第63話 三色団子
「その人はとても明るくて、誰とでも仲良く接する優しい子で、一緒にご飯とかも食べてくれる、そして悪口とか言わない素直な性格……一言で表すと天性の人ったらしなんだ」
「えー? ご飯も食べたんだ! いいねー!」
『天性の人ったらし』は、褒め言葉かはさておき、由宇希のような、人を馬鹿にしない真っ直ぐで素直な性格には、確かに深く刺さるタイプだろう。
俺は、親友の由宇希から、恋愛相談を受けることになった。
俺は恋愛相談とか恋バナなど、色恋の話を聞くのは好きである。
人物像を聞く限り、とても良さそうな人である。
親友の真剣な悩みなら、なおさら親身になって良い答えを出してやりたいと思っていた。
この時までは。
「その人には、配信者だってことは言ったのか?」
「うん! 俺の配信も時々見てくれてるみたい」
それなら大丈夫か。
由宇希は普段は温厚だが、ゲーム中だけは人が変わる。
そのギャップが人気の理由だが、それを受け入れているなら相性は悪くないはずだ。
「それで、オシャレしているってことは、この後その人とデートなのか」
「ううん? 違うよ?」
「え……違うの??」
明らかに「勝負服」といった気合の入りようだったので、意表を突かれた。
「なら、なぜそんなにオシャレなの?」
「今からその人をデートに誘うからだよ」
「今から?」
誘うためだけに、これほどの『正装』で来たのか。
電話やメッセージアプリでアポは取っていないらしい。
なんという、行き当たりばったりの男であろうか。
「それで、その人はどこにいるんだ? この近くなのか?」
「つばさ……お前なら、今の話の内容でわかってくれると思ったんだがな……」
「え? どういうこと……ってまさかっ!」
由宇希の見つめる視線の先には、桃果ちゃんと店内の掃除をしている蜜柑の姿。
――まてよ? これは色々とまずいことになりそう
まさか、由宇希の好きな人は、蜜柑なのか……。
これは完全に板挟みである。
今なら、三色団子の〈白団子〉の気持ちがわかる。
「つばさは、蜜柑と高校からの付き合いだよね?」
「え、あぁそうだけど……」
「蜜柑の好きな人とか聞いてないの? タイプとかでも良いけど! 何か情報ない?」
「そ、そうだなー」
好きな人もわかる。タイプも何となくわかる。
しかし、絶対に「彼女の好きな相手が俺だ」なんて言えない……言えるわけがない。
かと言って、嘘もつきたくない。
俺はどう答えれば良いのか……胃が痛くなってきた……。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし「続きが気になる!」「面白い!」と思っていただけたら、下の【☆☆☆☆☆】から評価やブックマークをいただけると、執筆の励みになります!




