第38話 住み込みバイト 〜謝罪〜
俺は、蜜柑の部屋に入った。
すると、みかんは突然詰めてきた。
「つばさくん? あなた、わたしに言わないといけないことあるよね??」
謝罪するつもりではあったが、機会を逃していた。
「もちろん、今日言うつもりだったよ」
「それなのに、桃果ちゃんとイチャイチャして……わたしは2人のイチャイチャを見に来たわけじゃないの?」
蜜柑からすれば、怒るのは当然である。
「謝る気もなく、せめてPVの手伝いもしてくれないのは、どういうこと??」
ただ、俺はイチャイチャしているつもりはなかった。
「ごめん、そんなつもりはなかったんだ」
俺は、必死に謝ることにした。
「その謝罪はどっちに対して?」
「ど、どっち??」
「こないだの件か、今のイチャイチャの件か」
「まずは、今のイチャイチャの件を謝らせていただきます」
俺は、別々に誠意を持って謝ることにした。
蜜柑の前で、なるべく綺麗にお辞儀をした。
蜜柑は、何も喋らない。
「次にこないだの件を謝ります。こないだの失礼な発言、本当に申し訳ございませんでした」
「本当に思ってるの??」
「はい、ずっと謝ろうと思っておりました」
俺は、頭は下げたままである。
ちょっとの沈黙が続いた。
「なぁーんてね。何にも思っておりませぇーん!」
「え?」
蜜柑は急に笑顔で、下げている俺の頭を軽く叩いた。
「そんなんで、怒るわけないでしょ? 何年の付き合いだと思っているの?」
蜜柑はちょっとしたことで怒らないとは思っていた。
しかし、ちゃんと謝る時は謝りたい。
親しき中にも礼儀ありである。
「でも、ちゃんと謝りたい。本当にごめん」
「いいって……そんなに気にしてないから」
「いや、でも何か埋め合わせをさせて欲しい」
「そ、そうか……それなら……」
そういうと、蜜柑は自分のバックの中を漁り始めた。
「これを観に行きたい」
蜜柑が出したのは、今話題の映画のポスターであった。
「このアニメの映画を見に行きたいから、一緒に観に行こう?」
「え、まぁ、いいけど……」
「桃果ちゃんとはデート出来て、わたしとはデート出来ないの?」
「そんなつもりはないけど、俺で良いのか?」
この映画は、人生2周目の主人公の男の子が、初恋の女の子と付き合うために奮闘するラブコメである。
どこかの番組で、カップルで観に行きたい映画ランキング2位になっているほど人気のあるアニメである。
つまり、カップルで見に行くべき映画なのである。
「私はもう2回観に行っているし、つばさくんの意見も聞いてみたいなって」
「2回って、この映画の公開は一昨日だぞ?」
「そうだよ? 一昨日と昨日行ったの」
一昨日の公開で、もう2回観に行っているのか。
よっぽど気に入っている映画のようだ。
「行くの? 行かないの? どっちなの?」
「行かせていただきます」
「なら、決まりだね! 明後日は午前中非番だから、その時に行こうね」
こうして、明後日に俺と蜜柑は、映画を見に行くことになった。




