第27話 白いワンピース
雫ちゃんのアドバイスの翌日。
「桃果ちゃん! この水族館のチケット2枚あるんだけど、いる??」
この日のシフトは、俺と雫ちゃんと桃果ちゃんである。
雫ちゃんは、水族館のチケットを2枚手配をしてくれていた。
今、その水族館では、桃果ちゃんが大好きな熱帯魚が集まるお祭りフェアを実施している。
「い、行きたいですけど、あ、明日ですよね」
「そうなの! 私はバイトあるから、つばさくんと2人で行ってこない? 2人とも非番だから」
水族館に誘うのは、雫ちゃんに相談した際に、打ち合わせをした作戦である。
計画は全て、雫ちゃんが考えてくれ、なかなか取れないチケットの予約も、ササッとしてくれた。
なんて、手際の良い子なのであろうか。
しかし、問題は桃果ちゃんが乗ってくれるか。
「で、でも……」
桃果ちゃんは、言葉に詰まった。
しかし、すぐに口は開いた。
「い、行きたいです。西城さんも行けますか?」
「大丈夫だよー!」
桃果ちゃんは、意外にも乗り気であった。
俺は、桃果ちゃんの非番とも重なり、近くの小さな水族館に行くことにした。
◇
翌日、昼前に桃果ちゃんと待ち合わせをした。
前回は桃果ちゃんを待たせてしまったから、今日は20分前から最寄りの駅で待っていた。
すると5分後、すぐに桃果ちゃんがやって来た。
「こ、こんにちは」
桃果ちゃんは15分前に到着した。
今回は、俺の方が早く到着できてホッとした。
「おはよう、桃果ちゃん!」
「ご、ごめんなさい……待たせてしまって……って、なんでそんなに勝ち誇っているんですか?」
――やばい。無意識に、そんな顔してのか?
「い、いや……前回は先に来てたからね……今回はって思って」
桃果ちゃんに、小さいやつと思われたらどうしようと思った。
案の定、桃果ちゃんに笑われながら「に、西城さんは小さい人ですね」と言われた。
「まぁ気にせずに、今日は楽しもうよ」
「はい……楽しみましょう!」
今日も、喫茶店で調査した日と同様に、熱波が俺たちを襲う。
あの日よりも、暑いかもしれない。
俺たちは、水族館とは5駅ほど離れている。
そのため、2人で電車に乗った。
「今日は暑いね……」
「はい……暑いですね……」
俺はふと桃果ちゃんの格好に目がいった。
いつもと雰囲気の違う、白いワンピースと髪を後ろで結いている。
前回の喫茶店の時のお出かけとは違う、雰囲気を感じ取った。
そう、今日は遊びに来たわけじゃない。
しっかりと桃果ちゃんに、俺の意思を伝えなければならないのだ。




