羽田へ。
(間もなく、羽田空港に到着します。座席のシートベルトを今一度、ご確認くださいませ・・・)
機内から見る夜の景色は輝かしくて宝石のように見える。鹿児島を夕刻に出発し、夜の羽田空港にと到着した。
(栞さん、いろいろとありがとうございました。)
(また、いらっしゃい。私も明日からはフライトに戻らなきゃならないから。)
(どちらへ行くんですか?)
(一度、成田へ行き、そこから欧州へと行くから、何か月かは日本に戻れないかな。)
栞さんは、正月明けの4日、東京、成田へと行きそこからヨーロッパへとフライトに向かう。私たちも羽田へと戻ることとなった。
(シオリサン、アリガトウゴザイマシタ・・・イロイロト・・)
(何にも役に立てなくてゴメンね・・エリカも元気でね。 愛さんもまた会おうよ、ね。)
(栞さん、また会いに来ます。綾さんにも伝えときます)
(ありがと。綾さんには、私からも電話しとくから。)
PM9:00、羽田空港に到着。 夜とはいえ、空港も帰宅ラッシュと同じ凄い人込みだ。ここから更に京急に乗り蒲田まで向かわなければならない。
(お祖母ちゃんの家に着いたら、お風呂に入りたいね。もう、疲れた・・)
(今日はお風呂入ったらすぐに寝よう。)
日本国内とはいえ、飛行機での移動は小娘にも結構、堪える。
(疲れたろう?お風呂入ってるから、早く入りな。)
祖母が私たちの帰りを待ってくれていてお風呂まで入れておいてくれた。本当にありがたい。 すぐに服を脱いで髪と体を洗いまくった。
(ひゃー気持ちいいね。もう最高!!)
エリカも日本のお風呂に大変満足のようで、私もお風呂に入るたびに日本に住んでいて良かったとしみじみと感じる。
湯上りは、祖母の用意してくれた浴衣に着替え、寝る体制まであとわずかとなった。
(鹿児島はどうだったかい? 康子さんのこと何か分かったのかい?)
鹿児島での出来事の経緯を祖母に伝えた。
(そうか・・もう昔のことだものね。でも、手紙を渡した後輩の方も生きていたということだけでも分かって良かったじゃないか? 戦争経験者も年々、減ってきているし。 それだけみんな年を取ったということなんだよ。)
(お祖母ちゃんの家族のことや、お兄さんの事とかが、ちゃんと知れて良かったです。本物のゼロ戦も見れたりしてアメリカにいたら、出来なかったですよ。)
(こんにちわーー。お祖母ちゃん、元気してます?)
誰か来たようだが・・しかしこんな時間に誰だ?
(ようやく日本に戻りました。愛は帰って来てます?)
え?まさか?
(あ? こら!愛。なんで連絡しない? 笑 )
ティファニーが何故かいる。それだけではない。
(はぁ・・疲れた。お祖母ちゃん、しばらくです。)
セギョンもいる・・何で?
(まぁ、よく帰って来たよ。元気だったかい? さ、荷物を置いてお風呂に入りな。愛たちはもう入ったから。)
(お祖母ちゃん、なんで2人がいるの?)
(何でって・・笑。 もう忘れたのかい? 20歳の成人式には晴れ着を着て出るって約束してたろう?)
そうだ。去年の夏、みんなで泊まったとき来年の成人式にはみんなで晴れ着を着ようって約束をしていたのをすっかり忘れていた。
(もう、愛、忘れてたの? セギョンも私もそのために帰国してきたっていうのに。)
ティファニーが覚えていたなんてほんとかよ・・・
(月岡さん、その人、クラスメイト?)
(うん、学生寮で同じ部屋なの。)
(コンバンワ、ハジメマシテ・・・エリカデス・・・)
(私はセギョン、こちらはティファニー。よろしくね。)
ティファニーとセギョンとも初対面のエリカだが、フランクに接しているところがやはりアメリカ人らしい。 女4人、集まると賑やかになる。
ティファニーもセギョンも入浴後は浴衣に着替え、ようやく一休みという感じだ。
(お祖母ちゃん、成人式は15日でしょ? 私たちは10日にはアメリカに帰国しないと・・・)
(今は、一月の第一週の日曜日が成人の日なんだよ。だから今年は7日だから10日までには大丈夫だろう? みんなの着物はもう準備してあるんだよ。)
(でも、エリカのは・・・)
(大丈夫。ちゃんとあるから。)
(愛、成人式って何?)
(日本は、20歳になると成人式があるの。その日は成人の日って言って、着物を着て祝うのよ。)
(それでこちらのお二人さんも?)
(そう。エリカも出るからね。)
(え?わたしは・・・)
(エリカ、一生で一度の成人式だよ。日本に来てもう2度と経験できない唯一の日なんだ。だから愛たちと一緒に成人式に行っておいで。エリカの着物もちゃんと用意してあるんだよ。)
祖母の言葉にエリカも納得したようで7日の成人の日は、私たち4人で出席することになった。しかし、もう一人、竹内さんだが・・・
(あの子からも連絡があって、故郷、金沢で成人式をあげることにしたんだそうだよ。実家の家族たちのこともあるだろう?その方がいいって私も言ったんだ。)
残念ながら竹内さんはお正月も兼ねて故郷、金沢に帰省し地元の成人式に出席することにしたそうだ。
私もエリカもそうだけど、セギョンもティファニーもお風呂上りもあってか疲労がピークに達しており、もう気を失いそうになっている。
(今夜はもう休んだ方がいいんじゃないかい?)
祖母の一言で、私たちもお布団の中に入った。




