衣装
ここ数年、日本でも(ハロウィン)の時期になると、いろいろなイベントがありスーパーやデパートなどでも(オレンジ色)の品物が多くなる。
そんなアメリカでもついに(ハロウィン)当日が来てしまった。 大学でもこの日だけは休校になり(ハロウィン・パーティー)なるものが開催されることとなった。 待ってました!と言わんばかりのエリカも超ノリノリで衣装の準備に取りかかっている。
(これ。いいでしょう? 私、こういうの大好きなんだ。)
と、エリカが着こんでいるのは、黒いマントと、どデカいおもちゃのナイフ。それに白い面長の奇妙なマスク。いったい、何に変身しようとしているのか・・・
(はい、愛はこれよ。)
そう言われて渡されたのは、白いワンピース。それに金髪のウィッグ。 何の衣装???
(さ、早く着て。)
エリカに言われるまま、着てみたが、なんか違和感がある。それもそのはず。私は日本でもワンピース・・・スカートとという着こなしは好きではないのだ。学生服ならまだしも、部屋着はジーンズなどパンツが私には合っている。 ワンピースなんて子供ころに着た記憶しかない。
(はい、じゃ、次はこれよ。)
今度は金髪のウィッグだ。それもウェーブが思いっきりついている・・・こんなカツラ、どこから持って来たんだよ。
(いいわねぇ・・メイクもするからね。)
ファンデーションやら口紅やら、私をこんなにもいじくりまわして、いったい、何に変身したんだ????
(あ、ちょっと口元にホクロを書くから・・・)
ホクロ? ほんとに私は何になったのでしょう???
(よしよし。笑。いい女になったわよ。どう?愛)
自分の姿を鏡で見て、驚いたなんてもんじゃない。何???これ??
白いワンピースだけならまだいいが、金髪の派手なカツラ、それに私の顔・・・ 目がトロ~んとした感じになり、唇は明太子のように真っ赤で厚い。口の横にある異様なホクロ。まるで化け物。 私は何になった???
(マリリン・モンローよ。昔のセクシー女優。ウフフ。)
マリリン?もんろー?・・・昔の女優だか何だか知らんが何それ?
(エリカのその格好は、なんていうの?)
(これは、(スクリーム)。ホラー映画の主人公よ。こうやってグサッグサッとナイフで次々と殺していくの。ついこの前まで、リメイクしてTVドラマにもなってたんだ。もう興奮して最高よ!)
何が(最高よ!)だ。 私のこの格好、どうにかしてくれ。
(こういうときこそ、セクシーに行かなきゃ。さ、ちょっとお披露目といこうか。)
そういうと私の手をひっぱり、部屋を出た。 キャンパスに出ると、他の人たちもいろいろな衣装を着こんでハロウィン一色になっている。 生徒同士もすれ違うたびに、( Happy Halloween!!)と言いながらハイタッチをしてきて、デジカメやスマホに画像を収めたり、一緒に撮ったりと日本でもおなじみの景色だ。
(エリカ、やっぱ恥ずかしいよ。こんなの。)
(恥ずかしくない! みんなだっていろんな格好してるでしょ?)
私の言葉も空しく、エリカもいろいろポーズを決めながら周りから画像をビシバシと撮られまくっている。
(可愛いわね。日本の人? 一緒に撮らない?)
(え? は、はい。どうぞ。)
声をかけられ、Vサインをしながらパチリ。
もうすでにこの段階で私は疲れている。 もう、食べるだけ食べてあとはサッサと寝たい。 早く終われ!(ハロウィン)
キャンパスも次第に盛り上がりを見せてきて、パーティまであと少しの時間となった。それを待ちきれず、もうすでにビール、ワインなど飲み始めている生徒もいた。
(パーティまでまだ時間があるから、お菓子、もらいに行こう。)
(もらいに行くって・・どこに?)
(近所のおうちよ。Trick or Treat?って言ってもらうの。)
(Trick or Treat? トリック・オア・ストリート???)
【 Trick or Treat? お菓子をくれなきゃイタズラするぞ?って意味。】
まず、一件目。
エリカがベルを鳴らす・・・・すると住人が出てきた・・・
(Trick or Treat?)
( Happy Halloween!!)
(はい、これね。あら、マリリン? 素敵ね。似合ってるわよ。)
この家の人に、お菓子をいただき私のマリリン・モンローを褒めてくれた。
(いえ・・笑。 ちょっと恥ずかしんですけど。)
と、こんな感じで一件、一件、エリカと家を訪ね歩いていく。
(結構、くれるんだね。)
(まだまだ、こんなもんじゃないわよ。笑)
もらったお菓子を見ると、小さいけど、キャンディーやチョコレート、ビスケットなど子供が喜ぶものだ。アメリカ製のお菓子だけど(あたりまえだが・・)日本のお菓子に比べると甘くてカロリーも髙そう。
(大学に戻って、パーティが終わったらまた、行こう。)
(へ? まだもらうの?)
(当たり前じゃない。笑。 さ、早く大学にいこう。)
スクリームのエリカと、マリリン・モンローの私はハロウィンパーティーの会場へと向かった。




