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珈琲を焙煎してたら恋琲になっていました  作者: エンザワ ナオキ
住み込みバイト編

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第74話 最強夫婦、最強の助言

 俺は、映画館を離れ、桃果とうかちゃん、そして達也夫婦を引き連れ、近くのデパートのレストランで一休みをすることとなった。


 俺は、達也夫婦に状況をなるべく丁寧に伝える。


「つまり、映画館で言っていた探偵ごっこは、真実なのね? 尾行対象にばれるなんて、探偵失格だよね」


 春風さんは呆れつつも、状況を理解し納得してくれたようだ。


「わ、私……お手洗いしてきますね……」


 そう言うと、桃果ちゃんは気まずそうに席を立ち、お店の外にあるお手洗いへ向かった。

 彼女の姿が見えなくなったのを確認して、春風さんが口を開く。


「ところでさぁ、あの子……絶対につばさに気があると思うけど」


 俺は、飲んでいたウーロン茶を吹きこぼしそうになった。

 

「な、なんで……そう思うの?」


 春風さんは、昔からこういうことには鋭い。

 俺が、雫ちゃんに好意を抱いていたことに勘づいたのも、春風さんが最初である。


「だって、つばさの顔を何度も見てたもん……あの眼は、女の子が好きな人を見るときの目に違いないよ」


……この二人になら、洗いざらい話しても問題ない気がする。

 むしろ、一人で抱え込むには限界を迎えそうだった。


「じ、実は……」


 俺は、勇気を振り絞り、蜜柑みかんと桃果ちゃんから、告白されていることを伝えた。

 さらに、今回の尾行の真相は、由宇希の恋路を気にしての行動だったことも。


 


「お、お前……」


「なんだ、達也……」


「モテる男は辛いね」


 からかわないでくれ。

 ただ、二人は状況の複雑さを理解してくれたようであった。


 だが、春風さんの表情は真剣だ。


「つばさくんさ、桃果さんの気持ちは考えたことある?」


「え?」


「今の状況、一番心が苦しいのは、桃果ちゃんだとも思うよ」


 春風さんが続ける。


「桃果ちゃんは、つばさくんに、思いを伝えているのに、別の女の子の尻を追っているって考えると、辛いと思わない?」


「あ……」


 俺は、蜜柑に気を取られ、桃果ちゃんの気持ちはあまり深く考えていなかった。

 蜜柑も桃果ちゃんの状況も、お互い変わりはないことに気づいたのである。


 俺が、二人の告白の返事を曖昧にしているツケが来ているのであった。


「だから、とりあえずは、桃果ちゃんにしっかり謝罪して、欲しいものの一つや二つ買ってあげなさい」


 春風さんの一言一言が心に染みる。

 今日、このタイミングで、この二人に出会ったことは、本当に救われた。


「お待たせしました……」


 タイミングを見計らったかのように、桃果ちゃんが戻ってきた。

 


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