〜転生〜1
眠いすごく眠い…。
眠気を押し殺し目を開けて見ると、沢山の人が俺の周りを囲うようにして立っている。泣いたり、騒いだり、顔を覆ったりしていて様々な感情が狭い一室を覆っている。
(何故みんな泣いているのか・・・?)
自分に心当たりがないか、脳内を捜索して見る。
最後に記憶に残っているのは、バイクで道路を走っていた時だな。あの後から記憶があやふやだ。おそらく信号無視したトラックやら車にやらにぶつかったんだろう。
小中高大と、部活で剣道をして、人生の大半を剣の道に捧げ、ごく普通の家庭を築いたので、ごく普通に老衰で死ぬかと思ったんだけどなと、内心で苦笑する。
人生何があるかわかったもんじゃないな…。
まぁ轢かれたのが、家族じゃなくて自分で良かったな〜などと考えていると、頭を使ったからか、又、物凄い眠気が襲って来る。
静かな部屋に自分の心臓の鼓動が、子守唄のように聞こえて来る。
だんだんと音が聞こえなくなるにつれ、眠気が激しくなり、闇の中に引きずり込まれる。
完全に音が聞こえなくなる頃には、まるで夢を見るような心地よい感覚の中、闇の中を漂っていた・・・。
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目をスポットライトで当てられたような眩しさを感じ、驚きびっくりして目が覚めた。
「なんだ!?・・・は?・・・え?」
とりあえず現状を確認するために、何故か以前より軽い腰を上げ立ち上がった。
その瞬間・・・
「うっっっわ!!何だこれは!!!!下が、下がない?!!」
立ち上がり下を見た俺の目に入ったのは、完全なる闇であった。まるで皿の中に墨汁を入れたような漆黒の闇。
前を見ても、横を見ても、後ろを見ても、どこまで続いているのかすらわからない闇、足元で光っている白い光以外は、全てが、黒で覆い尽くされている・・・・・。
「まるで無重力の宇宙空間みたいだな、まぁ星も惑星も、何もないけど・・・」
「というかここはどこだ?死んだら普通天国か地獄に行くもんじゃないのか?」
日本では様々な説があるが、一般的には、人は死ぬと、輪廻に帰り、前世の行いの結果により、「天国」、又は「地獄」で次の転生を待つまで過ごすと考えられている。
俺はそこらへんの事は疎くあまり詳しくは知らないが、死んだらどっちに行くんだろうなー。と考えた事は多々あった。
だが俺が目を覚ましたところは、闇と光で覆い尽くされている無の空間。恐ろしげな閻魔大王様や、可愛らしく美しい天使達、それどころか
物一品見当たらない。
前世の知識をフルに使い現状を考えてみたが全くわからない・・・。しかし驚きはそれだけではなかった・・・。
さっきから体が妙に軽いのだ、不思議に思い、自分の手や体を見渡すと、前世で狸の腹のように膨らんでたお腹や、運動不足により全身についていた余分な脂肪が全てが削ぎ落ち、筋肉の引き締まった体に変わっていた。
肉体年齢はおそらく前世の全盛期の頃の肉体だろう。
「・・・・は?」
絶句する俺・・・
「なにがどうなってるんだ一体、もうわけがわからないぞ・・・」
1人しかいない闇の空間で考え込んでいると、
足元の光がだんだんと狭くなり始め、完全に光が消え、真っ暗な闇になったと思うと、
足元からバレーボールサイズの球体の光の玉が1つ飛び出てきて、着いてこいという風に、漂い始めた。
他にする事もなく光が無くなるのに恐怖を覚えた俺は、光に着いて行った・・・。
しばらく、光に着いて歩いていると目の前に、何やら変な建物が見えてきた。
あたりは相変わらず闇で覆われているが、建物の周りには、白い粒子が漂い何となくだが見ることができた。
近くにつれ建物の全容が明らかになってくる。
建物は古代の神殿の様で、白い大理石の柱が何本もあり、その上に又も白い大理石の屋根があり、前世でいうパルテノン神殿を思い出させるかの様な建物であった。
白い光の玉はそのまま入り口らしき所に行くと、白い玉は弾け、辺りに漂っている様な白い粒子となって消えていった。
白い玉が弾けた入り口らしき所に歩いていった俺は、入り口の扉を見て絶句した。
「いや・・・これは無理だろ・・・。扉というか門だろこれは・・・。」
門は重そうな鉄で出来ていて高さ5メートル横が3メートルぐらいある、明らかに1人で開ける様なものではなかった。
「これ開けるなら人何人必要なんだよ。」
などと愚痴を零しつつ、とりあえず試すだけ試して見るかと、門の前に立ち開けるために手を伸ばした。
すると門には触れた瞬間いかにも重そうな音を立てながら、ゆっくりと開いていった。
中を覗き込むと
再び漆黒の闇の世界が広がっていた…
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