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Give and Take ~for girls 留学編  作者: 月岡 愛
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ピカドン

(あぁ、ありがとう。)


おばあちゃんと私にエリカが紅茶を入れてきてくれた。


(あれ?)


私には(カフェモカ)だ。それもクリームたっぷりで・・・


(愛はクリームたっぷりのカフェモカが好きでしょ?)


エリカは真っ黒なブラックコーヒー。何か男っぽい。



(その手紙を渡されたとき、もう私はどうにもならなかった。届けてくれた後輩の子もただ泣くだけでね・・・ )



(その後はどうしたんですか?)


(日本も戦争が激化して沖縄へ、アメリカ軍がどんどん上陸してきたんだ。私たち家族も逃げなきゃいけないっていうので、長崎に逃げたんだ。 そして、あの【ピカドン】(原子力爆弾)が広島と長崎に落ちたんだ。)



アメリカ軍は初め、九州・小倉に落とす予定だったが、天候が悪く、広島・長崎へと急遽変更された。



(そのとき、ちょうどお昼どきでね、天気も良く空も青々としていたんだ。戦時中だというの妙に、長閑な雰囲気だったね・・・表に出ている人もいるし、お昼の支度などもしていたし、長崎はアメリカ軍が来ないんじゃないか?なんて思っていたよ。)


(そこで何があったんですか?)



(疎開先の家族と、今日は天気がいいね・・なんて空を見ていたんだ。そしたら、キラキラしたものが空から落ちてくるんだよ。 (何かキレイなものが空から落ちてくるよ・・・)なんて話していたら、一気に大きな地震みたいな振動と爆風で真っ暗になったんだ。 何が起こったのか? ふと気が付くと木材と瓦の下敷きになっていて、一緒に空を眺めていた家族の人たちはだれもいないんだ。 下敷きになっている私も早く出なきゃと思って、力を入れたんだけど、足に瓦の破片と木材が突き刺さって動けなんだ。


このまま、死んじゃうのかな・・・なんて時間だけが過ぎていった。 だけど何とか踏ん張って起き上ったんだ。その時、見た周りの光景は【地獄絵図】だよ。 もう夜みたいに暗くて、家や建物なんて何にもない。 人が歩いているのが見えたから助けてもらおうとして近づいて見たら、もう体が動かなくなってしまったよ。)



(何で体が?その、歩いている人は?)



(皮膚が・・・ドロドロに溶けて、ウーウー言いながら歩いているんだ。それも一人や二人じゃないんだ。 私は必至になって逃げた。動けない足を引きずりながらね。 辺りは爆風の凄さでものすごい熱さなんだ。私も素足だろう? もう火傷のように腫れ上がって川があったからそこで冷やそうと見たら、ドロドロに溶けた人がたくさん浮いているんだよ。もう、どうにもならなかった。)



【ピカドン】原子力爆弾の影響で、それを浴びた人たちは体中の皮膚が爛れ、ドロッとした液体のように腕から足から顔からと皮膚が伸びたゴムのようになりながらうめき声をあげ歩いていたという。



(でも、おばあちゃんはどうして助かったのですか?)



(その時はもう、このまま死ぬんだと思っていた。 あまりにもショックで気を失っていたのか、私を抱きかかえる人がいたんだ。それで目が覚めてさ。 すぐに手当を受け助かったんだ。 助けてくれたのはアメリカ軍の兵士だった。あとから分かったんだけど2日間、その場で倒れていたらしい。)


(それで助かったんですね・・・それからというのは・・・)


(長崎だけでなく、広島にも【ピカドン】が落ちて日本はかなりのダメージを負ったんだよ。そして8月15日に【玉音放送】(天皇陛下の肉声)が流れたんだ。 これで日本はアメリカとの戦争に終止符を打ったんだ。)



 【玉音放送】1945年(昭和20年)8月15日正午に(現在のNHKラジオ第1放送)から放送された。



(アメリカ兵の人の助けもあり、私は少しづつ回復をしていって歩けるようにもなったんだ。日本はアメリカ兵がどんどん入って来てね。少し怖かったけど、キャラメルやビスケット、それにチョコレートなど子供たちにはとても優しかった。 アメリカは医薬品なども豊富で怪我や病気になってる人たちにも手厚く介助してくれたよ。 こんな優しい人たちが何でこんな戦争なんかに・・と思ったけど、しょうがないわよね。)


エリカも黙って聞いている・・・



(さ、もうこの辺で。私も年だから早く寝ないとね。笑)



(私たちもおやすみといきますかぁ?笑)


(え? 大学に帰るんじゃないの?)


(こんな夜に、女2人で外にいたら、レイプされるよ。)


(ヒィーー)



今夜はエリカの部屋で過ごすことに決めた。




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