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超能力少女の異世界冒険譚  作者: 多田 笑
1/1

異世界に召喚される

少しでも笑っていただけたら、嬉しいです。

 現代・日本。


「あれ? いないわね。てっきり庭にいるかと思ったのに……」


 庭を覗くと──

 すべてのアリの巣穴に、棒が突き刺さっていた。


「……」


 母親は小さくため息をつく。


「どこにいったのかしら……? また能力を使ってないといいけど……」


 そう呟き、母親がウッドデッキを見ると、一枚の紙が置かれていた。


『ごましお』


 ヒュー……


 冷たい風が吹き抜ける。


「あなたと同じで、正義感の強い子だから……。でも、大丈夫よね」


 母親は空を見上げた。


「何かあっても、守ってくれる──」



 異世界。


「やった……やったわ!」


 いかにも魔女といった風貌の少女が、両手を掲げて歓声を上げた。


「ついに……異世界に通じる扉を開くことができたのよ!」


 興奮した様子で魔法陣を見下ろす。


「さあ……10年前、この世界を救った“救いの女神”を召喚するわ!」


 少女は深く息を吸い、呪文の詠唱を始めた。


 すると──


 魔法陣の中央に、ゆらりと人影が現れる。


 現れたのは──


 少女だった。


「……え?」


 魔女の少女は目を瞬かせる。


「あなた……誰?」


 沈黙。



 ハイ!

 ちょっとストーップ。ストーップ!


 今の場面を確認しようか。


 魔女の少女?


 ……重複してない?


 少女と少女だと、わかりにくいし。


 もう、“甲”とか“乙”とかにしちゃう?


『現れたのは──


 甲だった。


「……え?」


 乙は目を瞬かせる。』


 いやいやいや、余計わからんわ!


 どうしよう……

 どうしよう……

 どうしよ平八郎の乱!!


 大根・乱♪

 ……大混乱だよ!!


 ――地の文が混乱している。


 ……って、「地の文が混乱している」って言ってるのは、地の文なの? 誰なの?


 ……って、「『地の文が混乱している』って言ってる」って言ってるのは、地の文なの? 誰なの?


 ……って、「『地の文が混乱しているって言ってる』って言ってる」って言ってるのは、地の文なの? 誰なの?


 ……


 ……もう、魔女と少女でいいよね。


 ハーイ、話を戻しまーす。

(↑結局、誰なんだよ!?)



「あなた……誰?」


「そういうあなたこそ誰よ! ここどこ!?」


 召喚された少女が声を上げた。


 再び沈黙。


「……フゥー」


 魔女はため息をつく。


「どうやら失敗のようね……。何も見なかったことにしましょう」


 完全に無視した。


「えぇ!? 勝手に呼び出しておいて……。ムキィー! 私、怒るんだからぁ!!」


 少女が叫んだ瞬間──


 部屋の中の物がガタガタと震え始める。

 机が浮き、椅子が浮き、本が宙に舞った。


「こ、これは……ま、魔法……!?」


 魔女が息をのむ。


 そのとき──


 てくてくてく、と小さな人影が歩いてきた。


「……!」


 魔女の目が見開かれる。


 そして、震える声で言った。


「ち、ちっちゃいオジさん!!」


「……!」


 召喚された少女も驚く。


「な、なんで……なんで、あなたがオジさんのことを……」


「オマエ、コロス……」



「私の名前はリンディよ」


 魔女が言った。


「私は希歩のある。松下希歩よ」


 召喚された少女が答える。


「ノ、ノアル……」


「あー! あなたも私の名前をキラキラだって言うのね! 私、この名前気に入ってるんだから! ムキィー!」


 ノアルが膨れっ面で言う。


「いえ……違うのよ……」


 リンディは俯いた。


「私の友達の名前に……似ていたから……」


 それを見たノアルが話題を変える。


「ねぇ、あなた……なんで、ちっちゃいオジさんのこと知ってるの?」


 リンディは静かに答えた。


「ちっちゃいオジさんは、10年前に私の友達を救ってくれたの。ジャギーさんと融合したと聞いていたから……もう会えないと思っていた」


「融合……?」


 ノアルは首をかしげる。


「じゃあ、ちっちゃいオジさん違いかも。このオジさん、生まれたときから私のそばにいる人形なの」


「人形!? もしかして……この世界に来たせいで、魂が宿った……?」


 Tシャツにふんどし。

 そんな姿のちっちゃいオジさんは、コマのようにクルクル回転していた。


 そのとき──


 ドガーン!


