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Give and Take ~for girls 留学編  作者: 月岡 愛
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祝 成人式

(みんな、きれいな晴れ着を着させてあげるからね。)



祖母が私の着付けをしながら音頭をとってくれている。また隣近所の人たちも応援に来てくれて、早朝から着付けやお化粧をここ忙しといわんばかりに手伝ってくれている。


1月7日 成人の日。 


私は20歳というお酒やたばこも問題なく口にできる年齢になった。10代には許されていたこともこれからはそういかなくなってくるだろう。そう思うと何か体が引き締まる思いだ。


振袖を羽織り、髪も整えて・・・帯をギュッ、ギュッと締めてくれ、少し苦しいが振袖もそう悪くはない。お化粧も隣のお祖母ちゃんのお孫さんが手際よく、ブラシや筆などを使いながら私たちを仕上げてくれる。美容師の息子さんがいる人もいてその人も親子で髪を成人式仕様に仕上げてくれている。 


(わぁー。みんなキレイね。)


仕上げてくれた近所の人たちからも歓声があがった。


私たち4人の振袖姿。 祖母は目を潤ませている。


(愛・・・本当にキレイだ。 その振袖はお母さんが成人式のとき、私が仕立てたんだよ。 お母さんも可愛くてきれいだったよ。)


私の振袖は、母が成人式のときに着た着物だ。赤とピンクできれいな花が書かれている。エリカ、セギョン、ティファニーも赤とピンクを基調にして可愛らしくきれいな絵柄が入っている。


(まだ、時間があるからみんなで写真を撮るからね。)


祖母がそう言うと、私たちを連れて近所の知り合いの人というところへ行くこととなった。 表に出て歩くとすれ違う人からも、 


(キレイね・・・お姫様みたいね・・) など言われなんだか照れ臭い。


祖母が連れていってくれたとこは、昔、カメラ屋さんだったようで今は営業していないが、懐かしいというかそのような面影が残っている。 


(あぁ、いらっしゃい。 お孫さん? 晴れ着姿は本当にいいねぇ・・・)


祖母と同じくらいの年のお祖父ちゃんが出迎えてくれた。これから私たちの晴れ着姿を収めてくれるらしい。部屋に入るとスクリーンのようなものと大きな傘みたいなもの、それに撮影するカメラが古くてレトロって感じ。 でも、私はこうい昔のスタイルが好きだ。 まるで昭和の時代って雰囲気。


(じゃ、お嬢ちゃんからいこうか。)


トップバッターはティファニーからだ。 はい、ちょっとナナメに・・はい、少し気持上向きに・・とパシャパシャ、シャッターが押されていく。 エリカ、セギョン、そして私、仕上げには4人全員と祖母も含めた集合写真で締めくくった。


(これから現像をして写真にするから少し、時間がかかるけどお祖母ちゃんに渡しとくからね。)


(ありがとうございました。)


私たちもカメラ屋のお祖父ちゃんにお礼を伝えた。祖母の家に戻り、私たちに着付けやメイク、髪結いのお手伝いをしてくれた近所の人たちとも一緒に写真を撮った。エリカもセギョンもティファニーもインスタに画像を収め、家族に送信している。 そろそろ成人式の会場も受付の時間が近づいてきた。


(いってらっしゃい。一生に一度の成人式だよ。愛も、エリカも、セギョンも、ティファニーも本当にキレイだ。)


祖母たちに見送られて成人式の会場、大田区体育館に向かった。 天気も良く空も青々としていてまさに今日の成人式のための青空だ。 


(日本に来て着物が着れるなんてほんとに信じられない。)


(エリカもティファニーもモデルさんみたいだよ。)


私とセギョンは日本と韓国だからそう変わりはないが、エリカとティファニーは金髪の白人女性だし、日本の着物を着ると特に目立つ。会場に向かうにつれ道行く人たちも晴れ着姿、羽織袴、スーツ姿の新成人たちになって来た。


(あの男が着てるの何?)


(あれは、男の人が着る着物よ。羽織袴っていうの。)


ティファニーとエリカが不思議そうに見ている。


(スーツは分かるんだけど、日本じゃ男も着物なんて着るんだ??)


(こういうときだけだよ。あとは結婚式とか・・かな?)


一生に一度の成人式・・・・ エリカもセギョンもティファニーも、日本に来て良かったと思っているはずだ。私も外国人の晴れ着姿なんてそう滅多に見れるものではない。私たち4人の晴れ着姿もキマっている。しかしこの成人式もこれが最初で最後なのだ。


会場は新成人でごった返していた。入るのに時間がかかりそう。 家族で来てる人も多くその数をいれるとかなりの人数だ。 


(ひゃぁーすごい人だね。 いろいろな色の着物があってキレイだね。)


ティファニーも周りの晴れ着姿に目を潤わせている。 



ドスン!!




私たちの後ろで何か音がした。


(お祖母ちゃん!!お祖母ちゃん!!)


(え?あの、どうしました?)


(お祖母ちゃんが急に倒れて・・・・)


そのときティファニーが、


(ちょっと仰向けにしてみて。うん・・・頭は打ってないみたい、顔に傷もなし、あの、お祖母ちゃん、心臓、弱いの? その子に伝えて。)


私が訳して伝える。


(はい、時々、不整脈があるって病院からも言われたことがあります。)


(ティファニー、不整脈って言ってる・・)


(一過性脳虚血発作かもしれないな・・・愛、119番、それとその子の家族にも連絡を入れて。)




一過性脳虚血発作・・・・・・一時的に脳が虚血状態になること。脳梗塞の前駆症状とも考えられている。




セギョンがすぐに119番通報、エリカはそのお祖母ちゃんのお孫さんらしき人を支えている。私もティファニーの(第一助手)となり、お祖母ちゃんを支えた。


(お祖母ちゃん、大丈夫? 助けて・・・)


キレイな晴れ着姿のお孫さんも泣きじゃくっている、それをしっかりとエリカは支えてくれている。言葉は通じないが体感的に伝わるのだろう。


私たちの周りには何が起こったんだ?といわんばかりにすごい野次馬の人だかり。中にはスマホを向けながら撮影しているものもいる。 成人式の会場だから仕方ないかもしれないが、でも親御さんたちも来ているはずだ。その中の誰かでもいいから、会場にいるスタッフや、大人同士で連携して何かしてほしいものだ。 


救急車が到着、救急隊の方に詳細を伝え、すぐに病院に搬送されることになった。お孫さんの家族も間に合わないようで、結局、私たち4人とお孫さん、5名で救急搬送にご同行することとなった。 この時点で私たち以外では誰も近寄ってはこない。こんなにも人だかりがあるのに・・・・


救急車にはお孫さんとティファニー、私たち3人はタクシーで追いかけることにした。幸い、すぐにタクシーも乗れ、いざ、病院へ!!


タクシーのおじさんが、


(あれ?お嬢ちゃんたち成人式、もう終わったのかい?)


(いえ、成人式ではなく、病院の救命センターまで行くんです。あの救急車の後をついて行ってください!)


( ( ゜Д゜)ハァ? よし。分かった。少し、スピードを出すぞ。)


おじさんは、アクセルを踏み救急車の後をしっかりとついて行った。
























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