第65話 潰れる白団子
由宇希と蜜柑の映画デートが決まった。
一安心もできない日が続く。
由宇希からは、蜜柑の好みの食べ物や傾向を根掘り葉掘り聞かれる。
蜜柑からは……。
「これってデートになるのかな?」
「え、え……映画見に行くだけじゃないの?」
「私が他の男と2人で映画見ても何とも思わないの?」
「う、うーん……あぁ! ちゃんと動画アップロードされてるかなー?」
と、誤魔化すのが精一杯である。
告白をされたばかりで、嫌でも蜜柑を意識してしまう。
だが一方で、親友の恋も実ってほしいという本音もある。
三色だんごのピンク<蜜柑>とグリーン<由宇希>は、どんどん膨らみ、俺の白いだんごは今にも潰されてしまいそうだった。
「コンコン」
自室で頭を抱えながら悩んでいると、控えめなノックの音が聞こえた。
「はーい」
「と、桃果です。伝えたいことがあるんですが……」
ノックの主は、桃果ちゃんであった。
彼女は部屋に入ると、何かを探るように辺りをキョロキョロし始めた。
「どうしたの?」
「あ、明日……店を臨時休業にするみたいです」
「臨時休業?」
理由を聞くと、雫ちゃんが急遽、おばあちゃん家へ帰省することになったらしい。
明後日には帰るみたいだが、明日出勤予定であった田嶋先輩が風邪を引いてしまい、店を回す人数が足りなくなったのだという。
「私が代わりに出るって言ったんですが……」
「2人で店は回せないもんね」
「はい……残念です」
少し下を向き、残念そうな表情を見せた桃果ちゃんだったが、すぐに顔を上げてスマホの画面を見せてきた。
「ん? これは何?」
「よければ見に行きませんか?」
画面を覗くと、そこには「宇宙から来た侵略者『にゃんこ将軍』」のポスターが写っていた。
この映画、どれだけ人気なんだ……。
まさかの由宇希と蜜柑と映画被りであった。
「よ、よし……行こうか!」
「え! 良いんですか??」
パッと花が咲いたような、桃果ちゃんの輝く笑顔。
その裏で、俺は、<二人のデートも監視するチャンス>という不純な動機とともに、彼女との映画鑑賞を承諾した。
「桃果ちゃんに一個、伝えておきたいんだけど」
「はい?」
蜜柑に告白されたことは伏せつつ、俺の親友と蜜柑が同じ映画を見るかもしれないことを伝えた。
「つまり、つばささんは、その由宇希さんという方から、恋愛相談を受けていて、明日、蜜柑さんとデートをすることになった……そして、二人の様子が気になるんですね?」
「簡単に言えば、そうだね」
事情を伏せれば、ただの<世話焼きな親友>の話だ。
色恋沙汰が好きな人にとっては、興味深い展開だろう。
「な、なんだか面白そうですね!」
「え?」
意外とノリノリの桃果ちゃん。
どこか得体の知れない不安を感じながらも、俺は翌日の<偵察任務>に向けた準備を進めた。
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