第66話 5日目
住み込みバイト、5日目の朝を迎えた。
この楽しくも、刺激的なひと時は、もうすでに折り返し次点を迎えていた。
蜜柑と由宇希が映画館に向かうのは、午後と聞いている。
それに合わせて、俺と桃果ちゃんも、映画館へ向かう。
そして今日も、刺激的な1日が始まろうとしている。
午前8時。
今日は、濃い曇り空であり、午後から雨が降る予報が出ている。
「じゃあ、みんな、お家のこと任せるね。明日には帰ってくるからよろしくね!」
雫ちゃんが、少し大きめのリュックを背負い、片手には傘を持ちながら、おばあちゃん家に向かった。
雫ちゃんを送り出し、しばらくすると蜜柑も家を出た。
由宇希に聞いたところ、簡単な買い物と昼ごはんも一緒に食べるようだ。
どちらも蜜柑からの提案だったようで、俺に対して、まるで牽制をしているかのようなプランであった。
リビングでテレビを見ていると、朝ごはんの片付けをしていた桃果ちゃんが、細々とした声で、囁いた。
「つ、つばささん? 私達はいつ出掛けますか?」
「あ、そうだねー」
そういえば、映画に行く以外のプランを全く考えてなかった。
二人のデートを意識しすぎて、桃果ちゃんのことを後回しにしてしまっていた。
楽しみにしているのに、何も予定を考えていなくて申し訳なくなった。
「よし……じゃあ、俺たちも出掛けようか! 前に偵察で行った、喫茶店『fish and coffee』が、映画館の近くにあるみたいなんだけど、桃果ちゃん、行ってみる?」
「は、はい! 行きたいです」
少し曇った表情から、曇りが晴れたかのような笑顔を見せた桃果ちゃん。
軽快にエプロンを外し、着替えに向かう桃果ちゃんに対し、俺は問いた。
「桃果ちゃんも行きたいところとかないの?」
「そ、そうですね……」
桃果ちゃんは、片手にエプロンを掛けて、天井を見上げた。
「映画館の近くに、話題の洋服店があるみたいなので、そこに行きたいです」
「おぉー! なら一緒に行こうよ!」
「いつも、悩んで買うの躊躇っちゃうんですよね……なので、つばささんに選んでもらいたいです」
桃果ちゃんは、洋服店に行きたいようだ。
正直服を選ぶのは苦手であるが、桃果ちゃんにはたくさんお世話になってる。
桃果ちゃんに似合う服を選べるように、頑張ろうと心に決めたのであった。




