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恋姫†物語  作者:
「蜂蜜†物語」
6/11

その1《呉》 「雪蓮の天元突破」

恋姫外史に存在する性転換の蜂蜜。

この物語はその蜂蜜を使って一刀をとにかくTSさせてしまえ。

ただ、それだけのコンセプトから始まった物語である。

トンッ


大きくなったお腹を撫でていると手の平に感じる軽い衝撃を感じる。


トクン、トクン、トクン、トクン。


そして規則的に奏でる命の鼓動、命の証。

華陀が言うには後、ニ~三ヶ月で生まれるらしい。


じいちゃんが知ったらどんな顔をするかな?

きっと可愛い曾孫にデレデレの爺馬鹿になるに違いない。


…何でこんな事になったのかな?





あの日、仕事が終わった頃に雪蓮に呼び出された。

何やら面白い物を手に入れたから見に来てくれとの事だった。


そう、今思えば其処で気づくべきだったのだ、なぜ気付かなかったのだろう?

雪蓮の、「面白い物」というメッセージに……




            ―◇◆◇―



「何だよ雪蓮、面白そうな物って?」

「これよ、こ・れ」


雪蓮はポンポンと机の上に置いた壷を叩く。


「何だまた酒か?いい加減にしとかないとまた冥琳にどやされるぞ」

「ぶーぶー、違うわよ。これは蜂蜜よ蜂蜜。面白い効能があるらしくて手に入れるのに苦労したのよ」


キラリッ


ゾクウッ


そう語り掛けて来た雪蓮の瞳に宿っていた光に凍りつく様な悪寒が背筋を走った。

い、いかん…早く此処から逃げなければ…


(逃げなきゃ駄目だ、逃げなきゃ駄目だ、逃げなきゃ駄目だ、逃げなきゃ駄目だ)


頭の中で3番目の少年もそう呟いている。


「あっ!そう言えば今日中に片付けなきゃいけない懸案があったんだった。じゃっ、そう言う事で」

「ふ~ん、行っちゃうんだ。じゃあ代わりに亞莎を呼んで来てく・れ・る?」


ピタリと足が止まる。

つまりはここで俺が逃げると代わりに亞莎が生贄になるって事か。


「でも、やっぱりせっかく雪蓮が呼んでくれたのにここで帰ったら失礼だよね」

「うん!一刀ならそう言ってくれると信じていたわ♪」

「(く、くそう)それで、どんな効能があるんだ?」

「まずは味見をしてみて。大丈夫、ちゃんと毒見はすませてるから。甘くて美味しかったわよ」

「じゃ、じゃあちょっとだけ」


スプーンで掬い取り、ペロリと舐めてみると確かにこいつは美味い。


「うん、確かに美味いな」

「でしょでしょ。さっ、もっと舐めてみて」


蜂蜜を舐め続けていると何だか体が火照りだし、痺れて来た。


「ふふふ、美味しい?うふフフ腐腐」

「か、体が熱い。な、何なんだ、しぇ…雪蓮……これは一体?」

「どうやら始まった様ね。心配しなくても大丈夫よ。すぐに収まるから、腐腐腐腐腐腐腐」

       

雪蓮の怪しげな嗤い声を聞いていると漸く体の疼きは収まって来た。


「な、何とか落ち着いた。それより何なんだよ雪蓮、あの蜂蜜は!」

「いや~ん、こわ~い、怒っちゃ嫌よ一刀ちゃん!」

「怒るに決まってるだろ。それに何だよちゃんなんて、まるで女みたいな呼び方…ん?ん、ん、あ~」


な、何だこの声!?

まるで女みたいなアニメ声、俺の声なのか?それに何だか服がぶかぶかみたいだし。

そして部屋に備え付けられている姿見で自分の体を見て見ると……

自分で言うのも何だが、美少女が其処に居た。


慌てふためいて自分の体を触って見ると……、胸がある?アレが無い?何故?何で?何がどうなってこうなった?


「いや~、でもまさか此処まで可愛くなっちゃうなんて驚きだわ」

「ど、どう言う事?」

「だから最初に面白い効能があるって言ったでしょ。ほら、わたしがあの蜂蜜舐めたら生えて来ちゃったのよ」


雪蓮はそう言いながら服の裾を捲り上げる、其処にあったのは……


俺のアレより大きなソレだった。



「だから、一刀だったらどうなるかな~と思って、てへっ」

「てへっじゃな~~い!」

「それにしても、……一刀、本当に可愛いわね…ペロリッ」

「な、何だよ?その舌舐めずりは………」


雪蓮はその瞳に怪しげな光を宿したまま俺に近づいて来る。

俺は当然一歩下がるが雪蓮は二歩近づいて来る。


二歩・三歩


四歩・五歩


そして壁に行き着き逃げ場は無くなった。


「ねえ一刀、あたし疼いて来ちゃったの。いいわよね?」

「ダメダメダメダメダメダメダメダメーーーーー!!」

「何よ、あたし達の事、さんざん食べたくせに、ケチッ」

「や、やめてくれ、お願いだから……」


ウルウルウル、ジワァ、


雪蓮は段々と息が荒くなって行き、怯える俺の瞳には涙が滲みでて来て、そして……


ポロリ


一筋の涙となって零れ落ちた時、聞きたくなかった何かが切れた音が部屋に響いた。


……プッチィーーーーン!!


