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Give and Take ~for girls 留学編  作者: 月岡 愛
49/55

稽古

(モクトウ ヤメ! ケイコ ハジメマス! オース!)


(オス!!!)


ブラットが日本語で号令をかけた。生徒たちも一斉に(押忍 オス)と言いながら立ち上がり稽古が始まった。


50名近くいる生徒の中には高齢者の人も多く、私の祖母と同じくらいの歳の人が結構いる。先ほどの下半身がない男性も、汗を流しながら体を動かしていた。 びっくりしたのはエミリーだ。蹴り足を前へ、後ろへ、横へと見事に蹴り上げている。 その動きもとてもキレイにキマっている。


驚いたのが車イスの生徒もいることだ。下半身が不自由でも上半身だけでもと受けたり突いたりしていた。目が見えない・・盲目の生徒、知的障害者、ダウン症・・・それぞれの障害を抱えながらも純白の空手着を着て懸命に稽古に励んでいる姿はどこか輝いている。生まれながら障害を抱え、辛い思いや嫌なこと、差別的なことなど幾度となく経験してきたことだろう。それでもこの空手の稽古で掛け声を出しながら汗を流す姿を見てると、私はもし自分が同じ立場だったら・・・と思うと心が締め付けられる。


しかし、障がい者とはいえ、ブラットの厳しい言葉は容赦せず浴びせていた。


(そんな突きじゃ、倒されちまうよ!もっと真剣にやれ!!! こら! ボーとしてるんじゃないよ!)


怒号にも怯むことなく稽古の時間は進んでいく。



稽古も終盤になると(メディテーション 瞑想)というものを10分ほど行い稽古を終える。この(メディテーション)が生徒たちにとても好評でこれがしたくて参加をしてる人もいるようだ。


基本稽古から始まり、型、セルフディフェンス、クールダウン(整理運動)まで、約2時間ほどのプログラムになっていた。


クールダウンも終え、最後の(メディテーション)。


(みんな、楽な姿勢で座ってくれ。これからメディテーションに入るぞ。)


道場の灯りが、暗くなり生徒たちもあぐらの上に両手を乗せ静かに目を閉じる。今までの稽古の時間が嘘のように静まり返った。



ブラットが静かに立ち上がり生徒たちの周りを歩きながら語り始めた。


( 人間、生きていると様々な出来事がある。 辛いこと、悲しい事・・・ ここにいる人の中には差別的なことをされたり、耐えられないことなど数多く経験してきた人もいるだろう。 だけど、何で自分だけが・・何で私だけが・・・と自問自答することもあるかと思うが、生きるということは愛すること・・すなわち自分を愛するということなんだ。 自分を愛せず、人を愛せることなど出来るだろうか? その気持ちを今、ここにいる生徒たちはみんな持っている。 なぜか、そうでなかったら一度の稽古に50人も参加するか? みんなよく考えてくれ。 このウィークディ(平日)に50人も生徒が集まる道場など、あるか? )



ゆっくりと歩きながら生徒たちに語りかける・・・



( 自分は不幸なんだ・・・本当にそうだろうか? 不幸な人間だったら今、この時間、この場所で空手など出来るか? ありのままで生きることができる・・自分と人を愛することが出来る・・・それこそが最高の生き方ではないか? )



(メディテーション)の時間も終わり、ブラットのクラスは終了した。




(愛、エリカ、どうだった? 空手もいいもんだろう? 笑 )


(こんなに多く人が参加してるなんて思ってもなかったです。)


( どうだ? 空手、やってみるか? 笑 )


( ハハハ・・・ちょっと・・・それは・・・( ̄∇ ̄;) )



(こんにちわ。はじめましてよね? 笑)


黒人の女の子が寄ってきた。 この子は目が見えない。


私と、エリカの手を握り、


( 2人とも、私と同じくらいの歳かしら? 私、シャロン。よろしくね。)


(あの、何で同じくらいの歳だって・・・)


(だって、声や感覚で分かるもの。笑 私、感が鋭いの。ウフフ )



(お二人、名前は何て?)


(愛です。こちらはエリカ。)


(愛とエリカね。素敵な名前ね。愛は日本の子?)


声だけで日本人って分かるなんてちょっとすごい。なんで??


(日本の女の子は、控えめな話し方をするからすぐに分かるわ。それに愛は日本人特有のアクセントがあるから。掃除して、着替えてくるからエミリーと一緒にホットドッグ食べにいかない? 美味しいとこがあるから。笑 )



シャロンの誘いで道場近くのお店に行くこととなった。











































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