月を呼ぶ女
夕暮れ、国時道を走る茶色のクラシックカー、後ろの席に座る可愛らしいドレスを着た少女がいた。あゆみちゃんという名前だ。
「古い時計の国時道だね」
道の上空に歪んだクラシックな時計がゆらゆら動いていた。
「今の時代はサイバーロードが流行っているらしいがなかなかついていけないね」
と運転手が言う。
「お姉さま、学校についたかしら」
「イマドキ木造なんて、えらいとな大学やなあ」
「急に世界が変わってこわい」
「そうだな」
「あら、ペーパープログラムが落ちてる」
大学にいる姉のみゆきは廊下にいた。
ペーパープログラムを手に取り、動画を再生すると長髪黒髪の女性が映った。
その紙の中の女は言った。
「この星は微塵にも命は無いのです、私の力によってね、私の力によってね、私はサヤカ・ロミアース、月はもうそろそろこの星に近づいてくる、私の父はゼア・ロミアース、そう、我、宇宙ステーション、火星から、いい人だけ生き残るのよ。」
「信じられない!宇宙ステーションの人なんて!」
「何なのこのペーパープログラム」
このペーパープログラムは廊下のあちこちに散らばっており、学生らは動画を再生した。
ガチャ。と何度も音がする。
何か闇でも抱えているようだ。
音楽が流れる。
ピアノとざらざらした電子音が響いた。
家の窓から大きな月が見えた。
サヤカ、何をしてくれるんだ。
みゆきはペーパープログラムに記載されていた連絡先からサヤカと会う約束をした。
「はい、サヤカです、こんにちはみゆきさん」
「ああ、どうも」
「私はこの星を潰しに来たの、地球の住人はバカだと思ってる、私の能力をお見せしましょうか」
「じゃあ、ガードレールを破壊してください」
サヤカの後ろにあるガードレールを根本から強引に引き抜いた。
「それで私、何の目的で呼んだの?」
「世界を変えるほど素晴らしい能力を持っている、お目にしたいと思いました。」
「そうか、不必要に呼んでもらったら困る」
サヤカはガードレールを宙に浮かせ、みゆきの頭に落とした。強く頭を打ち息を絶った。
公園から妹のあゆみちゃんが姉のいる所にやってきた。
「お姉ちゃん、何で何で」
妹は姉の肩をたたいた。
「殺したかったみたいだね、今、月を動かしてるんだけどね、いつこの星にぶつかるのか」
と罪悪感もなく無表情で平坦に話した。
「ん?きたきたー、バベジさんのおかげだね。」
「何でお姉ちゃんを殺したの?」
「不必要だから」
「感じ悪い」
「ついてきて」
「いや」
サヤカはあゆみの後についていった。
「ついて来ないで」
「うちの宇宙ステーションにおいでよ」
「ヤバいね、これは」
「もうそろそろ、大気圏つきやぶるね」
「あゆみー、サヤカだけどこない?」
とサヤカはあゆみの家へやってきた。
「宇宙ステーションね、いいよ」
火星にある宇宙ステーションの病院にサヤカは入った。
「病院?」
「あゆみは本でも読んで待ってて」
「ミュータント病院?」
”あなたの能力でお困りのあなたへ、原因は脳の異質なんです”
とパンフレットが置かれていた。
”ミュータントのパワーが社会問題に、月まで動かす?精神異常とその能力”
と新聞に書かれていた。
「あくまでも宇宙ステーション自体は平和にしたいんだ、ミュータントは多分その反発かもしれないな」
とサヤカは呟いた。
「地球に呼んじゃうんだよ、夜になると、お月さん」
”たった今、地球に月が落ちた”
サヤカとあゆみは火星の宇宙ステーションで暮らす事になった。