「もう駄目ーーーっ!天元突破ぁーーーーーっ!あたしの○○○が一刀を突くぅーーーーーーっ!」

「や、やめてぇ!雪蓮ーーーーーーっ!」

「ガルルルルルルルルルルッ!」

「い、いやあぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!」


(もうダメだ、おしまいだぁ……)


頭の中で何処かの王子様がそう嘆いていた。




            ―◇◆◇―


パキンッ


その頃、浅草の実家で一刀の茶碗が軽い音を立てて割れたのに気付く者は誰も居なかった。



            ―◇◆◇―



チュンチュン、チュンチュン




「れ、蓮華様。落ち着いて下さい」

「これが落ち着いていられる訳が無いでしょ!」


翌朝、いきり立つ蓮華は何とか宥め様とする思春を連れながら廊下を歩いている。

向かう先は雪蓮の部屋だ。


「まったく、お姉様ったら!」

「とにかくお待ち下さい、蓮華様」

「何を落ち着いているのよ思春、昨夜は私達の番だったのよ!貴女だってあんなに楽しみにしていたじゃない」

「そ、それは…そにょぉ…」

「一刀が忘れる訳ないし、きっとお姉様が無理やり自分の部屋に連れ込んだのよ!」


雪蓮の部屋に着いた蓮華は扉を蹴破る勢いで殴り込む。


「一刀は何処ですか!隠しても無駄ですよ、お姉さ…ま?」


其処には小蓮や冥琳達がそろっており、雪蓮は頭に大きなコブを作って冥琳の前に正座させられていた。


「どうしたの、皆そろって?」

「あっ、お姉ちゃん。一刀が……」

「一刀?一刀がどうしたの?」


小蓮が寄り添っていた寝台の上には誰かが毛布に包まって寝ており、すすり泣く声と共に震えており、何事かと毛布を捲って見ると其処には可愛い女の子が枕に顔を埋めて泣いていた。


「えっぐ、えっぐ、えっぐ。ふええぇ~~~ん」

「誰よ、この娘?」

「えっとね、一刀…なんだって」

「一刀ぉっ!?」


蓮華がその答えに絶句していると冥琳が額に指を当て、溜息を付きながら説明をしていく。



「なるほど。それで北郷がこんなに落ち込んでいるという事ですか」

「えへへへへへ」

「お姉様、貴女という人は…」

「お姉様ずるーーい!何でシャオも呼んでくれなかったの?」

「シャオッ!そういう問題じゃない!」

「ぶーぶー」

「しかし、雪蓮様は無事に元に戻れたのに何で一刀様は…」

「考えられる原因は一つしかありませんね~」

「…ま、まさかっ!?」

「はい~。一刀さんの体の中にはすでに命が宿っていて、そして男の体にはその命を育てる器官が無い為に元の姿には戻れないという事ですね~。さっすが雪蓮様、一発必中!」


その穏のあまりにも的を得た答えに雪蓮以外は全員絶句していた。


「北郷……」

「不憫な…」


そして、その現実に皆は一刀にかける言葉が無かった。


「ねえ冥琳。あたしの子供にはどんな真名が似合うと思う?」

「しぇ~れ~ん~」

「ご、ごめんなさい。ね、ねえ一刀」

「……何………?」

「元気な赤ちゃん産んでね♪」

「しぇれーーーーーーんーーーーっ!」

「……うう、うわあああーーーーーーーんっ!も、もう、もうおうちにかえるぅーーーーーっ!」





            ―◇◆◇―




それから時は流れ、新たな命は無事に生れ落ちた。


「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」

「うむ、よく頑張ったな一刀。元気な女の子じゃぞ」


大きな声で産声を上げる赤ん坊を取り上げた祭は無事出産を終えた一刀にそう伝えてやる。


「赤ちゃん…私の赤ちゃん」

「さあ、抱いてやれ」


祭から赤ん坊を受け取った一刀は愛おしむ様に抱き締め、笑顔を向ける。

まさにそれは誰から見ても一人の母親である。


「おお、めんこいな。一刀よ、ワシにも抱かせてくれい」


そう言い、一刀から赤ん坊を受け取ったのは北郷一心、一刀の祖父である。

ちなみに、どうやってこの外史にやって来たのかは貂蝉や卑弥呼ですら解らずじまいの永遠の謎である。


「こうやって曾孫を抱けるとは、ワシは幸せ者じゃ」


どうやらそれが目的だったらしい、爺馬鹿も此処まで来れば最強だ。




ともあれ天下泰平、世は全て事も無し。

今日も呉の国は日本晴れ。




(`・ω・)<ちゃんちゃん!



「……ちゃんちゃんですむと思っているのか?」


「げえーーーっ!一刀ぉーーーーっ!?」


「お、俺じゃない。脳に降りて来た電波が悪いんだ」


「うんうん、そうだな。それはそれとして」


「な、なんでせう?」


「とりあえず向うの暗い隅っこに逝こうか?」


「字が間違っていませんか?」


「ああ、ほんとだ、じゃあ修正して…」


「ほっ」


「向うの暗い隅っこで逝こうか?」


「そっちかあぁぁぁぁぁっ!」


「ルルルルルールールールゥルー」


「その曲はいやぁーーーーーっ!」


             




                                 

「じゃあ頼んだぞ、二人共。たっぷり可愛がってやってクレ」


「うむ、任された」


「ご主人様の頼みだからね。ぬっふうううん」


「ぎゃあああああああああっ!」


お死まい

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