第84話 蜜柑のコスプレ
午前10時過ぎ……。
朝食を食べ終え、俺と蜜柑は、『alive』に帰る支度をしていた。
由宇希はというと、俺たちが朝ごはんを食べてすぐに目を覚まし、「やべ! 今日は、新作ゲームを配信するんだった!」と慌てて家に帰っていった。
帰り際、由宇希は蜜柑と顔を合わせていたが、二人の態度はいつもと変わらない様子だった。
あいつは、昨日の出来事を都合よく忘れているのだろうか……。
それとも、あいつなりの気遣いか。
何はともあれ、由宇希も帰り、もう実家にいる必要はない。
『alive』にいる桃果ちゃんも、きっと首を長くして待っているはずだ。
だから、早く帰ろう……と思ったのだが。
しかし、なかなか帰ることができない。
「お願い。蜜柑姉さんを、私の友達に紹介したいの!」
蜜柑は、リビングで何度も杏樹に頭を下げられていた。
どうやら今日は、杏樹の友達が実家に遊びにくるらしい。
「わ、私、邪魔になると思うんだけど……」
「ううん? 皆、蜜柑姉さんのこと知ってるの!」
「な、なんで……?」
「コスプレ仲間だから。蜜柑姉さんの写真も見せたりしてるの!」
杏樹は、自分の携帯に保存されている蜜柑のコスプレ姿を、なんと俺に見せてきた。
「お、おぅ……」
なんとも露出の多い、アニメキャラクターのコスプレ姿であった。
胸元は、かなり際どい……。
「ば、馬鹿……。 杏樹ちゃん? 何を勝手に見せているのかな?」
蜜柑が、慌てて杏樹の手から携帯を取り上げた。
「えぇー……すごく可愛いのに……」
「だからって、つばさに勝手に見せないで!」
蜜柑は顔を真っ赤にして怒っている。
まさか、普段は清楚な雰囲気の蜜柑が、ここまで攻めたコスプレをしているとは知らなかった。
「蜜柑……? 可愛かったよ」
俺は、赤面の蜜柑に向けて、正直な感想を伝えた。
確かに、露出は多い気がするが、似合っていたことに間違いはない。
「えぇ? あ、杏樹ちゃん。もう少しここにいるから、友達にでもなんでも紹介して!」
俺の言葉に限界を迎えたのか、蜜柑はそう叫ぶと、杏樹の手を引っ張りながら妹の部屋へと逃げ込んで行った。
まずいこと言っちゃったかな……。
そんなこと思いながらも、俺は杏樹の部屋をノックし「『alive』に戻るからね」と伝え、一人で家を出た。
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