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Give and Take ~for girls 留学編  作者: 月岡 愛
22/55

埋葬

大学からの許可も得て、チーフの運転する車で埋葬される墓地へと向かった。ジョーイの祖母が埋葬される墓地は、ブルックリンにある【グリーンウッド】という墓地で、マンハッタンから車で30分ほどで着く。


(いやぁ、いい天気だね。雲一つないよ。こんな青々とした空なんて久しぶりに見たような感じだ。)


(チーフも朝、早いし帰りも夜になってしまうから、朝の景色って見れないかもしれないよね。)


(大学から近いとこにあるんですね。)


(おばあちゃんが最後に入所してた施設もそこから近いんだよ。元にいた施設よりかは、かえってこっちのほうが、良かったかもしれないな。)


話しているうちに、【グリーン・ウッド】に到着した。 私は驚いた。墓地というよりまるでテーマパーク、ディズニーランドを思わせるような入り口、中に入ると想像もつかないほど広大な敷地、所々にお墓がある。マリア像みたいな彫刻物、十字架を象った墓石、それにこれもお墓?と聞いてしまうような一軒家のような建物、いろいろとある。 ほとんど多いのが芝生に墓石が埋め込まれているもので、それがズラーっと辺り一面に広がっている。



(アメリカの墓地って、すごく広いんですね。それにディズニーランドみたいで驚きました。)


(ここはニューヨークでも特に有名な墓地で、著名人なども眠っているんだ。夏になるとちょっとした観光地にもなっているし、結構、人は来るかな。)


(天使のような造形物も、たくさんありますね。芸術作品みたい。あれ?あの国旗がたくさんあるのは何ですか?)


(そこの敷地は、戦死した兵士の墓だよ。9.11の後、イラク戦争にまでなってしまったろ?それ以前にも、湾岸戦争やベトナム戦争などあったけど、イラク戦争後にずいぶん増えたな・・・・それだけアメリカ兵も戦死しているってことだな。)


戦死した兵士たちが眠る墓地・・・しかしどこまで続いているのだろう。アメリカの国旗が墓石の横にきれいに並んでいる。


(日本では、お墓参りって、お盆とかお彼岸なんていうのがあるんですけど、アメリカにもそういうのあるんですか?)


(アメリカ人は、お墓参りっていうより、その時の気分っていうのかな? 日本みたいに決まったときに必ずいくっていうのとは、ちょっと違うかもしれないかな。日本みたいに、一年のうち、この時とこの時には、こういう事があるっていう決まりみたいなものが、アメリカにはないんだよ。だから本当に気が向いたときにだけって感じだな。言い方悪くしてしまうが。)



こういうことも日本とアメリカの習慣の違いなのだろう。でも、この墓地、いったいどこまであるんだろう・・・本当に広い。



(さぁ、着いたぞ。 ここにジョーイもいるんだ。)


(え?でも、お墓らしきものが、ない・・・?)


(ここの敷地一帯が、(無縁仏)と言われる、墓地を持てない人たちが眠ってる場所なんだ。)


広い芝生だけの敷地で、何か文字が刻んである墓石のようなものが一つあるだけ。土の中にそのまま入れて終わりってことなのか・・・


(チーフ、ジョーイはどこにいるんですか?)


エリカが尋ねると、


(もう少し、上のほうだよ。そこに神父と刑事さんも来てるはずだよ。)




まだ、先なの??? どこまで続いているんだ?【グリーン・ウッド】



車から降り、埋葬されるとこまで歩いていく・・・



ようやく着いて下を見ると、チーフの車が小さく見えている。



(やぁ、元気だったかい? あのときはありがとう。)


大学から事件現場となった病院まで一緒に行った刑事さんだった。


(ジョーイの件は、本当に残念だったけど、でもこうして祖母と一緒にって良かったかもしれないな。)


偶然にも、ジョーイの隣に空きがあり、そこに祖母も埋葬されることになっていた。刑事さんと話している中、神父さんが来て葬儀が始まった。


お世辞にも立派といえない、簡易的なお棺の上に黒い大きな布がかぶせてあるだけ。その上に、小さな花束と十字架が供えられている。 神父さんも、まだ見習いという感じでとても若い。でも、しっかりと聖書を読み上げ、アメリカ式のお葬式という形になっている。



(最後のお別れです。何か言葉をかけてください・・・)


布を取り、お棺の蓋をあけ、ジョーイの祖母の最後の姿・・・とても安らかに眠っている。若いころはどんな女性だったのだろうか。結婚もし子供も出来て、少なくとも(家庭)というのも経験したはずだ。その家族でもある子供たちは、今、どこで何をし、生きているのだろうか? 母親が亡くなったことは知っているのだろうか?



 孫にあたるジョーイとともに生活をし最期は介護状態にまでなっていた祖母は、年を重ね、いろいろな苦労もあったことだろう。 


そんな祖母を自分の人生を終えるまでちゃんと見守った、ジョーイに私は敬意を払いたい。 





花束を祖母の手に添え、十字架を神父さんが持ち、お棺が閉められた。




車に戻る途中、神父さんに一つ、聞いてみた。


(人ってもし、死んでも、死後の世界・・・あの世でも家族や兄弟とかにまた再会できるんですか?)


(人間、死んでも姿が見えないだけで、その人の側にいるものなんだ。そう信じることが故人への想いというものだよ。そして故人もその人に対して何かアクションを起こすんだ。たとえば、無くしたものが意外な場所から出てきたり、何か思い悩んだときなど解決策が浮かんだりとかね。 故人に対する想いを忘れなければ、そっと手を差し伸べてくれる・・・それが現世と死後の世界とのつながりだよ。)



ただ見習いで若いだけかと思ってはいたが、ずいぶんとしっかりとした考え方をもっている神父さんだ。言われてみれば、私も大学受験のとき、渡米するときに両親の幻覚を見ている。 あちら側の世界・・死後の世界は存在するんだ。 



ジョーイも祖母と(あちら側の世界)できっと再会しているだろう。そしてその世界では、チーズケーキを作り、一緒に紅茶を口にしながら楽しく過ごしているはずだ。



(チーフ、エリカ、アイ、これで私ともお別れだ。また機会があったら会おう。まぁ、犯罪の現場だけでは会いたくはないがな。笑)


(刑事さん、葬儀にまで来てくれて本当にすいません。エリカもアイも安心したと思います。)


(またいつか会える日を楽しみにしています。)


私もエリカも刑事さんと抱き合った。


そして、


(神父さん、ありがとうございました。神父さんの話を聞けて私もなんだか気持ちが楽になりました。)



(人は生きていると様々な困難や苦境に出会う。でも、そういうときも背を向けず向き合っていくことが(生きていく)ということだ。そこをキチンと理解できることが故人への想いということにもなるよ。)


神父さんとも抱き合い、お別れとなった。



今週末は、エリカの家で過ごすことになる。葬儀も終え、気持ちも少し楽になり週末が楽しみになってきた。




















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