第四章 第14話「獄炎の世界渡航者(ワールドウォーカー)」
仮面を脱いだその顔は俺と同じ顔をしていた。今まで危険だと言われていた赤髪の男が俺と同じ顔をしている、意味がわからなかった…
「俺が何者かだと?そっくりさん…だとでも思うか?あ?発花ショウスケ」
「じゃなきゃなんなんだてめぇは…」
「俺はお前だよ…そして、お前も俺だ」
「……?」
「わからねぇか?俺は別の世界から来た“発花ショウスケ”だよ」
「別の…世界の…俺??」
頭が混乱する。
「何も驚くことじゃねえだろ、魔導士どもだってお前の兄貴とメビウスって奴以外は別の世界から来たんだからな」
「じゃあ何か?そのまた別の世界にはまたその世界の俺がいるのか?」
「あぁ」
「じゃあ何故同じ俺を殺そうとするんだ、意味があるのか?」
「さっきも言ったろ、オリジナルになるためだ。オリジナルになるために全世界の俺を淘汰し真の俺になる」
「全然意味がわからねぇ頭がおいつかねぇぞ」
向こうの俺がやれやれと手をあげる。
「話が過ぎたな、お前は“ワールドパラドクス”の意味なんて分からなくていいんだ…俺に殺されればなぁ!!」
別世界から来た俺はまた炎を燃やす。その時地鳴りがする。
「なんだ…っ!!?」
突如奴が地面から突き上げられた何かに吹っ飛ばされる。
「あれは…」
地面から出てきたのは岩の蛇だった。
「メデューサ!?ってことは…」
土煙の中から人影が現れる。
「ショウスケ様は殺させない…!!」
「リ、リサ」
リサはこっちを見ると駆け寄ってくる。
「ショウスケ様大丈夫?あいつは…?????」
リサは立ち上がった奴を見て目を丸くする。
「え?あっちもショウスケ様?えっでもこっちもショウスケ様??ショウスケ様が2人ー!?いや、待って不動院リサ落ち着くのよ、愛するショウスケ様は1人…そんなはずないわ…でもあっちもショウスケ様…」
「おい、落ち着けリサ、あいつは俺であって俺じゃねぇみたいだ」
「??????」
リサも何も分からないようだった。
「なんだ…女が1人増えたな…」
「声までショウスケ様に似てる!」
「リサ、なんで来たかはしらねぇが下がってろこいつは俺が…」
「だめよショウスケ様、ショウスケ様の敵は私の敵…たとえショウスケ様そっくりでもお手を貸します、それにショウスケ様が倒さなければいけないのはお兄様でしょ?こんな奴2人でさっさと倒してしまいましょう!」
ビシッとリサは奴に向かって構える。
「…どうせ言ったって聞かねえもんな…どの道あいつは邪魔だやるぞ…!」
「メデューサちゃん!!」
掛け声と同時にメデューサが飛びかかる、奴はそれをかわすが尻尾が追撃にかかる。しかし、それは受け止められた。
「すまねぇが一気に決めさせてもらう…」
俺は奴の背後に回り込み炎を纏う。
「帝王の王炎!!!」
「がはぁっ!!?」
奴は黄金の炎に包まれながら吹き飛ぶ、そしてメデューサはそれを逃がさない。
メデューサは吹き飛ぶ奴を尻尾でキャッチしまたこちらへ投げる。
「これで終わりだ…!」
俺は両手に爆発する炎を纏う。
「爆蓮華【炎帝型】…ダンデライオン!!」
奴を黄金の炎が襲いいくつもの爆発が起こる。その爆発はまさしくタンポポのように咲き誇った。
ドサッと地面に落ちる、奴は動かない。
「やったか…」
「いえ、ショウスケ様まだです」
見ると奴は笑い出した。
「ハッハッハッハッハッハァ!!…俺もそろそろ見せなきゃなんねぇかぁ…」
奴はムクリと起き上がる。
「この炎を…」
みるみるうちに体の炎が蒼くなっていく…そしてその炎には見覚えがあった…
「そいつは…その蒼い炎は…!」
「見たことあるかぁ?この炎を…こいつを貸してたあの野郎は使いこなせていなかったようだがなぁ」
「貸してた…?」
「あぁ大門とか言うジジイが息子にどうしてもっていうからよぉ魔導士の力でその息子に付与してたんだ…ヘマしやがったから返してもらったが」
さっきとはまるで熱量が違う…蒼白い炎が燃え盛る。
「この力はこの世界で言う失った気憶…ここからが本番だぜぇ??」
俺は異様な気力を感じる。
「リサ!!メデューサだけじゃだめだ!ゴーレムを出して身を守れ!」
「は、はい!」
「あの野郎は聖なる炎だとか神の炎だとかほざいていたが…残念…これは…“地獄の炎”だ…!!!」
俺はもう一度黄金の炎を燃やす。
「炎帝っ!!」
別世界の俺はニィと不敵に笑う…
「獄炎っ!!」
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ではまた次回でお会いしましょう〜