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Give and Take ~for girls 留学編  作者: 月岡 愛
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別れの盃

(エリカ、愛と私に紅茶、入れて。)




お祖母ちゃんは語り始めた・・・・



お祖母ちゃんの日本名は(Yasuko 泰子) 鹿児島県出身。 戦時中、15歳だったそうだ。となると現在は90歳近い。 お祖母ちゃんのお兄さんは、中学生になるころには(予科練)というクラスに入り、航空生となった。太平洋戦争がもっとも激化した、1944年10月、神風特別攻撃隊として出撃した。 【レイテ沖海戦】というものらしい。


(私はまだ14,5歳で、学校なんてロクに行けなかった。この時はみんな戦争に行く人のために物資の提供や武器を作るための作業なんかで毎日、働かせられたんだ。食べ物もない時代でさ・・・・)


私の祖母も同じようなことを言っていた記憶がある。でも、戦争の話などまずしたことないし当時の出来事は中学や高校の授業で少し聞いたほどだ。


(東京で大空襲があったろう? あの辺りから日本は窮地に追い込まれていったんだ。日本本土をアメリカ軍が軍艦やB-29で攻めてきてね・・・ 関東だけでなく、広島、長崎には原爆が落とされたんだ。知ってるだろう? そんな中、兄にも召集令状が来て・・・)



話しを聞いてて思うが、まだ、16.7歳の、それも今で言えば高校入学して間もない子供だ。そんな【子供】にゼロ戦なんて操縦できるものなのか?



(もう、操縦できようが出来まいが、そんなことはどうでもよくて、ただ飛べばいいというものだったんだ。日本がどれだけ切迫していたか・・それだけ愚かなことをしたということだよ。)






《 いいか?お前ら。この機体には片道分の燃料しかない。その意味が分かるか? お前らは我が大日本帝国、お国のために戦うんだ。 決して生きて帰るな!! お国のために死んで帰ってこい!! 》


《 はい!!! 》





(兄も令状が来たときには、手にとってしばらく見つめていたよ。気持ちの上では覚悟を決めてはいてもやはり思うものがあったんだろうね・・・)






《よし。これから飛び立つもの、前へ出ろ。》


神風特別攻撃隊として今から飛び立つ操縦士には(別れの盃)清酒を一口、与えられた。


(別れの盃)を口にすると操縦士たちはすぐにゼロ戦に搭乗し、エンジンを回した。 


ブルン!ブルン!!ブルブルルーーー!!!!  


勢いよくゼロ戦のプロペラが回り始める・・・・・



《よし!みんなで万歳三唱で見送るぞ!!!!》


《万歳!!万歳!!!万歳!!!大日本帝国、万歳!!!》


一機、二機とゼロ戦・・・神風特別攻撃隊が出撃していく・・・・



(兄が飛び立つ番になったとき、それを見送る後輩にこの手紙を渡したのよ。)


お祖母ちゃんがそれを私に手渡した。





《お前に頼みたいことがある。お願い出来るか?》


《はい。先輩の頼みごとなら。》


《これを妹の泰子に渡してくれ。頼んだぞ。》


差し出したのは一通の手紙。


《必ず、渡します。先輩・・・・先輩・・・・》


後輩も涙で言葉にならない・・・


《お前とも会えなくなるのか・・・寂しくなるな・・・・》


(別れの盃)を口にし、神風特別攻撃隊として離陸した。





(お兄さん・・・・) 


お祖母ちゃんは当時のことを思い出し涙声になった。




お兄さんの手紙を見させてもらった・・・・ 10代といえないほど、とてもきれいで美しい毛筆である。



「 清秋の候 この生まれ故郷にも秋の風が心地よく肌に触れ候。妹よ、小生は間もなくこの生まれ故郷でもある大地、鹿児島を後に旅立ち候。 17年という人生、長いのか短いのか・・・私的に言えば短いと思うのが自然の感情というもであり候。 残された母上、父上、それに姉上をよろしくお願いしたし候。何一つ親孝行らしきことなき小生も、最初で最後の親孝行を致し候。 もし、庭先に蛍の光が目につきましたら、それは間違いなく小生であり候。 必ず蛍の光となって戻ってまいり候、温かく迎えてください。 」



















 
















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