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プロローグ 『世界があと七回、裏返る前に』
世界が終わるその瞬間、
僕は願ってしまった。
空は割れ、海は干上がり、
人は“存在”ごと消えていった。
最後に残ったのは、瓦礫の上の僕と、
腕の中で血を流す彼女だけだった。
「怖いよ、リク」
その声が、今も耳に残っている。
世界が剥がれていく。
空の向こうは、光でも闇でもない“無”だった。
終わる。
すべて終わる。
それでも僕は、彼女を抱きしめた。
「やり直せるなら」
声が震える。
「何度でもやり直す」
その瞬間、時間が止まった。
崩壊が凍りつき、
空の裂け目から声が降りてくる。
『願いを確認』
目の前に、七つの光の輪が浮かぶ。
『再構築は七回まで』
『七回目で確定』
『一名、消失』
意味はわからない。
だが僕は迷わなかった。
「やる」
世界が裏返る。
彼女が光に溶けながら、微笑う。
「次は、失敗しないで」
——そして僕は、目を覚ました。
彼女が、生きている世界で。
だが僕はまだ知らなかった。
やり直すたびに、
世界は少しずつ壊れていくことを。
七回目で、
必ず誰かが消えることを。
そして最後に消えるのが、
僕自身であることを。




