成人式も終え・・・
お風呂にも入り、晴れ着も脱いでようやく【成人式】が終わりを迎えた。私たちも祖母が用意してくれていた、T-シャツ、スエット姿になり窮屈な着物から解放された。
(さ、ご飯の支度も出来てるし、たくさん食べてゆっくりしな。真凛も今日は泊まっていきなよ。お布団も用意してあるから。)
(本当にすいません。私のためにこんなことになって・・・)
(何言ってるんだい。お祖母ちゃんも無事に助かったんだし、いつまでもメソメソしてたらダメだよ。)
セギョンも、
(私たちだけ、特別な成人式をあげれたんだし。これも何かの縁だと思うし。)
テーブルには、お寿司、天ぷら、煮物、他、美味しそうな料理が所狭しと並べられていた。私たちだけでなく成人式に協力してくれた近所の人たちも一緒に参加して、とても賑やかな食卓となった。
(近所の人たちと、一緒に賄いをしたんだ。美味しそうだろう? たくさん食べなよ。じゃ、みなさん、今日は孫たちの成人式のためにいろいろとありがとうございました。乾杯!)
祖母の音頭で宴会が始まった。
すべてが無事に終わり、安心したせいか、一気に食欲が湧いて出てきた。 ティファニーもエリカも遠慮なし!という構えでバクバクと食べ、飲んで、騒いで・・・・ それを横目で見ながら真凛も笑顔が戻りお寿司を口にしている。
(ティファニーもよく食べるけど、エリカも負けじと凄いね。笑い)
セギョンも驚きのようで、ビールを片手に目を丸くしていた。 着付けやメイク、髪結いなどをしてくれた近所の人たちも、お酒が入り賑やかになっている。 大勢でする食事は本当に楽しいものだ。
そんな賑やかな食卓も終盤になり、みんな総出で片付けと洗い物に入った。大勢の人でやると一気に終わり、あっという間にテーブルもきれいになり何もなくなった。 私たちも近所にひとたちにお礼を伝え、一日を終えようとしている。
(みんなの着物は明日、クリーニングに出すから真凛も一緒に出しなよ。仕上がりは少し時間がかかるからね。)
(え?でも、)
(大丈夫よ。こんなときくらい遠慮はダメだよ。笑)
祖母は私たちの着物だけでなく真凛の着物も一緒にクリーニングに出してくれた。これで今日一日、すべてが終わった。
エリカとティファニーは、たくさん食べてビールも入ったせいか、グッスリと夢の中。 グーグーといびきをかいていやがる。 私も少し真凛と話した。
(私、美容学校に行ってるの。美容師免許取って、お祖母ちゃんの髪、切ってあげるんだ。来年、卒業なの。)
(美容学校って2年間?)
(そう。そして国家試験を受けるんだ。私、絶対に合格してやるんだ。お祖母ちゃんの髪、本当にキレイにしてあげたいの。)
祖母の手一つで育てられて、その恩を返すように真凛は美容師となる夢を持ちそれを叶えようとしている。祖母の為にも絶対に実現して欲しい。
(愛さんは、アメリカ留学してどんなことしたいの?)
(う〜ん・・・それがまだ・・ね。)
(何か、やりたいこと見つけた方がいいよ。せっかくアメリカに留学してるんだし。)
真凛の言うとおり、私もこうしたい、こうなりたいという何かをみつけなければいけない。大学生活も4年と長く感じるようでも、あと2年で卒業を迎えてしまう。 このアメリカ留学も5月の連休には終わってしまう。
(でも、外国人のお友達なんて何か羨ましいなぁ。私なんて親しい友達なんて一人もいないもん。)
(もう、いるじゃん。笑。 私も、エリカもティファニーもセギョンも。)
真凛もようやく落ち着きを取り戻し、笑顔が見れてきた。 明日になれば祖母との面会も出来るようだしこれで私たちの成人の日も終了した。
エリカと私は、明日には荷物をまとめてアメリカに戻る準備をしなければならない。少し慌ただしい滞在だったが、でも、こうして振り返るととても良い経験をしたと思う。
これは、私だけでなくティファニーもセギョンもエリカも、そして真凛も同じ気持ちのはずだ。