第四章 第15話「ショウスケvsショウスケ」
「ショウスケ…お前の力、命!貰い受ける!!」
とてつもない勢いで放たれる拳、俺はそれを防いだ。今にも吹き飛ばされそうな重さだ。
「ぐっ…!」
「ハッハッハッ!燃えろぉ!!」
「メデューサちゃん!」
メデューサが上から飛びかかる、しかし、片手で弾き返されてしまった。
「邪魔な女だぜぇ!!」
別世界の俺は蒼い炎を噴き上げる。
「キャッ!!」
すると俺たちを囲うように炎が円を書いた。
「1対1だ…女ぁそこから入ろうとすれば焼き殺すからな」
「くっ!私はそんな簡単にやられないわ!!」
リサはキッと奴を睨む。
「リサ!下がってろ!心配するな、俺が勝つ…!」
「来いよ」
俺は構えモードを切り替える。
「モード・花火【炎帝型】!」
高速で間合いを詰め、拳を振るう。しかし奴は瞬時に俺の背後に回り込む。奴の拳と俺の左腕がぶつかる。
俺は顎めがけ蹴り上げるがそれもかわされる。そして、俺の脚を掴み引き寄せ拳が放たれる。
「ぐっ!」
俺は吹っ飛ばされるが炎が壁のようになりそれにぶつかる。
「獄炎榴弾!!」
3つの蒼い炎の弾がこちらへ飛んでくる。俺はそれを弾くように炎を出そうとするがその弾は手前で炸裂した。
「うぐっ!榴弾ってそう言うことか…!」
奴はすでに飛び上がって次の攻撃に移っていた。
「獄炎徹甲弾!」
腕から発射される炎の弾。俺は地面に向かって手を当て炎を噴き出した。回転しながら飛び上がり徹甲弾をかわす。そして奴へ拳を放った。
「崩れ牡丹!!」
ガードはされたがそのまま地面に叩きつけた、地を衝撃波が走る。
「ぬぐっ…!!」
一瞬苦しそうな呻き声を上げたがその口は笑っていた。俺は右側に気配を感じる、しかし遅かった。
「あがっ!ぐっ!!」
さっきかわしたはずの徹甲弾が肩に直撃する。また炎の壁に叩きつけられた。
「ハッハッ…どうやら俺が一歩上のようだな…」
「上なのはいいが…下にも気をつけるんだな…」
「なに…!?」
奴の足元から炎が噴き上がる。噴き上げられた奴へ向かい飛び上がる。
「終わらせてやるっ!!輝炎爆蓮華!!!」
「終わるのはお前だぁ!!地獄蒼炎撃!!!」
黄金の炎と蒼き炎が空中でぶつかり爆発する。お互いの炎に焼かれながら2人は落ちる…
「ショウスケ様!!!」
蒼い炎の壁は消え、2人は起き上がらない。
「ショウスケ様!大丈夫ですか!?」
「リ…サ…離れろ…あいつがまだ…起き上がってくるかもしれねぇ…」
「残念だが…それは…無理そうだ…」
奴は倒れ込んだまま言う。
「ショウスケ様、私が奴にトドメを…」
「おっと…命乞いをする…わけじゃねぇが…それはやめときな女ぁ…」
「黙ってなさい、偽ショウスケ様」
「別に俺を殺すのはいいが…かわりにあそこの発花ショウスケも死ぬぞ…」
「っ!?…そんなこと信用すると思ってるの?」
「ワールドパラドクスの…ひとつだ…“同じ世界に同じ人間が2人以上存在する場合第三者がこのいずれかの人間を殺した時その人間は全員死ぬ”…」
奴はおそらくとても大事なことを言っていると俺は悟ったが、リサは当然気づかない。
「何言ってるの?」
「その人間同士が殺り合えば“淘汰”とみなされ生き残った1人にその力が吸収される…つまりだ…俺にトドメをさせるのは発花ショウスケ…お前だけだ…」
「リサ…おそらくそいつの言っていることは本当だ…そいつから離れろ…」
「でっでも…」
その時奴の体が淡く光り始めた…
「チッ始まったか…」
「っ!何してるの!?」
「俺が何かしてるわけじゃない…淘汰が始まったことで世界が俺を異物と認識して弱ったところで俺を元の世界に戻そうとしてるんだ…」
「…あなた何者なの…」
「発花ショウスケ!俺にトドメを刺せ!!」
「!?」
「俺は死ぬならオリジナルになった後か淘汰されて死ぬって決めてるんだ!どうせ戻ったって世界渡航は魔導士無しではもうできねぇ!たとえこの世界が崩壊するとしてもお前に俺を託す!」
俺は戸惑う、いくらなんでも殺せと言われてハイそうですかとできるもんじゃない。しかも別世界の俺ときた…
「早くしろ!俺が消える前に!」
「お前は本当にそれでいいのか…」
「何!?」
「今ここで俺が殺さなければお前はまた元の世界で生きられる…お前は何人も人を殺してきたはずだ…その罪を償わなきゃあいけない…」
「何甘っちょろいこと言ってんだてめぇ…俺はこの先生きたって罪なんて償うつもりはねぇ…!俺は生か死かのこの道を選んだ!いくら別世界の俺でも文句を言われる筋合いはねぇ!!」
「お前はここで死ぬべきタマじゃねぇ、なんせ俺だからな…」
奴は体を引きずり俺の方へ這ってきた。そして俺の服を掴む。
「俺に勝ってもねぇヤツが俺の死に方にとやかく言ってじゃねぇぜ!あぁ!?…………頼む……」
「!!」
消え入るような声で「頼む」とそう言った。俺には、いや俺だからその言葉が染みた…この場面でこんな声で人に頼みを乞う…どれだけプライドを捨て切った、そして賭けた言葉だろうか…俺が逆の立場なら言えない言葉だ…
「……おい」
「なんだ…」
「かっこ良く死んでくれよ…?」
俺は全身に力を込め立ち上がる。
「ハァ…ハァ…俺ももう限界だ残りの全身全霊をかけてお前を殺す!」
「…あぁ、それでこそ俺だ」
別世界の俺は笑う。
俺は右手に残りの気力を全て集める。そして、炎を十字架の形にする。
「あああああぁぁ!!」
俺はそれを別世界の俺の胸に突き立てた…
「最高だぜ…ショウスケ…」
そうして、ショウスケは気力の粒子となっえ消えていった…
そして、その気力の粒子は俺に纏わりつく。
「…これが淘汰…」
あのショウスケの力が俺に宿ったみたいだがそれを感じる力も残っていなかった…
俺はその場に倒れる。
「ショウスケ様!」
「…じゃあなショウスケ…」
俺は気を失った…
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ではまた次回でお会いしましょう〜