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Give and Take ~for girls 留学編  作者: 月岡 愛
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特攻花

栞さんが連れてってくれたところは、【喜界島】という伊敷から少し距離があるところだった。天気がいいせいか海がとてもきれいで清々しい。


(ここは、特攻隊が飛び立つときに指揮するところだったの。ここから沖縄へ向かってね。今も、建物が残っているけど、入ってみる?)


(え?入れるんですか?)


(大丈夫よ。子供の頃、よく来たから。)


栞さんが案内してくれたところは【戦闘指揮所】という防空壕のようなもので、周りには人も住んでいて住宅街の中にある。


階段を下りて中に入るとそこは重い空気が流れているようで肌寒く感じる。中は空洞になっているがここには机や無線などがあり指揮官といわれる人が特攻隊に指示を出していたのだろう。他県からこの【戦闘指揮所】を見学する人もいて案内版があるが、とてもわかりずらいので見過ごしてしまいそう。


地下壕で佇んでいると本当に戦時中にタイムスリップしているような気もおきてくる。


表に出て少し歩くと【喜界空港】という小さな飛行場が見えてきた。ここが【旧海軍航空隊喜界島基地】神風特別攻撃隊の前線基地だった場所だ。現在は、鹿児島空港と奄美空港を一日、3往復ほど就航していて稼働はしているようだ。 エリカの祖母のお兄さんもここから飛び立ったのだ。


(今も、ここに住んでる人たちも鹿児島や奄美に行くときに利用してるわね。就航は少ないけど結構、重宝されてるようよ。)


(やっぱり、滑走路はあっても戦時中の景色ではないから本当にここが?と思うと何だか信じられないですよ。)


(中に入って滑走路を見てみようか。)


空港の職員の方にも許可を得て、飛行場の中に入った。辺りを見ると本当に田舎の飛行場という感じで人影もなくとても静かだ。 


(エリカも愛さんも見て。)


栞さんの指先を見ると、赤とオレンジの変わった花がたくさん滑走路を囲むように咲いている。


(この花は?)


(この花はね、【テンニンギク 天人菊】って言って、特攻出撃する隊員たちに家族や友人たちが贈った花、【特攻花】とも言うの。その花をね、(一緒に散るのは忍びない・・・)って飛び立ったときに空からその花を落としたり、操縦席に乗る前にそっと滑走路に置いたりして。それが今の時代にもこうして滑走路囲むようにたくさん咲いているの。)



この【特攻花】を見ると中心が赤くてその周りがオレンジ色の不思議な花だ。その一輪が一人の特攻隊員のようでとても切なく思えてくる。 


(知覧平和会館にも、たくさんの遺書や家族に宛てた手紙などが全国から寄せられているのよ。その中でもこの【特攻花】のことはよく書かれているわね。叔母さんから聞いた話だけどね。)



とても静かな滑走路・・・・赤とオレンジの【テンニンギク 天人菊・特攻花】に囲まれて神風特別攻撃隊としてアメリカ戦艦に特攻出撃する10代の青年たち。その青年たちに家族や兄弟、友人たちはそっと【特攻花】贈った。その青年たちも飛び立ったときに空から花を落とし別れを惜しむようにアメリカ軍に向かっていく・・また何かを惜しむように滑走路にそっと花を置き静かに飛び立っていく・・・・


その花もやがて枯れ、種となり風に舞い、半世紀も経った今でも喜界島の滑走路に群生し花を咲かしている。蛍の灯りとして戻ってくる・・・エリカの祖母のお兄さんが手紙に残したようにこの喜界島から飛び立った青年たちも【特攻花】として帰って来たのだろう。 戦後70余年過ぎた現在でもこのようにして青年たちの想いが【特攻花】として何かを訴えているようにも思える。





美しい国、日本。 戦争を起こさない国、日本。 





神風特別攻撃隊、回天特攻隊。多くの若き青年たちの思いが現代となった今でもこのような形として残っているのかもしれない。













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