思うとその体は氷漬けにされていた。


「消え失せるのはお前だ、ソレイユ」


ソレイユの背後、現れたのはグラソンだった。



ファントムブレイヴを読んでいただきありがとうございます!

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ではまた次回でお会いしましょう〜


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