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Give and Take ~for girls 留学編  作者: 月岡 愛
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甘酒

12月31日、大晦日の夜を迎え明け方には羽田を発ち、鹿児島へと向かう。 午前0時前にエリカと近くの神社へ初詣に向かった。


神社にはすでに人の列が出来ており参拝客には(甘酒)が振舞われていた。私もエリカも紙コップに注がれた熱い甘酒を口にし、


(ひゃ~熱い。日本のお酒ってこんな味がするんだ???)


(これは酒粕っていって、日本酒を作るときにでるものだよ。でも、お酒だからやっぱ酔いそうだよね。)


(でも、美味しいよ。それに体がポカポカしてきた。笑)


寒い夜、空はきれいな星で透き通るようだ。こんな夜空の下で甘酒なんてちょっと粋。



午前0時になった。


並んでた人も一人。また一人とお賽銭を入れ、手を合わす。境内には古いお札やお守りなどを焼くお炊き上げもしていた。 エリカと私の番になり、エリカに参拝の仕方を伝授した。しかしこんな小さな神社なのに、こんなにも人が来るのかと思うと驚いた。


(へぇ~こんなふうにしてお参りするんだ・・・)


(お正月だけでなく、普段の日でも近くに住んでる人たちは、朝、こうして手を合わして神様にお辞儀をするんだよ。)


(アメリカはクリスチャンが多いけど、日本と同じように教会に集まってお祈りとかするもんね。何か似てる・・・)


一年の始まりをエリカと一緒に迎えた。 


(愛、ちょっと待って。)


(え?どうした?)


(甘酒、もう一杯。ウフフ)


そう言うと、私の分まで頂いてきやがった。


(なんだか、美味しい。笑)


(もう、酔わないでよ。これから飛行機に乗るんだから。)


一杯目の甘酒が効いたのか、体中がポカポカと熱くなってきた。それに加えて2杯目。一緒に腕を組みながら甘酒を飲み歩いていると、足元がフワフワと感じる。 


(フフフ・・・ちょっと酔ってるみたい・・・)


もう、エリカ、あんたって人は・・・・ そういう私も、あんたって人は・・・になっていた。




午前2時、そろそろ羽田に向かわなければならない。 先ほどの甘酒もようやく覚め荷物もまとめてスタンバイ。


(何かあったら、すぐに連絡するんだよ。東京と違って向こうは寒いからね。また、アメリカに帰るときには、羽田からだろう? だったらうちに泊まってから帰りなよ。)


(うん、そうする。エリカもそうしたいって言ってたし。)


祖母にも夜更かしを付きあわせてしまい、本当に恐縮だ。 アメリカ行のチケットは1月10日。だから7日あたりに戻り2日ほど滞在してそれからということに決まった。 


(お祖母ちゃん、じゃ、鹿児島に行ってくるから。)


(イッテキマス。アリガトウ。)


(ちゃんと待っているからね。怪我のないようにね。)



祖母に見送られながら、羽田空港へと向かった。



大晦日の深夜とはいえ、やはり辺りは静かだ。 昔はなんかもっと賑やかな深夜だったような気がするが、今の時代、ゆっくりと家で過ごすのが主流になっているのかもしれない。



羽田に着き、綾さんに連絡。


(着いた? じゃ、今、迎えにいくから。)


10分もしないうちに、綾さんは来てくれ、


(まだ、時間があるからこちらへどうぞ。)


CA専用の休憩室へと案内してくれた。


(ほんとにありがとうございます。綾さんがいなかったら、鹿児島に行けなかったです。)


(いいのよ。可愛い【妹】が困ってるんだもん。笑)


コーヒーを入れてくれ、チケットを渡された。


(帰りの分もあるから、さっき調べたけどこのチケットの時間だとそれほど混んでないようだからゆっくりと往復できるかな。それと、もしかしたら、飛行機の中で初日の出が見れるかもしれないわよ。)


羽田から鹿児島まで約一時間50分。フライトが午前5時。鹿児島に向かう途中でほんとに初日の出が見れるかもしれない。


(はい。こちらはエリカ。)


綾さんがチケットを渡しても、


プイ!


もう、フン!!と言わんばかりの態度。


(もう、エリカ。ありがとうございました。くらい言いなさいよ。)


プイ!プイ!


(ハハハ、エリカって何か可愛いわね。笑)


綾さんは笑っているが、私はこういうのはダメだ。


(? 今、なんて日本語言って笑ってるの?愛??)


(もう!いいかげんにして!)




そろそろ搭乗の時間だ。 綾さんにもお礼を言ってあとは鹿児島まで行くだけだ。


(綾さん、ありがとうございました。また帰ってきたときには連絡します。)


(うん、そうして。私もこれから初日の出フライトのお仕事なの。だから今日はここまで。気をつけて行って来て。エリカもね。笑)


プイ! 


もう、あんたほんとに引っ叩くよ。



搭乗手続きも済ませ、JAL鹿児島行に乗った。 元旦の早朝とはいえ結構、混んでいる。こんな時間に鹿児島に行く人もいるのだなと思った。私たちの席もちょうど窓際でこれなら初日の出も見れそうだ。ご機嫌斜めのエリカを窓際に座らせ、その隣に私は座った。3席並んでいるが、私の隣は空席になっていた。これも綾さんの計らいだろう。本当に感謝する。


(鹿児島空港には午前6時50分を予定しております。皆様、座席にありますシートベルトをお締めくださいませ・・・)


機内アナウンスが流れ、JAL鹿児島行は離陸した。



午前5時とはいえ、まだ真っ暗で窓からは何も見えない。 鹿児島に着くころには夜が明けているだろうから、景色も見れるだろう。


(愛、私、ちょっと不安なんだ。)


(どうしたの?急に。)


(だって、お祖母ちゃんの事、調べにいくのはいいのだけど、知らなくてもいいようなことも分かりそうな気がして・・・)


(でも、ここまで来ちゃったんだから、もうしょうがないよ。)


何が不安なのかは分からないが、もう後には引けない。 今更、帰るわけにはいかないのだ。



午前6時を過ぎ、空も少しづつ青くなってきた。これから日も上り、初日の出が見れる時間にも近づいてきた。



(わぁ、だんだんと空が青く明るくなってきてるよ。)


機内から見る明け方の空の景色は、もう格別で何とも言えん。


(乗客の皆様、あともう少しで鹿児島に到着します。機内から見える初日の出もお楽しみくださいませ・・・)


機内アナウンスが流れるとシートベルトも外して窓際に人が寄ってきた。 そして、その時・・・・



太陽が少しずつ光を出しながら顔を出してきた。オレンジ色に輝き、一年の始まりに相応しい景色を映し出してくれる・・・


この景色を見て、渡米した日を思い出した。あの日も夕方、オレンジ色の太陽が目も明けられないほど輝いていた。 私の留学生活もあと半年もない。エリカと過ごす時間も限られている。だからこそ無駄にしたくないし、後悔もしたくない。


初日の出を迎えた元旦の朝。 鹿児島空港に到着した。 



























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