 外から爆発音が響いた。


「な、なに!?」


「またアイツね……。悪の魔法使いビックラ・コイターナよ」


 そう言ってリンディは外へ駆け出す。

 ノアルとちっちゃいオジさんも後に続いた。



「フョーッフョーッ。リンディ……」


 黒いローブの魔法使いが、不気味に笑う。


「こんなところにいつまでもおらず、早くワシらの仲間になるフョ」


「ふん。誰があなた達の仲間なんかに!」


 リンディは杖を構え、呪文の詠唱を始める。


 その横で──

 ちっちゃいオジさんは、フラフープを回していた。


「そうか……。ならば、実力行使だフョ」


 ビックラはフョフョ笑いながら呪文を唱える。


「炎よ、すべてを焼き尽くせ! 《フレイム・ファング》!!」


 一足早く、リンディの呪文が放たれた。


 しかし──


「フョーッフョーッ。そんな呪文は通じんぞ」


 ビックラは、あっさりと魔法を打ち消す。


「くっ……やっぱり、私だけの力では……」


 そのとき──


 ビックラがノアルに気付いた。


「ほう……仲間かフョ。ならば──人質に」


 ビックラがそう言った瞬間。


 ノアルがビシッと構えた。


「受けてみなさい! 私の必殺技!」


 リンディは思った。


(え、必殺技……?)


「《スターライト・エクスプロージョン・ファイナルデストロイ・サンダー・ブリザード・プレッシャー・モダンスタイル──」


 リンディは思った。


(長い……)


「──バーニング・エグゼクティブ・トランジション・ユウコハアイツガスキナンダ・サトルハユウコノコト──」


 ビックラは思った。


(今のうちに攻撃できるけど……)


 一瞬考える。


(……さすがに卑怯かな……)


 そのとき──

 ちっちゃいオジさんが気付いた。


 ビックラが隙だらけなことに──。


 オジさんは静かに構える。


 そして──

 全力でダッシュ。

 高く飛び上がり、くるくる回りだす。


 回る。

 回る。

 回る。


「オマエ、コロス!!」


 ドッガァァァァン!!!


 ちっちゃいオジさんの“ローリングふんどしアタック”が炸裂。


「フョーッ! 『行けたら行く』って言うヤツは、大体来ないフョー!!」


 ビックラは謎の言葉を残し、遥か彼方へ吹っ飛んでいった。


 ノアルがポーズを決める。


「ふん! 私の必殺技が決まったようね!!」


 リンディは思った。


(一番怖いの、この子かもしれない……)


 ちっちゃいオジさんは、バク転をしようとして、失敗していた。


「オ、オマエ……コロス……」

「『5歳の見習い魔女ノアールの冒険』の続編ですよ、皆さ~ん! 前作から10年後の世界を描いています」

 

 嬉しそうな多田笑。

 その横には、ちっちゃいオジさん。


「皆さんが、ちっちゃいオジさんに会えて嬉しいって」


「オマエ、コロス……」


 ちっちゃいオジさんが照れながら言う。


「じゃあ、ちっちゃいオジさんから、皆さんに何か一言」


「オマエ……コロス……」


「え、前作では、リンディと会ったことがないはずだって!? そ、そんなバカな……」


 慌てて、スマホで確認する多田笑。


「ホ……ホンマや……!!」


 多田笑、驚愕。


 ちっちゃいオジさん、驚愕。


 沈黙。


 そして、見つめ合う二人。


「……というわけで、次回もお楽しみに!」


最後までお読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字、誤用などあれば、誤字報告いただけると幸いです。

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― 新着の感想 ―
続編キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!! 魔法の詠唱が一部怪しかったですね(笑)
あっはっはっ、お帰りなさ〜い\(^o^)/ まさか続編だとは嬉しい誤算です! それにしても魔法の詠唱で微妙な三角関係みたいな気になるところがあったんですが(・∀・)(笑)
また小さいオジさんに会えて、とても嬉しいです。これでまた、朝から元気になれます。素敵なお話をありがとうございます。
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